毎年多くの方が初詣やお祭りに訪れる神社は、私たち日本人にとってなじみ深い場所。
ただ、正しい参拝方法と言われると、自信がないという方も多いのではないでしょうか。
せっかく神社へ訪れるなら、願いが叶いやすい様に正しい参拝方法を知っておきたいものですよね。
そこで今回は、神社の正しい参拝方法について詳しくまとめました。
お参り前に知っておきたい基礎知識やマナー、よくある疑問も解説しますので、
ポイントをおさえておきましょう。
神社の正しい参拝方法とは?
実は、神社にお参りするときの方法に、厳格な決まりごとはありません。
また、神社や地域によって参拝方法が異なることもありますが、ここでは基本的なお参りの方法ーとマナーを流れにそってご紹介します。
鳥居をくぐる前に一礼する
神社の入口に建てられている鳥居は、神域と俗界を分けるための門とされています。
そのため、鳥居をくぐるのは、神様の住む神聖な場所に足を踏み入れることになりますから、一礼してから鳥居をくぐりましょう。
神社によっては鳥居が複数ありますが、その場合は、それぞれくぐる前に一礼してご挨拶するのがマナーです。
参道は真ん中を避けて端を歩く
鳥居をくぐり、境内まで続く道を参道といいます。
参道の真ん中は「正中」と呼ばれ、神様の通る道とされているため、避けるのが正しいマナーです。
参拝するときは、端を歩くことを意識しましょう。
左右どちらを歩いても大丈夫です。
参道を横切るときは、横切りながら軽く一礼をする、もしくは、中央で神前に向き直って一礼して敬意を表しましょう。
ただし、初詣のときなど、混雑している場合は、無理に端を通らなくても人の流れに沿って歩けば問題ありません。
手水舎で手や口を洗い心身を清める
ご本殿や拝殿に行くまでの間に、境内に設けられた場所「手水舎(てみずや・ちょうずしゃ)」に立ち寄って、手と口を清めます。
参拝前に穢れを落とし、心身を清めるための作法として覚えておきましょう。
<<手水の作法>>
・備え付けの柄杓を右手で持ち、左手に水を注いで清める
・柄杓を左手に持ち替え、右手に水を注いで清める
・もう一度右手に柄杓を持ち替え、左の手のひらに水をためて、その水で静かに口をすすぐ
・すすぎ終わったら、左手をもう一度洗い清める
・柄杓は持ち手が下になるように垂直に立て、残った水で柄を洗い清め元の場所に戻す
一連の所作を柄杓一杯分の水で済ませるのが、基本の作法とされているので、最初に水を汲むときは、多めに汲むと良いでしょう。
賽銭箱へお賽銭を投げ入れる
賽銭箱の前に立ち、お賽銭を丁寧に差し出すように入れましょう。
お賽銭は、願い事を叶えてもらうための対価ではなく、本来は神様への感謝をあらわすために納めるものです。
また、高額なお賽銭を納めれば願いが叶いやすくなるといったこともないそうです。
金額にもこれといった決まりはないため、気持ちとして収められるお賽銭を、感謝の気持ちを込めて納めるようにしましょう。
また、持ち合わせがないときでも、参拝を諦める必要はありません。
その分、気持ちを込めてお参りをしましょう。
二礼二拍手一礼の作法で参拝する
お賽銭を入れたら、鈴を鳴らし、二礼二拍手一礼(二拝二拍手一拝)の作法で参拝します。
礼や拍手は、神様への感謝をあらわしますから、省略したり手抜きをしたりせず、きちんとした作法を心がけましょう。
<<二礼二拍手一礼の作法>>
・姿勢を正し、背中を平らにするイメージで腰を90度くらい曲げ、深いお辞儀を2回行う
・胸の高さで手を合わせ、右手の指先を少し下にずらして2回柏手を打ち鳴らす
・ずらした右手を戻して合掌し、心を込めて祈る
・ 最後に背筋を伸ばし、1度だけ深々とお辞儀をする
なお、「出雲大社」では二拝四拍手一拝になるなど、神社によっては作法が異なる場合があります。
できれば、参拝する前に、その神社の公式サイトなどで正しい参拝方法を確認することをおすすめします。
神社への参拝は、お願い事をするものだと考えがちですが、大切なのは神様への感謝を伝えることです。
毎日、平穏に過ごせていることや神様に見守っていただいていること、神社に参拝できたことなどにまず感謝しましょう。
なお、願い事を唱えるときは、神様へのごあいさつとして氏名を名乗り、住所を伝えるとよいといわれています。
特に初めて訪れる神社では意識しておくとよいでしょう。
神社を出るときも一礼する
参拝を終え鳥居をくぐって神社の外へ出たら、神様の方に向き直ってから一礼しましょう。
その際に、神様の神聖な領域にお邪魔させていただいたこと、無事参拝を終えられたことに対して感謝の気持ちを持つことが大切です。
ここまで、参拝の作法についてご紹介しましたが、慣れていないと動作を正しくこなすことだけにとらてしまいがちなので、何よりも気持ちが大切であることを忘れないようにしたいものですね。
神社の参拝前に知っておきたい基礎知識
