大山祇神社、総門  ©仰木一弘 wih LeicaQ

愛媛県今治いまばり市の沖に浮かぶ、昔は御島(神の島)ともいわれた「大三島おおみしまに「大山祇おおやまづみ神社」が鎮座しています

ご祭神の「大山積神おおやまづみのかみ」は、山の神、海の神、戦いの神、お酒の神として崇敬されてきました。

特に戦いのご利益をさずかろうと、歴代の武将達が武具を奉納したことから、現在、国宝や重要文化財に指定されている甲冑かっちゅうよろい)の約4割が所蔵されている大変貴重な神社となっています。

また、回廊には初代総理大臣「伊藤博文」、旧帝国連合艦隊司令長官「山本五十六いそろく」など政治、軍事、財政界の第一人者をはじめ、参拝に来られた方々の写真が飾られています。

 

【ご利益】勝負運・戦勝祈願の強力なご利益があるとされる

ご祭神としてまつられる「大山積神おおやまづみのかみは、山の神とされますが、瀬戸内海の神社の神様であることから、海の神としても崇敬されています。

そのため、農業、漁業、産業、工業などの諸産業に関するご利益があるとされ、商売繁盛を願う参拝者が多く訪れます

さらに、戦いの神として歴代の朝廷や多くの武将達から崇敬を集めており、勝負運・戦勝祈願への強力なご利益があるそうです。

また、日本神話に伝わる話では、「大山積神おおやまづみのかみ」の娘とされる「木花咲耶姫命このはなさくやひめのみこと」が結婚した際に、天甜酒あまのたむさけと呼ばれるお酒を造って祝ったとされることから、酒の神様としても知られています。

 

推定樹齢2600年の大楠と楠群が強力なパワースポット

大山祇おおやまづみ神社」のご神木は、推定樹齢が2600年とされる圧倒的な大きさの大楠」おおくすです。

社伝によると、「大山積神おおやまづみのかみ」の子孫「乎知命おちのみこと」が手植えされたものとされます。

古代からこの地を見守ってきた大楠の下に立つと、身体の内側からパワーがみなぎってくるといわることから、人気のパワースポットとなっています。

息を止め、大楠の周りを3回周ると願い事が叶うともいわれているそうです。

縁結び、結婚運、仕事運、勝負運、健康運などのご利益があるとされているので、何か勝負事、大きな転機の前に是非訪れてみてはいかがでしょうか。

 

また、「大山祇おおやまづみ神社」には多くの楠の木が植えられていて、日本最古の原始林社叢しゃそう(社殿や神社境内を囲うように密生している林)の楠群として国の天然記念物に指定されています。

 

大山祇神社「奥の院」への門は樹齢3000年の巨樹

拝殿から歩いて(車は通れません)10分かからずに、「奥の院」へ参拝することができます。

細い道を行くと、真っ先に目に入るのが生樹いきき御門ごもん」と呼ばれる樹齢3000年の楠。

今も生きている楠は、根回りが31mにも及び、根元には人が通れるほどの空洞が開いています。

その空洞内には石段があり、そこを通り抜けて「奥の院」へ。

くぐると長寿のご利益があるとされているそうですが、まさに自然のパワーが生命力をあげてくれそうです。

 

【所在地・アクセス】瀬戸内海に浮かぶ大三島に鎮座する

愛媛県の今治いまばり市と広島県の尾道おのみち市を結ぶ全長約60kmの道「瀬戸内しまなみ海道」

大三島おおみしまにアクセスするには、この「しまなみ海道」と呼ばれる瀬戸内海に浮かぶ島々を結ぶ橋を渡ります。

橋にはクルマ専用の高速道路のほかに、歩行者と自転車専用道が整備されていて、瀬戸内海を一望できるサイクリングロードなどがあることから、サイクリングを楽しむ方にとって聖地とされています。

<所在地・電話番号>

〒794-1304 愛媛県今治市大三島町宮浦3327
TEL:0897-82-0032

 

<アクセス>

■尾道方面からのアクセス

・車

しまなみ海道「大三島IC 」→国道21号線 約10分

*無料駐車場:専用の駐車場なし。
近隣の道の駅、町営駐車場を利用(約50台収容)

・バス

JR尾道駅前「因の島バス」土生港前行
→「向島バスストップ」下車「高速バスしまなみライナー 」今治桟橋行
→ 大三島バスストップ下車
→ 島内バス→「大山祇神社前」下車 → 徒歩約1分

 

■今治方面からのアクセス

・車

しまなみ海道「大三島IC 」→国道21号線 約10分

・バス

JR今治駅前から大三島行き急行バスにて約60分
→ 「大山祇神社前」下車 → 徒歩約1分

 

