鹿島神宮、二の鳥居 ©仰木一弘 wih LeicaQ
「鹿島神宮」は、全国約600社ある鹿島神社の総本社で、関東地方最古の神社。
また、「伊勢神宮」「香取神宮」とともに、日本三大神宮とされる別格の格式を持ちます。
ところで、天孫降臨ってご存知ですか?
日本神話で、「天照大御神」の命を受けた「瓊瓊杵尊」が、国土平定のために現在の宮崎県高千穂に降り立ったといわれています。
その地に鎮座する「高千穂神社」と「鹿島神宮」を結ぶ直線上には、日本と皇室を象徴する聖地が並びます。
その中で「鹿島神宮」が直線の東端という重要な位置にあることから関東最強クラスのパワースポットとされているのです。
また、旅立ちや人生の門出を指す言葉「鹿島立ち」の語源となったことで知られています。
【ご利益】
人生における開運全般にご利益があるとされる
鹿島神宮、拝殿 © 仰木一弘 wih LeicaQ
武運必勝、開運、旅行安全、立身出世、商売繁盛、仕事運、厄除け、家内安全など多岐にわたります。
日本神話最強の武神といわれている、「武甕槌大神」がまつられていることから、勝負運の祈願に訪れる方が多くいらっしゃいます。
さらに、邪魔するものをはねのけ進むパワーを持つとされ、武運や勝負運はもとより、人生における開運全般にご利益があるとされます。
また、「鹿島神宮」といえば、旅立ちを指す言葉「鹿島立ち」が有名です。
これは、奈良時代に朝鮮半島からの侵略に備え、主に関東地方の農民が防人として九州に送られましたが、出発を前に「鹿島神宮」で武運長久(戦いや争いにおもむく人がよい運が長く続きいつまでも無事なこと)を祈願したのが語源という説があります。
また、「鹿島神宮」は、茨城県「息栖神社」、千葉県「香取神宮」と合わせて「東国三社」とされています。
こちらの三社の位置を結ぶと、ほぼ直角二等辺三角形になり、そのエリア内には強力なパワーが存在するという説も。
江戸時代に「東国三社巡り」は、お伊勢参りの後やお伊勢参りに行けなかった人々に、「お伊勢参りの禊の三社参り」または「下三宮巡り」として、最強の運が巡ってくるとされ、とても人気があったそうです。
神様の通り道の入り口「東の一の鳥居」
鹿島神宮、東の一の鳥居 ©仰木一弘 wih LeicaQ
「鹿島神宮」は、皇居、明治神宮、富士山、伊勢神宮、高千穂神社へと、日本と皇室を象徴する聖地が一直線上に並ぶレイラインの東端にあります。
ちなみに、レイラインとは古代の遺跡や神社、仏閣などを地図上で線で結ぶと直線状になるもので、何故か名だたる聖地が並びます。
日本にもいくつかレイラインがありますが、この不思議な現象が偶然できたものなのか、人為的なのかは、わかっていないそうです。
さらに、鹿島灘に面する「東の一の鳥居」(当宮から約6Km)は、神様が海から上がってくるときに、はじめに通るところとされ、東門(入口)にあたる重要な位置にあることからも「すべての始まりの地」と呼ばれ、人生を転換する力をもたらすとされます。
鹿島神宮、西の一の鳥居 © 仰木一弘 wih LeicaQ
災難除けのスポット「要石」
鹿島神宮、要石 ©仰木一弘 wih LeicaQ
地震を抑えるための石と言われる「要石」は、「鹿島神宮」で一番のパワースポットといわれる場所です。
かつて、地震は地中に棲む大ナマズが暴れて起こすものと考えられていて、「要石」はその大ナマズを押さえつける役目を果たすとされていました。
地上に出ている部分は小さいですが、古墳の発掘を指揮した水戸の「徳川光圀」も、正体を突き止めようと1週間にわたって掘らせても掘りきれなかったという伝説も残っています。
そして、不思議な事に、この「要石」は「鹿島神宮」と深い関係のある「香取神宮」にも存在していて、当宮の「要石」が大ナマズの頭を、「香取神宮」の「要石」が尾っぽを押さえていて地中でつながっているともいわれているそうです。
