「粟鹿神社」は、天空の城・日本のマチュピチュとも呼ばれる「竹田城跡」がある兵庫県朝来市に鎮座します。
2000年以上の歴史がある但馬国(現在の兵庫県北部の地方)最古の神社とされ、但馬五社の一つ。
三柱の主祭神と配祀神の八柱の神々をまつり五穀豊穣、家内安全などのご利益があるとされています。
杉やヒノキの巨木に囲まれ、地面や木々は苔におおわれた厳かな境内。
古代の雰囲気をそのままに伝えている1,540坪に及ぶ神域の社叢はとても見ごたえがあり、木製で珍しいとされる迫力満点の狛犬が有名です。
また、扉に彫られた鳳凰が鳴いたとされる「勅使門」をはじめ、「粟鹿神社の七不思議」の言い伝えがあり、霊験あらたかな神社とされています。
【ご利益】五穀豊穣、家内安全などのご利益があるとされる
五穀豊穣、家内安全などのご利益があるとされ、さらに、境内の末社のご利益として、縁結びや商売繁盛のご利益も授かれるそうです。
扉に彫られた鳳凰が鳴いたとされる「勅使門」
勅使というのは天皇の使者のこと。
鳥居の近くにある「勅使門」は、勅使か天皇しか出入りできないため、いつもは閉まっています。(10月17日の例大祭に開かれる)
「栗鹿神社」の記録では、4回の勅使参向(高位の人の所へ出向くこと)があったことがわかっているとか。
また、「神功皇后」が朝鮮半島にわたって新羅を征伐(三韓征伐)を行った時に、功績のあった「粟鹿神社」に勅使を遣わされたそうです。
そのため、勅使を迎える「勅使門」が約600年前に建てられたと伝わります。
「勅使門」の左右の扉に彫られた鳳凰(古代中国で尊ばれた想像上の霊鳥)には、古くから伝わる不思議な話が残っています。
江戸時代に活躍した「左甚五郎」が彫ったとされますが、右側の鳳凰は、首から下しかありません。
なんでも、名作ゆえに鳳凰が門を飛び出して人を驚かせ、鳴き声もうるさかったとか。
苦情がきたため「左甚五郎」が1羽の首を切り落とした後には、鳴かなくなったと伝えられています。
神社を訪れた際には鳳凰の躍動を感じてみてはいかがでしょうか。
「粟鹿神社」に伝わる七不思議
境内には六社の末社がまつられています。
随神門をくぐったところに「天満宮」。
ご祭神:学問の神様「菅原道真公」
拝殿の側の池の中に「厳島神社」。
ご祭神:財運の女神「市杵島姫命」
その後方、丘の上には「稲荷神社」。
ご祭神:農業・食物の神「保食神」
丘の麓に「茗荷神社」。
ご祭神:野の精霊とされる「草野姫命」。
拝殿の近くの「床浦神社」と「猿田彦神社」。
ご祭神:縁結びの神様である「大己貴命」
ご祭神:導きの神とされる「猿田彦神」
そして「粟鹿神社の七不思議」の言い伝えがあり、霊験あらたかな神社とされています。
■七不思議紹介
1.旧暦2/4の祈念祭に、境内の茗荷神社の池に毎年必ずみょうがが芽を出し、その長短によってその年の稲作の豊凶を占う。
2.勅使門の彫刻2羽の鳳凰が毎夜鳴くので、作者の左甚五郎が1羽の首を切り落とすと、以降鳴かなくなった。
3.御手洗の池を3回まわって手をたたくと大蛇がでる。
4.「もみ火の御供さん」と呼ばれるかまど形の石があり、ここで御供さんを炊いた後、土を盛っておくと翌年まで暖かさが残る。
5.玉の井の水は天下の名水で、どんな大飢饉の年にも枯渇したことがない。
6.亀を放すとよいといわれている四角い池の水は、奈良の二月堂の水に通じている。
7.御手洗の池に丸木の橋をかけ、その上に俵を置いてお祈りすると必ず雨が降った。
【所在地・アクセス】「竹田城跡」がある朝来市に鎮座