【ご祭神・ご由緒】地神・海神を兼ね備えた大霊神「日本総鎮守」と崇敬される神をまつる

【ご祭神】

大山積神おおやまづみのかみ

絶世の美女とされた「木花咲耶姫命このはなさくやひめのみこと」、長寿の神として有名な「岩長姫命いわながひめのみこと」の父。

山の神の総元締とされ、全国の山を司る神様として知られています。

また、別名和多志大神わたしのおおかみとも呼ばれており、和多とは、「海」を表す言葉とされ、実際に海に囲まれた大三島に神社があることからも海の神としての性格が強いとされます。

さらに、地神・海神を兼ね備えた大霊神であることから、日本民族の総氏神として「日本総鎮守」と呼ばれています。

 

【ご由緒】

神武じんむ天皇」の東征(東方へ征伐に行くこと)の前に、「大山積神おおやまづみのかみ」の子孫である乎知命おちのみこと」が、この地に「大山積神おおやまづみのかみ」をまつったのが始まりとされています。

現在の社殿は、奈良時代に、伊予国いよのくに( 現在の愛媛県)の豪族である「越智玉純おちたますみ」が造営し、以来、越智氏らによって祭祀さいしされてきました。

越智氏は、水軍を率いて瀬戸内において絶対的な武力を持ったとされ、ご本殿などは、有名な武将「足利尊氏」など、伊予国中の武士達が力をあわせ造営したとされています。

延喜式神明帳えんぎしきじんみょうちょう(官社に指定されていた全国にある神社一覧)では、大山積おおやまづみ神社 名神大」と記載され、伊予国一之宮として、長い歴史と共に、格式高い神社として崇敬されています。

なお、全国にある山祇やまづみ神社(大山祇神社)」の総本社でもあり、主祭神の大山積神おおやまづみのかみ」は「三島大明神」とされ、「大三島神社」とも称したことから全国の三島神社の総本社にもなっています。

 

〈国宝や重要文化財の甲冑が並ぶ宝物館〉

宝物館には、全国の国宝・重要文化財の指定を受けた武具類が保存展示されており、日本一の武具館として全国的に知られています。

日本最古の大鎧おおよろいとされる沢瀉威鎧おもだかおどしよろいや、源義経や源頼朝などが奉納したとされる鎧など貴重な武具。

現存する鎧の中で唯一の女性用、瀬戸内海のジャンヌダルク鶴姫の胴丸どうまるといった珍しいものも展示されています。

戦国武将などの歴史好きの方には、きっと1日中楽しめてしまう宝物館なので、是非立ち寄ってみてくださいね。

・営業時間 :午前8:30~午後5:00(入館は4:30まで)
・休日 年中無休
・料金 大人1,000円、大学・高校800円、中学・小学400円

 

【社務所受付時間】

午前9:00〜午後5:00

*新型コロナウイルスの影響で流動的なため、事前に電話で確認することをおすすめします。

 

【ご朱印】

・授与所にて:午前9:00~午後4:30
・御朱印代:¥300

青紫の下地に、兜の絵柄のオリジナル御朱印帳があります。

 

大山祇神社 御朱印 by.仰木一弘

 

【主な祭礼】

県の無形民俗文化財の「一人角力」

毎年春の御田植祭(旧暦5月5日)と、秋の抜穂祭ぬいぼさい(旧暦9月9日)において、土俵で一人角力ひとりずもう」とよばれる相撲の神事が行われます。

毎年選ばれる「一力山いちりきやま」と呼ばれる力士と、姿が見えない「稲の精霊」が三本勝負の相撲をとるというもの。

稲の精霊が2勝1敗で勝ち越すことで、春には豊作が約束され、秋には収穫を感謝する神事です。

のこった、のこったと、見えない相手と相撲をとっている様子から「一人角力」と呼ばれているそうです。

 

まとめ

瀬戸内海の綺麗な海に囲まれた、神の島「大三島おおみしま」に鎮座する、伊予国一之宮の「大山祇おおやまづみ神社」。

全国にある「山祇神社」「三島神社」の総本社でもあり、「日本総鎮守」とも呼ばれてきました。

海の神、山の神、戦いの神として信仰があり、昔から多くの武将が祈願に訪れたとされます。

パワースポットとしても有名な樹齢約2600年の大楠をはじめ、日本最古の原始林社叢が、まるで神社を守っているようです。

歴代の有名な武将達が奉納した数々の国宝や、重要文化財に指定された甲冑かっちゅうなど、歴史や文化的な観点からみても魅力的な神社。

山や海を司る神が見守る大自然と、歴代武将が崇敬した神秘的なパワーをぜひ感じてみてはいかがでしょうか。

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