浄化のスポット「御手洗池」
鹿島神宮、御手洗池 ©仰木一弘 wih LeicaQ
旧表参道の入り口にある「御手洗池」は、1日40万リットルもの清水が湧き出ていて、古くから禊の場とされ、こちらで心身を清め参拝をしていたそうです。
現在も毎年、年始に200人もの人々が寒空の下、池に入る「大寒禊」が行われます。
こちらの池には「一夜にして湧き水が出た」「干ばつでも決して水が枯れない」「大人が入っても子供が入っても水面の高さが胸の辺りにくる」というような不思議な言い伝えがあるそうです。
【所在地・アクセス】鹿島灘と霞ヶ浦の海と湖にはさまれた鹿嶋市の中央に鎮座
〈所在地・電話番号〉
〒314-0031 茨城県鹿嶋市宮中2306-1
TEL :0299-82-1209
〈アクセス〉
■電車をご利用の方:
・JR東日本鹿島線 ・鹿島臨海鉄道「鹿島神宮駅 」で下車(徒歩10分)
*鹿島線は1時間に1本程度、時間によって乗り換えが変わるため注意が必要。
■高速バスをご利用の方:
・東京駅八重洲南口から、高速バスかしま号で「鹿島神宮」バス停下車して すぐ(約2時間)
■車をご利用の方:
・東関東自動車道「潮来IC」で高速道路を降り 、国道51号を鹿嶋方面へ、そこから約6km
*無料駐車場:
第二駐車場(55台)神社まで徒歩約5分
御手洗駐車場(30台)神社まで徒歩約10分
臨時駐車場(330台)神社まで徒歩約3分(正月や祭礼の時は有料)
*有料駐車場:第一駐車場(60台)神社まで徒歩約1分
普通車1時間以内 ¥300
【ご祭神・ご由緒】勝利の神・武術の神として朝廷や武家の崇敬を受けてきた
【ご祭神】
鹿島神宮、祈祷殿内 © 仰木一弘 wih LeicaQ
〈武甕槌大神〉
日本神話最強の武神、勝利の神。
「古事記」では「建御雷神」と記述されるように荒々しい雷神の性質をもちあわせます。
「天照大御神」の命を受け、「香取神宮」の「経津主大神」と共に、それまで日本を支配していた「大国主命」との国譲りの交渉を成功させました。
そのような由来から「香取神宮」とは対で語られ、圧倒的な強さで荒ぶる神々を平定された武神とされます。
【ご由緒】
鹿島神宮、絵馬© 仰木一弘 wih LeicaQ
創建は、神武天皇元年と伝えられ、紀元前660年創建というまさに歴史ある古社。
「神武天皇」が東征で窮地におちいったときに、「武甕槌大神」に救われたことに感謝し、この地にまつったとの言い伝えがあるそうです。
また、平安時代にまとめられた「延喜式神名帳(官社に指定されていた全国の神社一覧)」によると、「神宮」の称号で呼ばれていたのが「伊勢神宮」「鹿島神宮」「香取神宮」の3社のみという別格の格式を持ちます。
さらに、平安期から続く四方拝(元日の早朝に宮中で天皇が、天地四方の神々を拝する儀式)で遥拝される一社となっています。
鎌倉時代以降は、ご祭神の「武甕槌大神」が国譲り・国土平定に活躍した武神であることから、歴代の武家政権や大名からも崇敬され、「源頼朝」からも社領が寄進されました。
江戸時代に入ると、「徳川家康」が本殿(現在は奥宮社殿)を奉納。
さらに、徳川家将軍、藩主により社殿や楼門などが造営されています。
また、一般庶民にも崇敬が広まり、「お伊勢参りの禊の三社参り」として「鹿島神宮」と「香取神宮」・「息栖神社」の「東国三社参拝」も篤い信仰を集めたそうです。
歴史的にも重要な文化財
鹿島神宮、楼門 © 仰木一弘 wih LeicaQ
境内に入ると、水戸藩初代藩主「徳川頼房」が奉納した日本三大楼門のひとつといわれる朱塗りの「楼門」があります。
その先には徳川2代将軍の「秀忠」が寄進した本殿・石の間・幣殿・拝殿がありますが、いずれも重要文化財に指定されています。
そして、奥参道を進むと「武甕槌大神」の荒魂(神様のより荒ぶる活動的な側面)がまつられている「奥宮」が。
