隠岐諸島最大の島である島後、隠岐の島町に鎮座する「水若酢神社」。
隠岐の島町は、美しい自然や静かな雰囲気が人気の観光地となっているため、多くの観光客も訪れる神社です。
クロマツに囲まれた参道の奥に佇むご本殿は、隠岐特有の「隠岐造り」と呼ばれる珍しい建築様式で国指定の重要文化財に指定されています。
また、参道脇には隠岐の文化に欠かせない、相撲の土俵があります。
20年に一度の遷宮のときには、夜を徹した相撲が執り行われるそうですが、映画「渾身」の隠岐相撲の舞台としても有名になりました。
古典相撲などの映像鑑賞ができる五箇創生館や、隠岐の民具などを展示している隠岐郷土館が隣接しています。
【ご利益】交通安全、五穀豊穣、子孫繁栄、安産、家内安全など
「隠岐古典相撲大会」が行われる土俵
二の鳥居をくぐると立派な土俵に気がつくと思います。
隠岐地方は古くから相撲が盛んということですが、こちらの土俵は特別のもので、
20年に一度の遷宮のときや、お祝い事があったときに「隠岐古典相撲大会」が行われる、格式の高い土俵です。
古典相撲は、もともと神への奉納相撲「宮相撲」として行なわれていたとか。
「隠岐古典相撲」は、一番目は真剣勝負で、二番目は敗者に勝ちを譲るという、一勝一敗になるように二番勝負がとられるそうです。
人情相撲とも呼ばれ、島の伝統になっている「隠岐古典相撲」は島民からとても人気があり、島を挙げて夜通し取り組みが行なわれるそうです。
ちなみに、2013年1月に公開された映画「渾身KON-SHIN」の舞台でもありロケ地となっています。
隠岐地方特有の「隠岐造り」のご本殿
ご本殿は、他の地域では見ることのできない隠岐地方特有の「隠岐造り」と呼ばれる珍しい構造形式で、国指定の重要文化財です。
「隠岐造り」の特徴としては、茅葺の切妻屋根(最も単純な本を伏せたような山形の形状のもの)に向拝と呼ばれるひさしがついているというもの。
現在のご本殿は1795年(寛政7年)の再興のものとされ、簡素で素朴な美しさを持ち、威厳も感じられます。
島後では、隠岐国総社の「玉若酢命神社」本殿(西郷町)」とならんで、大規模な建築を今に伝えています。
「水若酢神社古墳群」に隠岐地域で最大級の横穴式石室
境内には「水若酢神社古墳群」と呼ばれる2基の古墳があります。
そのうち1号墳は長さ11mと隠岐地域で最大級の横穴式石室。
6世紀中頃~7世紀頃の土器や、鉄製品(太刀・鍬など)、勾玉などの装飾品が埋葬されていることから、古墳が造られた時代もこの頃と考えられているそうです。
さらに玄室(死者を埋葬する墓室)内からは、遺体を納めたと思われる石棺が2基見つかりました。
ご本殿の裏側にある2号墳については、封土が削られていますが、円墳とみられる墳丘が残されています。
このような古墳群から、古くから栄えた地域だったことがよくわかり、当時のこの地域の有力者との関係が考えられる古墳として重要なものとなっているそうです。
【所在地・アクセス】島の中央北寄りに位置する郡の集落に鎮座
<所在地・電話番号>
〒685-0311 島根県隠岐郡隠岐の島町郡723
TEL:08512-5-2123
<アクセス>
・西郷港からバスで約40分「水若酢神社前」下車、徒歩すぐ
・西郷港または隠岐空港から車で約25分
・無料駐車場:約30台収容
【ご祭神・ご由緒】隠岐国の国土開発と日本海鎮護の任務に就かれた神様をまつる
【ご祭神】
<主祭神>
『水若酢命』
隠岐国の国土開発と日本海鎮護の任務に就かれた神様と伝わります。
古事記・日本書紀に登場しない地方神で、詳しいことはわかっていないそうです。
<配祀神>
『中言命』(中言神)
『鈴御前』
【ご由緒】
由緒に関する古文書やのほとんどが中世期に兵火等で失われているため、創建についてあきらかではありません。
ただし、わずかに残っている古文書には「仁徳天皇の御代とあり、古くより五穀豊穣、海島守護、航海安全の神として崇敬されていたようです。
また、平安時代にまとめられた「延喜式神名帳(官社に指定されていた全国の神社一覧)」にも「水若酢神社名神大」と記されていることから、少なくとも平安時代から有力な神社であったと考えられています。
社殿の周囲には古墳時代後期の小規模な古墳があることからも、この地が隠岐の島の中心であったことがわかります。
【社務所受付時間】
午前9:00〜午後4:00
*新型コロナウイルスの影響で流動的なため、事前に電話で確認することをおすすめします。
【御朱印】
・社務所にて:午前9:00〜午後4:00
・御朱印代:¥300
【主な祭礼】
水若酢神社祭礼風流
隔年(西暦年の偶数年)5月3日
例祭の「水若酢神社祭礼風流」は、「御霊会風流」と「武良祭風流」とともに隠岐三大祭りの一つで、県の無形文化財に指定されています。
7歳くらいまでの男児が「山」と呼ばれる山車を曳くという「山曳神事」が祭りの幕開けとなります。
この神事は神迎え神事の原型を留めているそうです。
一方、馬場では五穀豊穰を願って流鏑馬の神事が行われますが、いずれも古い伝統を感じさせます。
まとめ
隠岐諸島の島後に鎮座する「水若酢神社」は、隠岐造りのご本殿が国指定の重要文化財に指定されており、多くの観光客が訪れる神社。
ご祭神には、隠岐国の国土開発と日本海鎮護の任務に就いた神と伝承わる「水若酢命」をまつり、古くより五穀豊穣、海島守護、航海安全の神として崇敬されてきました。
参道脇には映画「渾身」の舞台として有名になった土俵があり、20年に一度の遷宮や島内のお祝い事のときには、「隠岐古典相撲大会」が行われています。
境内の古墳群からも古くから栄えた地域だったことがわかる「水若酢神社」。
観光地としても人気がある隠岐の島を訪れた際には、ぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。