参拝時間やお賽銭の額について、色々な情報を耳にすることがあると思いますが、実際のところどうなのでしょうか。
ここでは、参拝の前に知っておきたい基礎知識をご紹介します。
神社にお参りする時間
一般的に神社の参拝は、早朝から午後2時くらいまでの時間が望ましいとされます。
その中でも午前中、特に早朝の参拝が1番良いそうです。
早い時間は参拝客が少なく、心が落ち着き雑念を払いやすいからです。
また、人が少ないので、祈りが神様に届きやすいという説もあるとか。
神社には、24時間いつでも参拝できる所と、参拝可能な時間があらかじめ決められていて時間外は入ることができない所があります。
さらに、24時間参拝できる神社でも、授与所や社務所は開いている時間が決まっているので、公式サイトなどで事前にチェックしておきましょう。
神社にお参りする服装
通常の参拝では、特に服装の決まりはありませんが、ラフ過ぎる服装、露出の多い服装は避けましょう。
また、汚れが目立つ靴は汚れを落とし、サングラス、帽子、手袋などは参拝前に外すのがマナーです。
常識の範囲内で清潔感のある服装を心がければ、問題ありません。
ただし、ご祈祷を受ける時などの特別な参拝の時は、正装が必須になります。
男性ならスーツにネクタイ、女性はスーツやフォーマルなワンピース、子どもは制服やよそ行きの格好といった神様に対して失礼のない服装を心がけましょう。
お参りを控えた方が良い場合
マナーのひとつとして、ご親族や大切な方が亡くなった忌中の期間は、神への参拝は控えた方が良いでしょう。
忌中の期間とは、故人が亡くなってから四十九日の法要までとし、家にこもって故人のために祈り、穢れを祓う期間とされています。
神道では穢れを「気枯れ」と表すことがあり、ご親族を亡くして気力を失っている状態で、気枯れを神域に持ち込まないよう、参拝を控えたほうがよいとされてきたそうです。
個人が亡くなってから、一周忌が明けるまでの喪中の期間とよく混同されますが、忌中が明けてからの喪中の期間に参拝をしても、マナー違反にはなりません。
ただし、地域や神社の系統によっては、喪中の期間が終わってからの参拝が望ましいとするところもあるようです。
お賽銭の額
お賽銭はご縁(5円)がありますようになど、縁起の良い語呂合わせで金額を決める方も多いのではないでしょうか。
ただし、語呂合わせにとらわれすぎる必要はなく、特に決まりはないため、金額は自由です。
参考までに、一般的に縁起が良いとされている金額をご紹介します。
・5円:ご縁
・15円:十分なご縁
・25円:二重にご縁
・45円:始終ご縁
・125円:十二分なご縁
・115円:いいご縁
・485円:四方八方からご縁
それ以外では、5円や50円玉の穴が開いた硬貨は「運が通る」とされ、縁起が良いとか。
お賽銭は、状況に応じて無理のない金額を納めましょう。
授与品の正しい扱い方やマナー
参拝したあとには、さまざまな授与品をいただく機会がありますよね。
ここでは、特に持ち帰るタイプの授与品について、正しい取り扱い方についてご紹介します。
お神礼の正しい取り扱い方
お神礼は、神棚におまつりして毎日手を合わせます。
神棚がない場合は、神様を見降ろさないように目線よりも高い場所、清浄な場所へ
おまつりしましょう。
家具の上などに配置する場合は、きれいに掃除をし、白い布か半紙などを敷いて清浄な状態を保っておくことが大切です。
また、目線より高い場所の家具などに置けない場合は、壁や柱にテープで貼り付けましょう。
方角は、字の書いてある面が、南向きあるいは東向きになるようにおまつりします。
これには、お神札が、太陽のエネルギーを受けることができるようにという意味があるそうです。
一年間おまつりしたお神札は、神社に納めて、新しいお神札をいただきましょう。
お守りの正しい取り扱い方
お守りには、縁結びや金運、交通安全などのさまざまな種類がありますが、どの種類でも、ご利益を得るためには、正しい身につけ方を意識することが大切です。
最も良いとされているのは、紐を着けて首から提げて持ち歩くことです。
ただ難しい場合は、常に身に付けることで、ご利益を得られると考えられています。
お守りを携帯できないときは、ご自宅で保管しましょう。
その場合は引き出しなどに収納せず、高い位置で、明るく視界に入りやすい場所に置いておきます。
お守りには、神様が宿っていますから、くれぐれも丁寧に扱うことを心がけてくださいね。
また、一度にたくさんのお守りをもつと、神様が喧嘩して効果がなくなるという話を聞いたことがあるかもしれませんが、日本にはたくさんの神様がいて、それぞれのご神徳で守ってくださるので、感謝する気持ちを忘れなければ問題ないそうです。
一年間ご加護を願ったお守りも神社に納めますが、特別に何か願い事をしている場合は、願い事が叶うまで身に付けていてもかまいません。
