熊野大社、楼門©2019 仰木一弘 wih LeicaQ
島根県の神社といえば「出雲大社」が有名ですが、松江市に鎮座する「熊野大社」は共に出雲国(現在の島根県東部)一之宮として知られています。
ご祭神の「素戔嗚尊」はこの地で初めて「火」を起こしたことから、火の発祥の神社として「日本火出初之社」とも。
また、「素戔嗚尊」は、八岐大蛇を退治したとされる人間の幸福を願うムスビの神様。
殖産興業・招福縁結・厄除けのご利益、最近では金運・玉の輿運のご利益が授かれるとして多くの参拝客が訪れています。
境内の石垣にあるハート型の石を見つけると、さらに縁結びのご利益があるとか。
神話にちなんだ「縁結びの櫛」」のお守りは、丸くて可愛らしいデザインが女性に人気となっています。
目次
【ご利益】殖産興業・招福縁結・厄除け・恋愛成就・金運・玉の輿運のご利益があるとされる
ご祭神「素戔嗚尊」は、神話で有名な八岐大蛇から人々を救ってくださった神とされ、人間の幸福を願うムスビの神様です。
そんな「素戔嗚尊」をまつる「熊野大社」は殖産興業・招福縁結・厄除けのご利益を授かれるとして信仰されてきました。
また、八岐大蛇を退治した時に、のちに妻となる「櫛稲田姫」の姿を櫛に変え自分の髪にさして戦ったと伝わることから、恋愛成就のご利益があるそうです。
現在は、金運や玉の輿運にもご利益があるとして人気の神社となっています。
「素戔嗚尊」の妻と母をまつる摂社
「素戔嗚尊」がおまつりされている本殿の両隣には、母神「伊邪那美命」をまつる「伊邪那美神社」と、最愛の妻「櫛稲田姫」をまつる「稲田神社」が並びます。
「伊邪那美神社」は、もともと「熊野大社」から少し離れた「上の宮」でまつられていましたが、1908年(明治41年)に熊野村の中にあった19社の神社が合祀されたそうです。
また、境内の奥には「荒神社」が。
こちらにも「素戔嗚尊」がおまつりされているのでお参りしましょう。
お社の裏には、ご神水が湧き出ていて、いただくことができます。
熊野大社独特の社殿が見どころ「鑽火殿(さんかでん)」
「鑽火殿」は、毎年10月に行われる「鑚火祭」の大切な祭場になる社殿です。
屋根は茅葺で、壁はヒノキの皮で覆われ、竹の縁がめぐらされた独自な造りは、ここでしか見ることができない貴重な建造物として大切に守られています。
また、「鑚火祭」の神事などに使われる、神聖な火を起こすための燧臼と燧杵が保管されているそうです。
ちなみにこの燧臼と燧杵で、「素盞鳴尊」はこの地で初めて火を起こしたとされ、火の発祥の神社「日本火出初之社」とも呼ばれています。
熊野大社が、いかに出雲地方で重要な位置づけにあるかわかりますね。
「上の宮跡」は熊野大社の元宮
「熊野大社」から10分ほど歩いたところに元宮の地「上の宮跡」があります。
「熊野大社」は、もともと、標高約600メートルの天狗山(熊野山)の頂上にまつられていて、中世に「上の宮」と「下の宮」に分かれていました。
「上の宮」には、伊邪那美神社、事解男神社、速玉神社、五所神社・八所神社・久米神社がまつられ、明治時代に、これらの社は「下の宮」に合祀され現在の「熊野大社」となったそうです。
現在は、それらの神社の跡地に石碑やご神木があります。
この場所から少し登ると、しずくが滴り落ちている巨岩が見えてきます。
こちの水は「明見水」と呼ばれ、洗眼すると眼病に効き、あるいは産婦がこの水を服すと母乳が満ち足りると伝わるご神水です。
よりご利益を授かりたいときには、「上の宮跡」にも訪れてはいかがでしょうか。
【所在地・アクセス】松江市郊外の山間に鎮座
<所在地・電話番号>
〒690-2104 島根県松江市八雲町熊野2451
TEL:0852-54-0087
FAX:0852-54-0249
<アクセス>
■電車&バスをご利用の方:
・JR「松江駅」より一畑バスに乗車し、終点「八雲バスターミナル」にて下車(約20分)
