宇都宮二荒山神社、鳥居©仰木一弘 wih LeicaQ
皆さんは、宇都宮と言うと何を思い浮かべますか?すっかり餃子の街として全国で知られていますよね。
宇都宮は、1600年以上の歴史を誇り、氏神様として信仰されてきた「宇都宮二荒山神社」を中心に栄えてきたとされています。
大きなビルが立ち並ぶ市街地に、迫力のある大鳥居と、自然あふれる境内が美しい神社は、市民の憩いの場であり、地元では通称「ふたあらさん」と親しまれています。
ご祭神には戦いの神様をまつることから、勝運にご利益があるとされ、境内にある井戸「明神の井」はパワースポットとして有名。
また「初辰稲荷神社」は商売繁盛、「女体宮」は女性の身心諸願成就など、12社もの末社があり、さまざまなご利益をさずかることができるそうです。
地元ならではの「しあわせ餃子おみくじ」も人気があります!
【ご利益】下野国全ての神社のご利益を授かれると伝わる
ご祭神の「豊城入彦命」は東国をしずめ、いまの栃木県・群馬県の基礎をつくったとされます。
そのような由来から、戦いの神様として勝運のご利益があるとされ、天下を取った名だたる武将が戦勝祈願に訪れた神社といわれています。
また、地元では、「宇都宮二荒山神社」に参拝すれば下野国(今の栃木県)にある全ての神社のご利益を授かれると伝わり、信仰を集めてきました。
ご霊水をいただけるパワースポット
宇都宮には湧水が多く、江戸時代の人々は、主な湧水を7つ選び「七水」とよんで名所としていました。
境内にある井戸「明神の井」は、その宇都宮名水「七水」のひとつとして数えられ、明治天皇がおいでになった時にさしあげた、茶湯に使われたそうです。
また、このご霊水ですった墨で書を書くと、書道が上達するという信仰があったり、飲むと男性は包容力がアップし、女性は美しく優しくなれるといわれるほど、大変ありがたいものとされています。
参拝に訪れた時には、ご霊水の恩恵にあやかりたいものですね。
さまざまなご利益がさずかれる末社
境内には12の末社(本社に付属した神社)がまつられています。
初辰稲荷神社(豊穣・商業の神)
女体宮(安産の神)
十社(県内延喜式内社の合祀)
東照宮(徳川家康公)
荒神社(疫病鎮め神)
松尾神社(醸造の神)
剣宮(武徳の神)
十二社(肇国の神)
菅原神社(学問の神)
須賀神社(お天王さん)
市神社(市・商業の神)
水神社(水の守神)
その中でも人気のスポットとされるのは、連なる朱塗りの鳥居が印象的な「初辰稲荷神社」。
「倉稲魂命」をまつり、五穀豊穣、商売繁盛のご利益があるといわれています。
七五三詣には、記念撮影の場所とされているそうです。
また、女性の守り神とされる「女体宮」。
ご祭神の「三穂津姫命」は、生産・出産の女神とされ、女性の身心諸願成就、安産などにご利益があるとされています。
もし安産祈願で訪れるときは、正面の階段(95段)ではなく、裏の坂の側から行かれることをおすすめします。
ご本殿のあとには、末社も参拝してご利益をさずかってくださいね。
【所在地・アクセス】宇都宮の市街地にたたずむ
<所在地・電話番号>
〒320-0026 栃木県宇都宮市馬場通り1-1-1
TEL :028-622-5271
<アクセス>
■電車をご利用の方:
・JR「宇都宮駅」西口よりバスで約5分
関東バスなどの市内バス⌈馬場町・二荒山神社前⌋にて下車、徒歩約3分
・または東武宇都宮線「東武宇都宮駅」より徒歩約15分
■車をご利用の方:
・東北自動車道「鹿沼IC」より約25分
・東北自動車道「宇都宮IC」より約20分
・北関東自動車道 「宇都宮上三川IC」より約25分
●駐車場(最大300台収容/有料)
・時間:午前8:00より午後9:00
・料金:30分100円(最大12時間 800円)
*ご祈祷の方は利用時間内2時間無料
【ご祭神・ご由緒】源頼朝や徳川家康も戦勝祈願に訪れた古社
【ご祭神】
3柱の神様がまつられています。
<主祭神:豊城入彦命>
第10代「崇神天皇」の皇子。
天皇の命令により東国を治め、毛野国(栃木県・群馬県)をひらいた祖先の神とされます。
東国を平定後には「豊城入彦命」の子孫が上毛野君・下毛野君となって、この地を支配したといいます。
<相殿神:大物主命>
一般的には、日本の国造りをした「大国主命」の和魂(にぎたま・穏やかな側面)であるとされ、大黒様としてまつられることも多い神様です。
蛇神であり、水神または雷神としての性格を持つとされています。
また国の守護神であり、祟り神として登場することもあります。
<相殿神:事代主命>
別称:「八重事代主神」「八重言代主神」など複数のよび方があります。
