賀茂御祖神社、楼門 © 仰木一弘 wih LeicaQ
京都で最も古い神社の一つとされる「賀茂御祖神社」。
鴨川の下流にまつられていることころから「下鴨神社」、「下鴨さん」と親しまれています。
北区に鎮座する「賀茂別雷神社(上賀茂神社)」と共に「賀茂氏」の祖神をまつり、両社で行われる「葵祭」は京都三大祭りの一つとして有名。
また、「賀茂御祖神社」はさまざまなご利益があるとされますが、縁結びの「相生社」「連理の賢木」や、美のご利益を求めて「河合神社」には多くの女性が訪れるそうです。
国宝の社殿、多くの重要文化財の建築物、そんなお社を囲む自然豊かな「糺の森」を含め、世界文化遺産「古都京都の文化財」のひとつに登録されています。
【ご利益】多方面にご神徳をあらわす神様、縁結びのご利益が有名
国宝のご本殿は東西2棟からなります。
「西殿」にまつられる「賀茂建角身命」は、古代の京都を開拓し農耕をひろめた神で、世界平和・五穀豊穣のご神徳があるとされます。
また、神武東征(神武天皇の建国神話)の際、八咫烏と化して道案内をした功績から 、導きの神、勝利の神、方除、厄除け、試験などの合格、交通、旅行など多方面にご神徳をあらわしていらっしゃいます。
そして、「東殿」にまつられる「玉依媛命」は、古くから縁結び、安産、子育ての神として信仰されているそうです。
古代の原生林をそのまま残す「糺の森」
縄文時代から生き続ける深い木々に囲まれた「糺の森」は、なんと約12万4000平方メートル(東京ドームの約3倍)の広さ。
太古の自然を今に伝える国の史跡に指定されています。
また、参道に沿って流れる「瀬見の小川」は、鴨長明が詠んだ「方丈記」の和歌にも登場するそうです。
通るだけで開運パワーをいただくことができるとされ、静寂と神聖な雰囲気に包まれる人気の散策スポットとなっています。
きっと、小川のせせらぎや四季折々の美しさに心も体も癒されるのではないでしょうか。
縁結びで人気のパワースポット「相生社」と「連理の賢木」
「糺の森」を抜けると、見えてくるのが縁結びの神様「神皇産霊神」をおまつりする末社「相生社」。
ご祭神は、宇宙の生成力を神格化したとされ、「ムスヒ」が「ムスビ」と読むようになって縁結びの神様として信仰を集めるようになったものと考えらています。
縁結びとは恋愛だけでなく、さまざまなご縁を結んでいただける、ありがたいパワースポットなのです。
社の隣に立つご神木「連理の賢木」は、2本の木が途中から1本になって結ばれている珍しいもので、縁結びの神の霊験(霊妙不可思議な力の現れ)とされています。
また、たとえ枯れたとしても、このようなご神木が「糺の森」の神域に生まれるくるとか。
現在のご神木は4代目ですが、京の七不思議のひとつとして古くから知られているそうです。
「相生社」には、縁結び祈願をする特別な作法があります。
絵馬を奉納して良いご縁をいただきましょう。
1. 授与所受付で、絵馬の初穂料(500円)を納める
2.絵馬にお願い事を書いて、目隠しシールを上から貼る
3. ご縁を結ぶ願いをこめながら絵馬についている紅白の紐をしっかり結ぶ
4. お社のまわりを女性は反時計回りに2周する(男性は時計回り)
5. 3周目の途中で絵馬掛けに紐をかけて奉納
6. お社の正面に戻ってきたら二礼二拍手一礼して参拝
7. 連理の賢木の正面からでている綱「御生卑」を2回引いてお参り(カップルの方は両側から引く)
美麗祈願の摂社「河合神社」
「河合神社」中門の看板には「女性守護 日本第一美麗神」と記され、美麗祈願ができることで知られています。
ご祭神である「玉依姫命」は、玉のように美しかったことから古来より美麗の神として信仰されてきました。
また、「賀茂別雷神社(上賀茂神社)」のご祭神の母神にあたり、安産・育児・縁結びなどの願いを叶えるとされる女性守護の神様でもあります。
