人気の温泉や、東郷湖などの観光地がある湯梨浜町に鎮座する「倭文神社」。
倭文は「しとり」もしくは「しずり」と読みますが、読めた方は少ないのではないでしょうか。
古くから織物、安産の神様として信仰されてきましたが、現在は特に安産の神様として広く知られ、鳥取で安産祈願と言えば「倭文神社」と言われるほど、とても人気の高い神社となっています。
ご祭神の一柱「下照姫命」が、安産の指導の普及に努めたことから数々の霊験が伝えられており、参道脇には伝説にちなんだ「安産岩」という大きな岩があります。
また、才色兼備の美しい女神であったとされ女子力アップのパワースポットとしても有名です。
【ご利益】「安産」のご利益が有名
ご祭神の「下照姫命」は、この地で死去するまで安産の指導や農業開発などに尽力されたことから、「安産」のご利益があるとされ、さらに才色兼備だったことから、女性の守り神として信仰されてきました。
古くから安産の神様として親しまれてきた「倭文神社」は、戌の日には安産祈願の参拝者で賑わうそうです。
昔から戌(犬)は、たくさんの子を産みお産が軽いことから、安産の象徴とされてきました。
これにちなんで、安定期に入る妊娠5か月目、最初に迎える戌の日に神社へ安産祈願をする「帯祝い」(腹帯をまく儀式)が定着したといわれています。
*安産祈願のご祈祷は、遠方にお住いの方、体調のすぐれない方にお札を郵送してくださるそうです。(電話にてご相談)
「安産岩」にご祈願してからご本殿へ
「倭文神社」へと続く参道沿いに、伝説が残る「安産岩」があります。
昔、難産に苦しんだ女性が安産祈願をしていたところ、満願日(日数を定めて祈願し、その日数が満ちること)に「下照姫命」が姿を現されました。
その後、参拝から帰る途中で、この岩で無事出産できたと伝わります。
このような言い伝えから、こちらの岩を削って飲むと霊験(人の祈請に応じて神仏などが示す不可思議な力の現れ)があるとされています。
斜向かいには、「夫婦岩」と呼ばれる二つの岩が。
ここで夫婦の契りをかわし、「安産岩」にご祈願してからご本殿にてお祓いを受けることが、昔からの安産祈願の習わしとなっているようです。
乳神さんと親しまれたご神木
ご本殿の裏には、現在は倒れてしまっていますが、推定樹齢600年とされるご神木があります。
かつては「乳神さん」と呼ばれて親しまれ、母乳が出なくて困った女性が数多くお参りしていたそうです。
出土品が国宝に指定された「伯耆一宮経塚」
古くから「下照姫命」のお墓と言い伝えられてきた場所が、大正4年に発掘した結果、経塚(経典を後世に遺すため埋納した塚)であることがわかりました。
現在は「伯耆一宮経塚」遺跡として、平安期の経塚の構造を知るうえで貴重な史跡地となっています。
中には銅製の経筒をはじめ、仏像3体、銅鏡、瑠璃玉など多数の遺物などが納められていて、これらはすべて国宝に指定されているそうです。
また、出土品は東京国立博物館に出品されています。
【所在地・アクセス】東郷湖の近くに鎮座
<所在地・電話番号>
〒689-0707 鳥取県東伯郡湯梨浜町大字宮内754番地
TEL:0858-32-1985
<アクセス>
■電車をご利用の方:
・JR山陰本線「松崎駅」から徒歩約40分
*タクシーのご利用をおすすめします
■車をご利用の方:
・米子自動車道「湯原IC」から 約60分
・中国自動車道「院庄IC」から約1時間30分
*無料駐車場:約20台収容
【ご祭神・ご由緒】神話が神社名として受け継がれている
【ご祭神】
この地方では、主産業が織物であったことから、機織りなどを生業としていた倭文氏の祖神「建葉槌命」、この土地と関係が深い「下照姫命」、他に「大国主命」と関係する神々の七柱をおまつりしています。
<主祭神:建葉槌命>
倭文神とも呼ばれ、「天照大御神」を天の岩戸から誘い出すために、文布(模様を織りだした絹)を織ったとされます。
<配神:下照姫命>
「大国主命」の娘。
出雲から従者とともにやってきた「下照姫命」は、この地で死去するまで安産の指導や農業開発、医薬などを庶民に普及されたと伝わります。
『事代主命』
『建御名方命』
『少彦名命』
『天稚彦命』
『味耜高彦根命』
【ご由緒】
創立年代は詳しくわかりませんが、この地方は織物に携わっていた倭文族が多く住んでいたことから、織物の祖神といわれる「健葉槌命」をまつり、さらにこの地に縁の深い「下照姫命」を合わせまつったとされています。
「倭文神社」の「倭文」は、倭文氏から名付けられたもの、または、織物の名前「しずおり」がなまったものと考えられているそうです。
しかし、社伝によると、「下照姫命」に関するものが多く、実際に大正時代までは「下照姫命」が主祭神とされていたということ。
平安時代後期には、伯耆国(現在の鳥取県西半部)の一之宮として崇敬されていましたが、戦国時代、武将に社領を没収され荒廃したそうです。
その後、1554年(天文23年)に戦国武将の尼子氏が社殿を再建し、江戸時代には鳥取藩主などに篤く信仰され祈願所となりました。
【社務所受付時間】
午前9:30~午後4:00
*新型コロナウイルスの影響で流動的なため、事前に電話で確認することをおすすめします。
【御朱印】
・社務所にて:午前9:30~午後4:00
・御朱印代:¥300
<女子力アップのアイテム「かほり袋」>
「かほり袋(願い札入り)」は、オリジナルブレンドのハーブが入った香りのお守り。
ご祭神の「下照姫命」の優しさや美しさをイメージした香りを込めて誕生したそうです。
ちなみに、「ぬくもり」「みやび」「こころ」の3種類の香りがあります。
お守りの中に入っているお願い札は、1枚目は願い事を書いて奉納箱へ。
毎月一日の月次祭で、願い札をお焚き上げをしてくださるそうです。
2枚目は、印を押してハーブと一緒にかほり袋へ入れ、願いが叶うまで大切にしましょう。
【主な祭礼】
例祭
毎年5月1日
前日の4月30日には宵宮(前夜祭)が行われ、当日は、神楽の奉納、神輿渡御などが賑やかに執り行われます。
まとめ
「倭文神社」は、織物の祖神「健葉槌命」をまつるため創建されたと考えられていますが、ご祭神は一柱ではなく、「大国主命」と深い関係の神様が多くまつられています。
特に有名なのが、娘の「下照姫命」、出雲からこの地へ移り住み、安産の指導などに努めたとされ安産の神として崇敬されてきました。
現在は、近隣はもとより遠方からも多くの参拝者が訪れ、戌の日には安産祈願の参拝者で賑わうそうです。
また、「下照姫命」は非常に美しい、才色兼備の女性だったとされることから、女性の守り神のパワースポットとしても人気の神社となっています。
温泉の町として知られる湯梨浜町に鎮座する「倭文神社」に参拝されたあとは、温泉や周辺の観光地にも足を伸ばしてみてはいかがでしょうか。