美しい朱塗りの社殿の後方に開聞岳の山頂を望む「枚聞神社」。
その美しさから「薩摩富士」とも呼ばれる開聞岳をご神体とする山岳信仰の神社です。
薩摩半島の南端にそびえる開聞岳は、航海の目印だったことから,海の守護神として崇敬され、「枚聞神社」には交通安全や航海安全、漁業守護のご利益があるとされます。
また、この地は「山幸彦(彦炎出見尊)」が訪れた竜宮界であり、海神「豊玉彦命」の宮地であったという竜宮神話にまつわる伝承が残されているそうです。
それに関連づけて「玉手箱」と呼ばれる「松梅蒔絵櫛笥」(国の重要文化財指定)が宝物殿に展示されています。
【ご利益】交通安全・航海安全・漁業守護のご利益があるとされる海の守護神
ご神体の開聞岳が、薩摩半島の南端にそびえ航海の目印だったこと、「枚聞神社」は海を渡って来る人の玄関口にあたることから、海の守護神とされ交通安全・航海安全や漁業守護のご利益があるとされます。
特に、地元では車のお祓いにご利益があるとされ、購入したばかりの車をお祓いしてもらうと事故に遭わないといわれているそうです。
伝説の玉手箱を拝観「宝物殿」へ
「宝物殿」では、通称「玉手箱」と呼ばれるものが展示されています。
玉手箱といわれると、浦島太郎が持ち帰ったという箱を想像しませんか?
この地に伝わる竜宮伝説に関連付けて「玉手箱」、あるいは「あけずの箱」などと呼ばれているそうですが、正式名は「松梅蒔絵櫛笥」といいます。
松や梅などを金・銀粉などで描いた蒔絵がほどこされた化粧箱で、中には小さな櫛が11本,小さな壺が1つなど23個の化粧道具が入っているそうです。
目録には大永3年(1523年)とあり、室町時代の高貴な女性の持ち物ではないかと考えられています。
こちらの「松梅蒔絵櫛笥」が国の重要文化財に指定されているほか、琉球国から航海安全のご神徳に対して奉納された扁額(神社の鳥居や社殿などに掲げられている看板)や、薩摩藩主の島津家に関係する古文書など、貴重な品々があります。
「玉の井」は日本最古の井戸?!
伝承によると「枚聞神社」は、海幸山幸の神話において山幸彦が訪れた海神の宮、竜宮とされ、近くには日本最古の井戸とされる「玉の井」があります。
実はこの場所で、竜宮城の乙姫さまのモデルと言われた「豊玉姫命」が水をくまれていたとか。
「玉の井」は、兄の釣り針を探して訪ねてきた「山幸彦(彦火出見尊)」と海神の娘「豊玉姫命」が運命の出会いをした場所とも伝わるそうです。
【所在地・アクセス】開聞岳のふもとに鎮座
<所在地・電話番号>
〒891-0603 指宿市開聞十町1366
TEL:0993-32-2007
<アクセス>
■電車をご利用の方:
・JR「開聞駅」から徒歩約10分
■車をご利用の方:
・九州道「谷山IC」から国道226号経由約1時間30分
*無料駐車場:50代収容
【ご祭神・ご由緒】薩摩半島の南端にそびえる開聞岳をご神体とする
【ご祭神】
<主祭神>
大日孁貴命(天照大御神の別名)ほか八柱をまつります。
竜宮伝説のなかで、この地は海神「豊玉彦命」の宮であったとし、娘の「豊玉姫命」をまつったとする説もあるそうです。
<配祀神>
五男三女神
「奥津島比売命」
「多岐都比売命」
「市寸島比売命」
「天忍穂耳命」
「天穂日命」
「天津彦根命」
「活津彦根命」
「熊野櫲樟日命」
【ご由緒】
創建は定かではありませんが、神代の始まりとされます。
古くから薩摩半島の南端にそびえる開聞岳をご神体とし、「開聞神」としてまつっていたそうです。
開聞岳の山頂には、 奥宮である「御嶽神社」が鎮座します。
ご祭神においては他にも諸説あり、伝承では海幸山幸の神話において、山幸彦が訪れた竜宮・海神「豊玉彦命」の宮地とされ、「和多都美神社」という別称もあったといいます。
平安時代にまとめられた延喜式神名帳(官社に指定されていた全国の神社一覧)には、「薩摩国頴娃郡枚聞神社」と記載され、古くより薩摩国一之宮として崇敬を厚く受けてきました。
特に歴代の薩摩藩主「島津氏」より庇護され、現在の本殿は1610年(慶長15年)、「島津義弘」により寄進されたものです。
その後、「島津重豪」が改築した鮮やかな朱色のご本殿は、鹿児島県の有形文化財に指定されています。
江戸時代以降には、航海安全のご神徳から琉球からも崇敬を集めるようになり、琉球王の名によって献納された扁額が宝物殿に飾られています。
【社務所受付時間】
午前8:00 ~午後5:00
<宝物殿>
・開館時間:午前8:00~午後5:00
・宝物殿拝観料:高校生以上100円・中学生以下50円
【御朱印】
・社務所にて:午前8:00~午後5:00
・御朱印代:¥300
*新型コロナウイルスの影響で流動的なため、事前に電話で確認することをおすすめします。
【主な祭礼】
ほぜ祭り
10月14~16日
例大祭(ほぜ祭)は、毎年10月14日から16日の3日間開催されます。
秋の収穫の時期に豊作を神様に感謝する祭りで、「ほぜ」とは豊穣がなまった呼び方とか。
江戸時代から約300年も続いてるそうです。
かつて数十種あったと伝わる神舞ですが、現在は剣の舞、南方の舞、浦安扇の舞、中央の舞、うずめの舞などが伝承されています。
神舞が奉納されるほか、稚児行列や赤ちゃんの土俵入りを始め、小学生相撲、高校生相撲行われます。
まとめ
薩摩半島の最南端に位置する開聞岳をご神体し、山岳信仰の「枚聞神社」。
開聞岳は古くから、航海の目印でもあったことから海の神として崇敬を集め、「枚聞神社」は交通安全・航海の安全・漁業守護のご利益があるとされてきました。
また、伝承によると、海幸山幸の神話において、山幸彦が訪れた竜宮とされ、宝物殿には、玉手箱と言われる「松梅蒔絵櫛笥」が収蔵されています。
そして「薩摩富士」とも呼ばれる開聞岳に見守られ、極彩色の彫刻が施された朱塗りの社殿が、木々の緑との調和により美しい佇まいをみせているのです。
そんな訪れるだけで運気がアップするのを感じられる「枚聞神社」へ足を運んでみてはいかがでしょうか?