すずめの戸締まりの要石は実在した!鹿島神宮と香取神宮をつなぐ要石の謎とは?

映画「すずめの戸締まり」には、要石かなめいし」というストーリーを動かしていく重要な石が登場します。

謎が多い「要石」の正体は一体何なのでしょうか?

もしかしたら神社好きな方なら、ご存知かもしれませんね。

実は、実際に神社で実物を見ることができるのです!

この記事では、要石がどのようなものか解説し、4箇所の神社にまつられている要石をご紹介します。

 

「すずめの戸締まり」要石の正体とは?

物語は、主人公の鈴芽が要石かなめいしという石を抜いてしまったことから始まります。

その結果、「後ろ戸」と呼ばれる扉が開いて、中から巨大なミミズが出てきてしまいます。

ここで描かれている「後ろ戸」とは現世うつしよ常世とこよ(霊界のような場所)を繋ぐ扉で、ミミズは人を脅かす災害を引き起こすもののようです。

これに対して、開いた「後ろ戸」を閉じて、ミミズが現世にやってくるのを防ぐのが「閉じ師」。

閉じ師(青年の宗像草太)が後ろ戸を閉め鍵をかけることで、ミミズが災害を起こすことを防げることができるのですが、なんと、数百年に1度起こるような大災害は、それだけでは抑えきれません。

「すずめ戸締まり」の「要石」は、そのミミズの頭と尾を抑え動きを封じている2つの石。

猫の姿となって逃げ出した「要石」を見つけてもう一度扉を閉じなければ、地震が起こってしまうのです。

つまり、「要石」には大災害を封じ込めるという重要な役割があるということですね。

鈴芽は、椅子に姿を変えられてしまった閉じ師と一緒に、「要石」を追いかける旅に出かけます。

 

鹿島神宮と香取神宮に要石は実在していた?!

数百年に1度の大きな災害を封じる重要なアイテムとして登場した「要石」、実は古来から実際にいくつかの神社にまつられているのです!

「要石」があるのは4箇所、中でも有名な茨城県の「鹿島神宮」と千葉県の「香取神宮」からみていきましょう。

 

要石は地震を鎮める霊石だった

「鹿島神宮」と「香取神宮」は神話時代からつながりが深く、まつられている霊石「要石」が地震を鎮める石として信仰されてきました。

映画では、ミミズとして描かれていますが、昔から地震が多かったこの地方では、地震は地中に棲む大鯰おおなまずが暴れて起こすものと考えられていたとか。

そのため、地中に深く杭のように石の棒を差し込み、大鯰おおなまずを押さえたのが「要石」と伝わります。

地上に出ている部分は小さくて、直径30cmほどしか出ていませんが、地中には巨石が埋まっていて、決して抜くことができないと言われているそうです。

両神宮を崇敬していた「水戸黄門」で有名な「徳川光圀みつくに」が、要石の正体を突き止めようと、要石(どちらの要石かは資料による)の周りを7日7晩掘らせましたが、穴は翌朝には元に戻ってしまい、とうとう根元には届かなかったと「黄門仁徳録」に記されています。

7日掘ってもたどり着けないのですから、どれだけ奥深くまで石が延びて鯰を抑えつけているのか、計り知れないですね。

 

ご祭神の地震鎮めの伝説とは?

さらに、「要石」にはロマンを感じさせる伝説が!

ご祭神として鹿島神宮には「武甕槌大神たけみかづちのおおかみ」、香取神宮には「経津主大神ふつぬしのおおかみがまつられています。

こちらは日本神話のなかで、国難を救う武神として登場し、ペアで国家鎮護の神、勝利の神様として大和朝廷や武士の崇敬を受けてきました。

国家鎮護の神として大和朝廷の東北平定の任務を果たすにあたり、問題とされたのが地震からの鎮護。

そのために両神が、地中に深く石の棒(石剣)を差し込み、地震を起こす大鯰の頭尾を刺し通したのだとか。

しかも要石は対になっていて、「鹿島神宮」では形が凹型で大鯰の頭を、「香取神宮」では凸型で尾を押さえていると伝わります。

さらに一説では、この石は地中で繋がっているとも考えられているそうですよ。

まるで「すずめの戸締まり」に登場する2つの要石のようですね。

 

ちなみに要石への信仰は、1855年10月に江戸を襲った安政大地震の際に広く知られるようになりました。

神無月かんなづきの10月に起こった地震は、ご祭神が出雲いづもに出かけていて不在のために発生したということからも説得力があったようです。

この大地震のあと、地震を起こす鯰を描いた「鯰絵」が人気を集めたそうですが、
「鹿島要石真図」では、要石の図と一緒に出現した大鯰を押さえこむ武神のイメージが描かれています。