本殿脇には、顔が描かれた手鏡形の絵馬がたくさん奉納されていますが、こちらが「鏡絵馬」と呼ばれるものです。
絵馬にあらかじめ描かれた顔に美しくお化粧して、裏面にお願いごとと自分の名前を書いて奉納します。
その時に、自分が普段使っているメイク道具で描くとさらにご利益があるとか。
まさに女性のためのパワースポットですね。
「河合神社」での参拝を終えたら、休憩所で「賀茂御祖神社」の庭で採れるカリンと、ご神水で作られたという「美人水」をいただいてみてはいかがでしょうか。
若々しい肌をつくる効果があるそうです。
神事が行われるお祓いのお社「井上社(御手洗社)」
井戸の上にまつられているのが末社「井上社(御手洗社)」。
お社の前には「みたらしの池」があり、「御手洗川」が流れています。
災難厄除けの神様をまつり、土用の丑の日には、池に足を浸して疫病や病封じを祈願する「足つけ神事」が行われることで有名。
普段は池の水が少ないのですが、土用の丑の日が近づくにつれ清水が湧き出てくることから京の七不思議のひとつとされています。
また、池底から自然に湧き上がる水の泡を人の形にかたどったものが「みたらし団子」とされ、みたらしの池はその発祥地と伝わるそうです。
そして、「みたらしの池」に浸すとおみくじの結果が浮かび上がってくるという「水みくじ」が人気となっています。
干支の守護神をまつる「言社」
ご本殿前には「言社」と呼ばれる7社の小さなお社が並んでいます。(重要文化財)
それぞれ干支(十二支)の守護神がまつられ、通称「大国さま」として古くから信仰されているお社。
多くの呼び名をもつ「大国主命」ですが、名称ごとに異なるご神徳があるとされ、お社ごとにその呼び名を干支の守り神としています。
ご自分の干支の所はもちろんですが、その年の干支の神様にもお参りしておくと、ご利益が増すといわれているそうです。
【所在地・アクセス】京都鴨川の下流にまつられているお社
<所在地・電話番号>
住所:〒606-0807 京都市左京区下鴨泉川町59
TEL:075-781-0010
<アクセス>
■電車・バスをご利用の方:
〈市バス〉
京都駅前から市バス(4・205系統)に乗車
バス停「下鴨神社前(または糺ノ森前)」下車徒歩すぐ
〈地下鉄とバス〉
京都駅から地下鉄烏丸線で「北大路駅」下車
北大路駅より市バス(1・205系統)に乗車
バス停「下鴨神社前(または糺ノ森前)」下車徒歩すぐ
〈JRと京阪線〉
京都駅からJR奈良線で「東福寺駅」下車
京阪線に乗り換え「出町柳駅」下車、徒歩約12分
■車をご利用の方:
〈関東・名古屋方面から〉
名神高速道路「京都東IC」より約30分
〈兵庫・大阪方面から〉
名神高速道路「京都南IC」より約35分
*駐車場は有料
西駐車場:30分200円(約300台収容)
以前は神社の南側にもありましたが、現在は西側にある駐車場のみとなっていますので、ご注意ください。
【ご祭神・ご由緒】京都最古といわれる歴史を誇る
【ご祭神】
西殿:「賀茂建角身命」
「玉依姫命」の父神、「賀茂別雷神社(上賀茂神社)」の主祭神「賀茂別雷命」の祖父にあたる神様。
古代の豪族・賀茂氏の祖神。
古代の京都を開いた神でもあり、「平安京」が造営されるにあたり、 朝廷はまず「賀茂御祖神社」に成功を祈願したとされます。
また、神武東征の際、八咫烏に化身され先導役をつとめたと伝わります。
東殿:「玉依媛命」
「賀茂別雷神社(上賀茂神社)」の主祭神「賀茂別雷命」の母神。
伝説によると、姫が鴨川で禊をしている時に流れてきた丹塗りの矢(化身した「火雷神」)を持ち帰って床に置かれたところ、身籠り「賀茂別雷命」を出産したとされます。
