筥崎宮、拝殿 ©仰木一弘 wih LeicaQ
何度も日本一に輝いているプロ野球チーム「福岡ソフトバンクホークス」をはじめ、多くのプロスポーツチームや有名スポーツ選手、政治家などが毎年必勝祈願に訪れる「筥崎宮」。
国の重要文化財に指定されているご本殿や拝殿、「敵国降伏」と書かれた大きな扁額がかかげられている楼門などには歴史が感じられます。
「お潮井浜の真砂」や「湧出石」「銭洗御神水」などのパワースポットも参拝者に人気です。
また、「筥崎宮」で行われる博多三大祭りとされる「放生会」は、期間中に100万人以上の方が訪れる秋の一大祭典となっています。
【ご利益】 勝運の神が人生の勝ちを運んでくださる
鎌倉時代の蒙古襲来(中国を支配していた元の軍による日本侵攻)のおり、ご祭神の神威で神風を吹かせ困難に打ち勝ったとされることから、「勝運の神」「厄除けの神」として知られています。
そのため、スポーツだけではなく、学業、就職、受験、仕事、選挙などの勝負事において勝つことができるよう「筥崎宮」に訪れる参拝者が後を絶たないそうです。
地元ではプロ野球球団の「福岡ソフトバンクホークス」をはじめ、Jリーグの「アビスパ福岡」、プロバスケットボールの「ライジング福岡」などが、毎年必勝祈願を行っています。
石を撫でると運が湧きでるとされるパワースポット
一之鳥居をくぐった右手側にある「湧出石」、こちらの石を撫でると、運が湧きでるとされる特別な石とされています。
「湧出石」は真砂(細かい砂)が敷かれた境内の地面から、うっすら滑らかな石肌をのぞかせていますが、昔から、「国に一大事がある時、地上に姿を現す」という言い伝えがあるといいます。
運気アップや開運を願い、多くの参拝者がこの石に触れていくそうです。
箱崎地区の名前の由来となっているご神木「標の松」
楼門のそばに、朱色の玉垣で囲まれた松の木がありますが、こちらの松は、ご神木とされ「標の松」とも呼ばれています。
「応神天皇」が生まれたときの御枹衣(へその緒)を筥に納めて白砂青松の岬に埋め、その標として松を植え「筥松」と名付けられました。
以降、こちらの筥松がある岬(崎)ということで、現在の箱崎の地名の由来になったそうです。
ただし、「筥」の文字は天皇様に畏れ多いとして、「箱」の文字が用いられたとされます。
金銭を洗い清める「銭洗御神水」
手水舎のところに、「銭洗御神水」のコーナーがあります。
てぼ(竹かご)にお金を入れて御神水で洗い清めながら、心清らかに福寿開運を祈願します。
そのお金を持ち帰り使うことで、世の中を巡り福をさずかることができると信じられているそうです。
神聖な場所お潮井浜の真砂
「筥崎宮」前の「箱崎浜」は博多湾でも特に神聖な場所とされています。
「お潮井浜」と呼ばれ、海岸の真砂を「お潮井」といいます。
このお潮井は、古来より神聖なるものと考えられ、清めの砂として用いる習慣があるそうです。
3月と9月の春季・秋季社日祭にあわせて、お潮井取り(お潮井汲み)が行われますが、この「お潮井」は特に尊いものとされ、ご利益を求めて多くの参拝者が訪れます。
ちなみに、境内に置かれている「お潮井浜の真砂」には、厄除開運の祈願がされているそうです。
【所在地・アクセス】福岡市内でアクセスが便利
福岡市内にあるので、交通の便が充実しています。
各主要駅などから、JR、地下鉄といった電車、JR九州バス、西鉄バスをご利用ください。
<所在地・電話番号>
〒812-0053 福岡市東区箱崎1-22-1
TEL:092-641-7431
<アクセス>
■車をご利用の方:
・九州自動車道「福岡IC」から約25分
※無料駐車場:
宮前駐車場・・・100台
外苑駐車場・・・230台
■電車をご利用の方:
・福岡市営地下鉄:箱崎宮前駅下車→徒歩3分(1番出口)
・JR鹿児島本線: 箱崎駅下車→徒歩8分
■バスをご利用の方:
・西鉄バス:箱崎下車→徒歩3分
・JR九州バス:箱崎1丁目下車→徒歩2分
【ご祭神・ご由緒】福岡県宇美町にお生まれになられたとされる「応神天皇」を主祭神とする
【ご祭神】
〈応神天皇〉
別称:「八幡大神」「誉田別尊」。
父は「仲哀天皇」、母は「神功皇后」。
第15代天皇であり、大和朝廷の華やかな時代である4世紀後半に実在したといわれています。
現在の福岡県宇美町にお生まれになられたと伝わります。
武運の神、国家鎮護の神とされ武家から朝廷、庶民にまで広く信仰されている神様です。
〈神功皇后〉
別称:「息長帯姫命」。古事記・日本書紀にみえる伝承上の人物。
第14代「仲哀天皇」の皇后で、「 応神天皇」の母。
「仲哀天皇」の没後、お腹に子をやどしたまま朝鮮半島に遠征し、帰国後に「応神天皇」を無事に出産したと伝えられ、安産・子育ての女神として信仰されています。
〈玉依姫命〉
別称:「玉依毘売」「玉依姫尊」など複数の表記があります。