「荒魂」に象徴される強いエネルギーをもたらすことから、パワースポットとされています。
また、奥宮の社殿は「徳川家康」より関ヶ原の戦いの勝利の御礼に、「本殿」として奉納されたものです。
当初は現在の本殿の位置にあったそうですが、「徳川秀忠」により現在の本殿が奉納された際、「奥宮」として遷されました。
現存する境内の社殿では最古のもので、安土桃山時代の特徴を色濃く残し、こちらも重要文化財に指定されています。
他にも宝物館にある日本最古の巨大な直刀「布都御魂剣」など歴史的にも重要な文化財が多く残されているのです。
【社務所受付時間】
鹿島神宮、祈祷殿 引用:三和工務店
午前8:00~午後4:30
*新型コロナウイルスの影響で流動的なため、事前に電話で確認することをおすすめします。
【御朱印】
・受付場所:祈祷殿・社務所
・御朱印代:各¥300
御朱印は 「鹿島神宮」と「鹿島神宮 奥宮」の2種類があります。
平日でも数人の列ができるほど鹿島神社の御朱印は人気があり、休日になると長蛇の列になる可能性もあります。
なお、「東国三社巡り」をされている方は、三社の御朱印がそろうと記念品を頂くことができるそうです。
なお、オリジナルの御朱印帳は、楼門を刺繍したものや、毎年お正月に限定100冊のみ頒布される木製御朱印帳、相川七瀬さんとコラボレーションしたものなど種類が豊富です。
〈東国三社「大願成就」のお守り〉
「鹿島神宮」には、「東国三社参り」を済ませた人だけがさずかることができる「大願成就」のお守りがあります。
三角形の形をした本体は、東国1位という意味で「イチイ」という木でできていて、東国三社の位置関係を表しているそうです。
どの神社も本体は同じ物ですが、最初に本体を購入し、順番にお参りしたあと各神社の紋が入ったシールを貼ってお守りを完成させていきます。
【主な祭礼】
鹿島神宮、奥宮 ©仰木一弘 with LeicaQ
白馬祭
1月7日
白馬祭は、約750年の歴史を持つ祭。
かつて新年の最初に本殿の扉を開けるのに合わせ、馬を引き廻したお祭りが今に伝わっているという事です。
この地方では、年の初めに白馬を見ると1年中の邪気を祓われ縁起がいいとされ、その後、御神馬が踏んだものを持っていると願いが叶うともいわれています。
祭頭祭
3月9日
「鹿島神宮」の祭事の中で最も規模が大きい祭頭祭は、五穀豊穣や平和や繁栄を願うお祭りとして、長く鹿嶋の人々に親しまれてきました。
掛け声とともに、色鮮やかな衣裳をまとった囃が6尺(180cm)の樫棒を激しく束ねるように打ち合わせて進みます。
その勇壮な姿は、まさに春の始めの鹿島立ち神事といえます。
御船祭
毎年9月1日から2日に執り行われる「神幸祭」に加え、12年に一度の午年に行われるのが「御船祭」。
「武甕槌大神」が約3,000人の大行列・約120艘の大船団と共に巡幸して一の鳥居をくぐり、千葉県香取市まで水路にて向かいます。
そして、「香取神宮」のご祭神である「経津主大神」と水上で再会するというもの。
深く関わりのある2大神宮の神様が水上で再会する、内海では最古で最大の水上祭には、あらゆる邪気と不景気を祓う一陽来復(悪いことが続いたあとに物事がよい方に向かうこと)の願いが込められているそうです。
まとめ
鹿島神宮、武甕槌大神像 ©仰木一弘with LeicaQ
レイラインのスタート地点に位置する「鹿島神宮」。
「鹿島立ち」という言葉に象徴されるように「すべての始まりの地」といわれるパワースポットです。
そして、邪魔するものをはねのけ進む、勝利の武神「 武甕槌大神」のご神気が息づいている事から、人生の大きな節目や勝負時、大きな目標を持って前に進みたい時など心強い味方となってくれるといいます。
そんな人生のターニングポイントを迎える時には、ぜひ鹿島神宮へ足を運んでみてはいかがでしょうか。古来よりの力強いパワーをさずかりましょう!