また、そもそも「玉依媛命」は固有名詞ではなく、「霊の憑りつく巫女」という意味だという説もあるそうです。
【ご由緒】
「賀茂御祖神社」は、京都最古の神社のひとつとされていますが、その創建年代は不明。
ただ紀元前90年には垣根の修繕が行われた記録があることから、それ以前の時代から神社は存在したとされています。
それは、「糺の森」周辺の発掘調査の際、弥生時代の遺跡が数多く発掘されたことからも裏付けられているそうです。
794年「桓武天皇」が平安京へ都を移す際に、まず「賀茂御祖神社」で成功のご祈願が行われとされ、それ以降、国と首都京都の守り神として、また皇室の氏神様として特別の信仰を受けるようになりました。
さらに、「源氏物語」や「枕草子」などに登場するほど、この時代の文化、宗教の中心地の一つとして栄えたようです。
鎌倉時代以降は、室町時代、そして戦乱の世になっていくにつれ、次第に勢力が衰えましたが、江戸時代には、神社の運営のため幕府より領地が寄せられました。
東西にある2つの本殿が国宝であるだけでなく、重要文化財の建築物はあわせて53棟。
さらに太古の自然を残す史跡「糺の森」も含め、平成6年(1994年)には「古都京都の文化財」のひとつとして、ユネスコの世界文化遺産に登録されました。
【社務所受付時間】
午前9:00〜午後5:00
*新型コロナウイルスの影響で流動的なため、事前に電話で確認することをおすすめします。
御朱印
・御朱印代:¥500
・受付時間:午前9:00〜午後4:00
「御祈祷・御朱印受付所」にていただくことができます。
ちなみに通常時の物と、葵祭(5月15日)限定のものがあります。
また、下鴨神社の神紋「双葉葵」紋も入っている洗練されたデザインのオリジナルの御朱印帳も購入できます。(白・紺・ピンクの3色)
【主な祭礼】
葵祭(賀茂祭)
5月15日
祇園祭・時代祭と並ぶ、京都三大祭の一つとして知られているお祭り。
「葵祭」は、上賀茂・下鴨両神社合同の例祭(最も重要な祭)として、国家の安泰や国民の安寧を祈願し行われます。
起源は大変古く、「源氏物語」や「枕草子」にも描かれました。
江戸時代の頃から、社殿や、行列の人々の飾りや牛車などにも葵の葉を飾ったことから「葵祭」と呼ばれるようになったそうです。
お祭りのハイライトとされるのは、京都御所から下鴨神社・上賀茂神社へ総勢500人を超える平安絵巻さながらの優雅な行列がねり歩く「路頭の儀」。
平安装束に身を包んだ行列が約8Kmの距離を一日かけて進んでいきます。
みたらし祭
7月の「土用の丑の日」前後4日間
「御手洗社」の祭札で、「足つけ神事」ともいわれ、普段は入れない、神聖なみたらし池の中に入ることができます。
京都の夏の風物詩でもあり、楼門前にはみたらし団子をはじめ、京都の老舗名店が出店し多くの参拝者でにぎわいます。
御手洗川に膝まで足を浸し、罪やけがれを祓い無病息災をお祈りしますが、 平安時代の貴族が、季節の変わり目に行なっていた禊の風習に由来しているそうです。
まず受付でお供え料を納めて、ロウソクをいただいてから池の中に入ります。
ロウソクの火を消さないように進み、「御手洗社」前の祭壇にお供えして無病息災を祈りましょう。
まとめ
京都市内を流れる鴨川の下流域にある「下鴨神社」。
正式名称「賀茂御祖神社」は、京都で最古とされる神社のひとつです。
東京ドームの約3倍もの広さがある「糺の森」は、太古からの貴重な自然が残され、昔から変わらぬ神聖な空気に包まれています。
境内には、パワースポットとしても人気の高い縁結びの神様「相生社」、二本の木が途中で一本に結ばれたご神木の「連理の賢木」、美麗祈願できる「河合神社」、「みたらし団子」発祥の地とされる「みたらし池」などがあります。
京都の風情が漂う魅力的な「下鴨神社」、ご利益をさずかりながらゆっくり参拝したいものですね。