その場合は、願いを叶えていただいたと感じられたら、お礼参りに行きましょう。
おみくじの正しい取り扱い方
おみくじを引いたあとの扱い方については、特に決まりがありません。
大切なのは、単に吉凶を占うだけでなく、おみくじの内容を神様からのメッセージとして真摯に受け止め、今後どのように行動していくかの指針として役立てていくことです。
主に、おみくじは、境内の木などに結び付ける、持ち帰って保管する、財布の中に入れておくという方が多いのではないでしょうか。
もともと境内の木の枝に結びつけるのは、木の生命力にあやかってのこと。
願いごとが、しっかり結ばれますようにとの思いを込めたものだとか。
とはいえ、樹木の保護のために、木に結ぶことを禁止している神社や、おみくじを結ぶ場所を用意している神社もありますから、ルールに従いましょう。
大切に持ち帰って、ときどき読み返すのもよいとされています。
御朱印の正しい頂き方
御朱印は、神社を参拝した証として頂く印で、納経の証書が起源といわれています。
現在の御朱印は、神社の名前と共に参拝した年月日が記入されるのが一般的です。
御朱印は、必ず参拝を済ませてからいただくようにしましょう。
最近は、限定の御朱印をもらいたいがために、参拝をおろそかにしてしまうマナー違反などが問題になっているようです。
また、御朱印をいただく際には、御朱印帳を忘れないようにしましょう。
社務所や授与所に出向き、御朱印を書いてほしいページを開いて御朱印帳をお渡しします。
当然のことですが、記念スタンプではないので、ノートなどにお願いするのは
いけません。
初めていただく場合には、社務所などで購入できます。
御朱印帳を忘れた場合には、「書き置き」と呼ばれる半紙にあらかじめ書かれた御朱印をいただけますが、転売目的で来る人を避けるため、自分の御朱印帳を持っている人のみに授与するところもあります。
なお、御朱印の授与には受付時間には限りがある他、そもそも御朱印を授与していない神社もありますので、事前にHPなどを確認しておくのがおすすめです。
御朱印帳は、神様の大事なつながりを示す証、貴重品と同じように扱い、大切に保管するようにしましょう。
神社の参拝でよくある疑問
最後に、神社の参拝でよくある疑問について説明していきます。
一度に複数の神社に参拝してもいいの?
複数の神社に参拝しても何の問題もありませんし、ご利益がなくなるのではと
心配しなくても大丈夫です。
日本では八百万の神々という考え方が古くから根付いていて、たくさんの神様があらゆる場所、物、人に宿っており、協調の精神があるからです。
また、多くの神社の「ご祭神」や、「摂社」「末社」には、複数の神様がまつられています。
さらに三社参りのように、複数の神社へお参りする風習がある地域もあります。
ただし、ついでに行くというような参拝の仕方はおすすめできません。
何回も参拝をすれば願いごとが叶いやすくなる?
何回も参拝したからといって、願いごとが叶いやすくなることはないようです。
日本では古くから、神様にお願いを聞いてもらうために、1日100回または100日間お参りをすることで願いが成就するといわれる「お百度参り」という風習があります。
これは何度も参拝することで、神様に信仰心を示し、お願い事の切実さが伝わって、願いが聞き入れやすくなると考えられているとか。
ただし、回数だけを問題にしているわけではなく、「お百度参り」をするくらい強い思いを込めて丁寧に神様に祈ることが重要だということです。
ご祈祷はどんなことをいつするもの?
ご祈祷とは、社殿に上がって神職に祝詞を読んでもらい、神様に願いを叶えてもらうために祈る儀式。
お賽銭を入れて手を合わせるお参りより、丁寧な参拝方法です。
安産祈願や合格祈願、厄除け祈願、車のお祓いなど、神様にお願い事をする際や、
これからの災厄を避けたいときにご祈祷をしていただきます。
また、お宮参りや七五三参りなど人生儀礼の際にも、人生の節目を迎えたことの感謝を神様に伝え、更なるご加護を神様にお願いするためご祈祷を受ける方が多くいらっしゃいます。
ご祈祷を受ける際には、社務所でお申し込みをし、初穂料としてお金を納めます。
一般的には、神職がそれぞれのお願いごとに合わせた祝詞を読み上げたのち、玉串を神前に捧げて礼拝し、最後にお札やお守りなどの撤下品を受け取って終了という流れです。
ほとんどの神社では、当日受付をしてますが、あらかじめ予約が必要な場合もありますので、事前に確認しておきましょう。
まとめ
今回は基本的な神社の参拝方法をご紹介しました。
もしかしたら、初めて知ったということもあったのではないでしょうか。
神社の参拝では正しい作法やマナーを心がけるのはもちろんですが、神様への日頃の感謝の気持ちを込めることが大切ということでしたね。
今まで以上に、神様との良いご縁をむすんでいただけたら幸いです。