また、「鹿島神宮」では地震・災難除けのご利益がある「要石守」、香取神宮でも「要石」という文字が入った災難除けのお守りが授与できます。

お参りの際にはぜひチェックしてみてはいかがでしょうか。

 

鹿島要石真図「鹿島要石真図」引用元:江戸ガイド

 

鹿島神宮と香取神宮へのアクセス方法

【鹿島神宮】

<所在地>

〒314-0031 茨城県鹿嶋市宮中2306-1

<アクセス> 

・JR「鹿島神宮駅」から徒歩約10分

・高速バス利用の場合は、JR「東京駅」八重洲南口から高速バスかしま号で「鹿島神宮」バス停下車してすぐ

・東関東自動車道「潮来IC」から約6.5km

<社務所>

TEL:0299-82-1209
FAX:0299-82-1625

<公式サイト>

https://kashimajingu.jp/

 

 

【香取神宮】

<所在地>

〒287-0017 千葉県香取市香取1697

<アクセス>

・JR「香取駅」から徒歩約25分、または「佐原駅」下車、タクシーで約10分

・高速バス利用の場合は、JR「東京駅」八重洲南口から関鉄グリーンバス「佐原廻り麻生行き」乗車、「香取神宮前」下車にて徒歩約5分

・東関東自動車道「佐原香取IC」から約1.6km

<社務所>

TEL:0478-57-3211
FAX:0478-57-3214

<公式サイト>

https://katori-jingu.or.jp/

 

 

【鹿島神宮から香取神宮へのアクセス方法】

・東関東自動車道経由にて車で約20分

・鹿島神宮からJR「鹿島神宮駅」まで徒歩約10分
電車に乗車し(16分)JR「香取駅」にて下車、徒歩約25分

 

そのほかに要石が実在する神社

さらに、「要石」が実在する2つの神社についてご紹介します。

【大村神社(三重県)】

19世紀の安政大地震の時に、伊賀北部では甚大な被害を被ったのにもかかわらず、「大村神社」がある伊賀南部(阿保)は不思議と難を免れたことから、地震除災の大神様として信仰されています。

境内には「要石社」として独立したお社があり、霊の宿った岩石として高さ46cmほどの要石が地中の大鯰を押さえているそうです。

こちらの要石は、上記の「鹿島神宮」と「香取神宮」のご祭神が下総国しもふさのくにから奈良へ向かう道中に立ち寄った際にまつられたものと伝わります。

「要石社」の前には、鯰の石像「願掛け水かけなまず」が奉納されていて、鯰に水をかけて祈るとご利益があるそうです。

<所在地>

〒518-0226 三重県伊賀市阿保1555

<アクセス>

・近鉄「青山町駅」下車、徒歩約10分

・名阪「上野東IC」から車で約20分
伊勢自動車道「久居IC」から車で約40分

<社務所>

TEL:0595-52-1050

公式サイト

https://www.jinja-net.jp/oomura-jinja/

 

【鹿島神社(宮城県)】

坂上田村麻呂による勧請かんじょうと伝わる「鹿島神社」にも要石があります。

老杉の根本にある要石は、「風土記」によると茨城県の「鹿島神宮」のものを模したものとされているそうです。

現在は、古来からある要石と共に、1973年(昭和48年)に新たに奉納された約10トンの要石がまつられています。

<所在地>

〒981-4221 宮城県加美郡加美町四日市場字屋敷7

<アクセス>

・東北新幹線「古川」からバスで約25分

・東北自動車道「古川IC」から車で約25分

<社務所>

TEL:0229-63-6009

<公式サイト>

https://www.kashimajinja.org/

 

まとめ

この記事では「すずめの戸締まり」に登場する要石の正体と、4箇所の神社にまつられている要石をご紹介してきました。

最後にポイントをまとめます。

【「すずめの戸締まり」要石の正体とは?】

「要石」は、大災害を引き起こすミミズの頭と尾を押さえ動きを封じている2つの石

【鹿島神宮と香取神宮に要石は実在していた?!】

・「鹿島神宮」と「香取神宮」は神話時代からつながりが深く、まつられている霊石「要石」が地震を鎮める石として信仰されてきた

・地震は地中に棲む大鯰が暴れて起こすものと考えられていた

・両神宮のご祭神が地震鎮めのために、地中に深く石の棒(石剣)を差し込み大鯰の頭と尾を刺し通したという伝説がある

・要石は対になっていて、「鹿島神宮」では大鯰の頭を、「香取神宮」では尾を押さえていると伝わり、地中で繋がっているとも考えられている

【そのほかに要石が実在する神社】

・大村神社(三重県)
・鹿島神社(宮城県)

最後まで読んでいただきありがとうございました。

興味のある方はぜひ訪れてみてくださいね!

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