初代天皇「神武天皇」の母神様、海の神・水の神とされています。
また、一人の神様を表すものではなく、「玉(魂=神)が依りつく姫」を意味するともいわれています。
【ご由緒】
「筥崎宮」は、「筥崎八幡宮」ともよばれ、大分県「宇佐神宮」、京都府「石清水八幡宮」とともに日本三大八幡宮とされています。
創建の時期については諸説ありますが、一説によれば、平安時代の中頃に、「醍醐天皇」がこの地に壮麗な社殿を建て、筑前大分宮(穂波宮)より遷したとされています。
創建後は祈りの場として篤い崇敬を集め、海外交流の場としても重要な役割を果たしました。
また、鎌倉中期、蒙古襲来のおり神風が吹き困難に打ち勝ったとされ、この神風が筥崎宮によるものだということから、厄除・勝運の神として知られていきます。
その後は、「足利尊氏」、「豊臣秀吉」など歴史に名を残している偉大な武将も「八幡大神」の御神徳を仰ぎ訪れたことで、「筥崎宮」は更に繁栄しました。
江戸時代には、福岡の歴代藩主にも崇敬を集め、現在では福岡の博多の彩る杜として広く親しまれています。
<「敵国降伏」と書かれた扁額が大迫力の「楼門」>
「筥崎宮」のシンボルとして参拝者に大きなインパクトを与えるのが、国指定重要文化財の「楼門」です。
わずか12坪の建坪に対して、83坪もの屋根を有した雄大な建物。
金色の文字で「敵国降伏」と書かれた扁額をかかげていることから伏敵門とも呼ばれています。
もともと「敵国降伏」というのは、「筥崎宮」がこの地に移された時に、「醍醐天皇」がご宸筆(天皇自筆の文書のこと)を奉納されたと伝わります。
「武力によって相手を降伏させるのではなく、徳をもって接すれば自ら降伏するのだ」という考えを説いているそうです。
また、13世紀の蒙古襲来で社殿は焼失したとされますが、当時の「亀山上皇」が復興を願い「敵国降伏」と書いた書を納めたといいます。
ちなみに現在の額は、平成の大修理で復原作成されたものということです。
【社務所受付時間】
社務所(札所)午前7:30~午後5:00
*新型コロナウイルスの影響で流動的なため、事前に電話で確認することをおすすめします。
【御朱印】
・社務所(札所)にて:午前9:00〜午後4:30
・御朱印代:¥500
黒地にゴールドの社殿と白い鳩、裏面には「敵国降伏」の扁額が描かれているオリジナルご朱印帳があります。
■厄をはじくとされる「筥崎宮おはじき」
「筥崎宮」のおはじきは「厄をはじく」とされ、以前は秋のお祭り放生会に「放生会おはじき」として数量限定で販売されていたそうです。
徹夜で並ぶほどの人気で、プレミアがつき高値で取引されたため販売中止になっていたものが「筥崎宮おはじき」として復活し、今は通年販売されています。
「筥崎宮」にゆかりのある筥松や湧出石などの全20種類のおはじきが、一つ一つ手作りで焼かれたもの。
数量には限りがあるので一人ひとつしか購入できないそうですが、興味のある方は参拝記念としておすすめです。
桐箱入:¥3,000
額縁入:¥12,000
【主な祭礼】
九州三大祭りの一つ「玉取祭」
1月3日
玉取祭は別名「玉せせり」とよばれ、全国にも知られる九州三大祭のひとつです。
祓い清められた陰陽2つの木玉を末社「玉取恵比須神社」に運ばれたのち、陽の玉は、裸に締め込み姿(ふんどしを締めた祭りの恰好)の男衆に手渡され祭典が始まります。
この玉に触れると悪事災難を逃れることができ、幸運をさずかるとされることから、激しい争奪戦を繰り広げられますが、勢い水を浴びながら本宮に向かって競り進む姿は、大迫力で一見の価値ありです。
毎年100万人以上が訪れる放生会
9月12日〜18日
「春の博多どんたく」「夏の博多祇園山笠」とならび博多三大祭りの一つ。
放生会は、「万物の生命をいつくしみ、殺生を戒いましめ、秋の実りに感謝する」お祭りで、千年以上前から続く最も重要な祭典。
また、参道一帯には約500百軒もの露店が立ち並び、大変な賑わいをみせる九州最大級の秋祭りです。
福岡市無形民俗文化財に指定されている御神幸(神輿を担いで行列で周ること)が1年おきに行われ、祭りの期間中は、のべ100万人以上が訪れるそうです。
まとめ
日本三大八幡宮に数えられる「筥崎宮」は、蒙古襲来の際に神風によって困難に打ち勝ったことから、厄除け・勝運の神として有名。
福岡の球団ソフトバンクホークスなど有名スポーツチームが必勝祈願に訪れるそうです。
福岡市内にあるので、交通の便が充実していて、境内には触ると運が湧き出るという「湧出石」、福寿開運を祈願できる「銭洗御神水」などのパワースポットがあります。
また、ご本殿、拝殿、楼門など多くの国指定重要文化財を見ることができます。
「お潮井」と呼ばれる真砂にて穢れを祓い、人生のさまざな勝負事がうまくいくよう訪れてみてはいかがでしょうか。