<所在地・電話番号>
〒669-5125 兵庫県朝来市山東町粟鹿2152
TEL:079-676-2465
<アクセス>
■電車をご利用の方:
・JR山陰本線「梁瀬駅」よりタクシー約10分
または隣の「和田山駅」よりタクシー約20分
*「梁瀬駅」はタクシー常駐しないため電話連絡が必要です。
■車をご利用の方:
・北近畿豊岡自動車道「山東IC」下車、約5分
*無料駐車場:約60台収容
【ご祭神・ご由緒】2000年以上の歴史があるとされる但馬最古の社
【ご祭神】
主祭神は三柱で、配祀神として八柱の神々をまつっています。
<天美佐利命>
大国主命の御子
<日子坐王命>
「開化天皇」の第三皇子
この地を開発した四道将軍の一人として丹波(現在の京都府、兵庫県)一帯を平定したとされます。
ご本殿裏の円墳は、当地で亡くなった「日子坐王命」の墳墓と伝わります。
<日子穂穂手見尊>
日本神話にみえる神。
多くの別称がありますが、一般的には「山幸彦」として知られています。
【ご由緒】
創建は不詳ですが、2000年以上の歴史があるとされ、但馬最古の社と伝わります。
粟鹿の名は、粟鹿山に住む鹿が三束の粟をくわえて村に現われ、人々に農耕を教えたことに由来するとされ、「粟鹿神社」にその鹿がまつられているといわれています。
また、第10代「崇神天皇」の時代に、粟鹿山の荒ぶる神「天美佐利命」を鎮めるためにおまつりし、創建したとも伝わります。
朝廷からの信頼が厚く、「神功皇后」が朝鮮半島にわたって新羅の征伐(三韓征伐)を行った際にご加護を得られたことから、国の大難に対して4度の勅使が遣わされたそうです。
勅使を迎えるために建立された「勅使門」は、応仁の乱の戦火で社殿が消失した際にも消失を免れたとされます。
【社務所受付時間】
午前9:00〜午後5:00頃
*新型コロナウイルスの影響で流動的なため、事前に電話で確認することをおすすめします。
【御朱印】
・社務所の向かいのご自宅にて:午前9:00〜午後5:00頃
・御朱印代:¥300
【主な祭礼】
瓶子渡
10月17日
毎年10月17日に、「さあござれ」とも呼ばれる、古式ゆかしい「瓶子渡」の儀式が行われます。
200年以上も続く但馬の伝統行事で、「粟鹿神社」の例大祭です。
ご本殿前の階段で、麻の裃を着た4人のうち、2人ずつ階上・階下に分かれ、下の者は稲・茄子・御陵柿の三宝を持ち、「さあござれ」「さあ」「さあ」と左右交互に差し違えながら近づきます。
狂言のようなやりとりをしながら数回繰返し、意気が会った時に三宝を階上の者に渡し、瓶子(酒をいれて、つぐのに用いる器)と共に殿内に納めて儀式が終わるというもの。
全国的にも例を見ないユニークな行事とされています。
まとめ
兵庫県朝来市に鎮座する「粟鹿神社」は、但馬国最古の神社で、およそ2000年以上の歴史があるとされます。
「粟鹿」とは、鹿が粟をくわえて山から現れ、人々に農耕を教えたことからつけられた名前と伝わり、「粟鹿神社」にはその鹿がまつられているとか。
五穀豊穣、家内安全のご利益、また末社では、縁結びや商売繁盛のご利益も授かれるそうです。
勅使か天皇しか出入りできないとされる勅使門の扉に彫られた「粟鹿神社の七不思議」の一つとされる鳳凰も見どころです。
境内は、古代の雰囲気をそのままに伝えている神域の社叢に囲まれ、本殿裏には、当地で亡くなった「日子坐王命」の墳墓と伝わる円形の古墳が。
自然と一体化した信仰が息づく「粟鹿神社」で、神々しさに包まれてみてはいかがでしょうか。