「大国主命」の子として*国譲りの際に登場する神様。
神名の「ことしろ」とは「言代」の意味から、神に代わって「言葉を代わりに申し上げる」役割があるそうです。
また、恵比寿神と同一視され、海の神、商売の神、言霊の神とされています。
*〈注釈〉国譲り:参照元 神社本庁サイト
【ご由緒】
正式名称は「二荒山神社」ですが、日光の「二荒山神社」との区別のために地名をつけて「宇都宮二荒山神社」とされています。
古くは「宇都宮大明神」などともよばれ、あつく保護されてきました。
社伝によると、およそ1600年前、下野国国造(朝廷によって任じられた地方官)の「奈良別王」が祖先である「豊城入彦命」ををまつったのが始まりとされます。
平安時代にまとまられた「延喜式神名帳(当時「官社」に指定されていた全国の神社一覧)」には名神大社として「下野国河内郡二荒山神社」と記されましたが、その記された神社が、宇都宮か日光のどちらを指しているのか長い間議論となっているそうです。
現在は、どちらも下野国一之宮をなのっています。
ちなみに、「宇都宮二荒山神社」が一之宮と呼ばれていたのが訛って、宇都宮の地名になったと伝わりますが、他にも地名の由来になったとされる説があるようです。
その後、「平将門」を討った「藤原秀郷」をはじめ、「源頼朝」が平家追討の祈願を行い、「徳川家康」が関ヶ原の戦いでの戦勝祈願を行ったとされます。
そして、歴代の武将が社殿の改築や、貴重な宝物を寄進し、現在にいたっています。
「宇都宮二荒山神社」は、たびたび戦火や火災で社殿を失い、現存する建物は、戊辰戦争で焼失した後、明治10年に明治新政府が仮社殿として再建したものです。
なお、石垣の一部には、江戸時代に大谷石(宇都宮市大谷地区でしか産出されない石)を使って組まれたものがあり、日本遺産「地下迷宮の秘密を探る旅 大谷石文化が息づくまち宇都宮」の構成文化財になっています。
【社務所受付時間】
午前8:30〜午後4:00
社務所には、武将の兜や十字槍や刀など宝物が展示されていて(無料)、その中には、鎌倉時代に作られた国指定重要美術品の「鉄製狛犬」が置かれています。
私たちが見慣れている獅子の狛犬像とはだいぶ違っていて、「日本一かわいい狛犬」といわれているとか。
また、こちらをモチーフにした「こま犬守り」は、心身守護・身辺守護・ペット守護のご利益があるとされ、女性を中心にとても人気があるそうです。
*新型コロナウイルスの影響で流動的なため、事前に電話で確認することをおすすめします。
【御朱印】
・社務所にて:午前8:30~午後4:00
・御朱印代:¥500
・福の神御朱印:¥1,000(2対1組)
「福の神御朱印」は、相殿神 大物主命(大黒様)、事代主命(恵比寿様)の絵が描かれているもので書き置きです。
・オリジナル御朱印帳:¥2,000 (御朱印代を含む)
社紋と大鳥居がデザインされた色違いの2種類が用意されています。
〈しあわせ餃子おみくじ〉
宇都宮ならではのご当地みくじ。
餃子(餃子をかたどった二つ折りの厚紙)を、箸でつかんでおみくじを引くというユニークなものです。
中には、おみくじと、5種類の小さな縁起物餃子が入っています。
恋愛成就・金運上昇・学業成就・厄除健康・運気上昇とそれぞれご利益が違うそうです。
全国でもここでしか引けない餃子おみくじ、これは引いてみたくなりますね。
【主な祭礼】
〈例祭(秋山祭)〉
10月21日
〈菊水祭〉
10月最終土・日曜日
「菊水祭」は例祭である「秋山祭」の付祭り(本祭につけて行われる祭り)で、
最もにぎやかな市民から愛されているお祭り。
江戸時代から続いているとされています。
ご祭神「豊城入彦命」を鳳輦(神輿の一種)にのせ、行列の到来を告げる太鼓の音とともに、街を練り歩く渡御行列が見どころ。
また、古式ゆかしい衣装を着た流鏑馬が奉納されますが、武者が馬を走らせながら、的を射る姿を見ようと、沿道には大きな人だかりができるそうです。
宇都宮の街中で、本物の馬が疾走する光景は迫力がありそうですね。
まとめ
「宇都宮二荒山神社」は、宇都宮の地名の由来であるともいわれ、街の象徴とされる古社。
「ふたあらさん」と親しまれ、自然豊かな境内は市街地の中の憩いの場になっています。
また、「源頼朝」や「徳川家康」など有名な武将が戦勝祈願に訪れたとされ、勝運のご利益がある神社として知られています。
さらに、広い境内には数々の末社がまつられ、たくさんのご利益をさずかることができるそうです。
「参拝すれば、下野国にある全ての神社のご利益を受けられる」と伝わる、宇都宮で最も有名な神社に、ぜひ一度訪れてみてはいかがでしょうか。