・八雲コミュニティバスに乗り換え「熊野大社」下車(約15分)
※所要時間は、乗り換え時間も含め約50分
■車をご利用の方:
・山陰自動車道「東出雲IC」で降りる⇒県道53号線を大東方面へ(約15分)
・出雲空港からタクシーまたはレンタカーで約40分
*無料駐車場:約100台収容
【ご祭神・ご由緒】火の発祥の神社とされる
【ご祭神】
「伊邪那伎日真名子加夫呂伎熊野大神 櫛御気野命」
こちらの長いご神名は、伊邪那岐・伊邪那美の息子「素戔嗚尊」の別名であるとされています。
「伊邪那伎日真名子」とは「イザナギノミコトが可愛がる御子」
「加夫呂伎」が「神聖なる祖神」
「櫛御気野命」の「クシ」は「奇し」、「ミケ」は「御食」で「有り難い食物神」を意味するそうです。
「素戔嗚尊」といえば、自然災害をもたらす魔物「八岐大蛇」を退治したとされる出雲神話が有名。
人間社会を災害から救った「素戔嗚尊」の本質は、五穀豊穣や生業の発展、人々の繁栄と平和などにあるといわれています。
【ご由緒】
創建年代は不明ですが、その信仰の始まりは神代にさかのぼるとされています。
文献に「熊野大社」が初めて現れたのが「日本書紀」(720年)。
「素戔嗚尊」と熊野大社が建つ八雲の地に関することが登場します。
「出雲國風土記」(733年)にも記され、当時は熊野山(現在の天狗山)にお社があったことがわかっているそうです。
また、「延喜式神名帳(官社に指定されていた全国の神社一覧)」(927年)では名神大社(特別の社格が与えられた神社)に列し、「日本火出初神社」とも称され、「出雲大社」と並んで出雲国の大社として崇敬されてきました。
中世には「上の宮」と「下の宮」に分かれ、明治の神社合祀で「上の宮」は「下の宮」に合祀されたそうです。
また、近代社格制度のもとで神社名が「熊野神社」となりましたが、1977年に現在の「熊野大社」に復活しました。
【社務所受付時間】
午前8:30 ~ 午後4:30
【御朱印】
・授与所にて:午前8:30 ~ 午後4:30
・御朱印代:¥300
*新型コロナウイルスの影響で流動的なため、事前に電話で確認することをおすすめします。
丸くて可愛い人気のお守り「縁結びの櫛」
八岐大蛇退治の神話にちなんだ「縁結びの櫛」は、まさに縁結び・恋愛成就・
玉の輿運のご利益を願うお守り。
丸くて可愛らしいデザインは、女性の方やお土産におすすめです。
【主な祭礼】
鑽火祭(さんかさい)
毎年10月15日
「鑽火祭」は、全国的にも変わった神事であることで有名です。
「出雲大社」の宮司が「古伝新嘗祭」に使用する神聖な火をおこすための燧臼と燧杵を受け取りに訪れる「亀太夫神事」が行われます。
「熊野大社」の神官が「出雲大社」から献上された餅のできばえについて、「去年より小さい」「形が悪い」などと、わざとケチをつけるという掛け合いを見ることができるそうです。
こちらの神事から、「出雲大社」と「熊野大社」は古い時代から近い存在であったことがわかりますね。
まとめ
松江市に鎮座する「熊野大社」は、古くから「出雲大社」と並ぶ出雲国一之宮として知られる由緒ある神社。
摂社には、「素盞嗚尊」の妻の「櫛稲田姫」、母神「伊邪那美命」をまつり、殖産興業・招福縁結・厄除け・恋愛成就などのご利益があるとされます。
また、最近は金運や玉の輿のご利益を頂くことができる神社としても知られ、多くの参拝者が訪れています。
火の発祥の神社「日本火出初之社」とも呼ばれるのは、ご祭神の「素戔嗚尊」がこの地で初めて火を起こしたことに由来しています。
その象徴となるのが、「出雲大社」の宮司が神器を受け取りに来る「鑽火祭」。
「出雲大社」とのご縁の深い「熊野大社」へ、ぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。