千栗八幡宮、鳥居 ©仰木一弘 wih LeicaQ
「千栗」と書くと普通なら「ちくり」と読んでしまいますが、「ちりく」と読む「千栗八幡宮」。
この独特な名前の読み方は、神社を建立したときの言い伝えが元になっているそうです。
境内へと続く146段の長い石段は、地元出身のオリンピック金メダリストが少年の頃鍛えた場所であることから、「栄光への石段」の碑文が建っています。
また、「千栗八幡宮」 には、日本三大粥祭りの一つである「お粥試し」通称「おかいさん」と呼ばれる有名な神事があります。
お粥に生えたカビの生え具合で1年の吉凶を占うものであり、熊本大震災を予言したとされるほど、的中すると話題になったそうです。
【ご利益】武勇の神をまつることから出世開運・勝負運・武運長久
武勇の神とされている「応神天皇(八幡大神)」をまつることから、出世開運、勝負運、武運長久((戦いや争いにおもむく人がよい運が長く続きいつまでも無事なこと)などのご利益があるとされ信仰されています。
なお、境内へと続く146段のある石段は、地元出身のバルセロナオリンピック柔道金メダリスト「古賀稔彦氏」が少年の頃、毎日駆け昇って足腰を鍛えた場所として有名です。
この噂を聞きつけて、スポーツの必勝祈願などに訪れる参拝者は今でも多くいらっしゃるそうです。
また、「神功皇后」がまつられていることから、安産祈願や子孫繁栄のご利益があるとされています。
占いの結果が一般公開される「お粥堂 」
毎年3月には有名な「お粥試し」神事が行われ、なんとカビの生え方で吉兆を占います。
その粥占いの結果を置いて披露する場所が、境内中ほどに建つ「お粥堂」。
公表日は、自由に参列して実際に見る事が出きるそうです。
また、お堂の近くには、樹齢400年とされるご神木のクスノキがたたずみます。
こちらは、親子のように根の部分から子の楠が生えている非常に珍しいもので、家庭円満や良縁成就のご利益があるとされます。
手足の神様をまつる摂社「武雄神社」
「武雄神社」には、「千栗八幡宮」 のご配神「竹内宿禰」の父神「屋主忍男武雄心命」をおまつりしています。
手足の神様とされ、奉納されている木形を持ち帰り、患部に当てると神からのご加護から、症状が治るとされます。
治癒の御礼には新しく手・足の木型を作り奉納するそうです。
八幡神の御使いとされる白鳩をまつる「鳩森稲荷神社」
ご祭神に穀物神の「保食神」をまつる「鳩森稲荷神社」。
そして、「千栗八幡宮」 を建てたとされる郡司(地方官)の「壬生春成」の猟にまつわる故事に登場し、八幡神の御使いとされる白鳩をまつります。
火炎鎮護・家内安全・商売繁盛・交通安全にご利益があるそうです。
【所在地・アクセス】筑後川の近くに建ち、対岸には筑後国一之宮「高良大社」がたたずむ
最寄駅はJR久留米駅で、駅から西鉄バスを利用する方法がお勧めです。
車でお越しの方は、神社の近くにある駐車場をご利用ください。
神社入口の一ノ鳥居から、急な階段があるため、お参りの際は、歩きやすい靴がおすすめです。
<所在地・電話番号>
〒849-0111 佐賀県三養基郡みやき町白壁2403
TEL:0942-89-5566
<アクセス>
■車をご利用の方:
・久留米インターチェンジから約30分
※無料駐車場:約30台収容
■電車とバスをご利用の方:
1・JR久留米駅 → 西鉄バス40番(目達原,長門石,佐賀行き)→「千栗八幡宮前バス停」
2・西鉄久留米駅 → 西鉄バス40番(目達原,長門石,佐賀行き)→「千栗八幡宮前バス停」
3・JR佐賀駅 → 西鉄バス40番(久留米,目達原,長門石行き)→「千栗八幡宮前バス停」
【ご祭神・ご由緒】千本の栗が逆さに生えた場所に社殿を建てたことに由来
【ご祭神】
■主祭神:
〈応神天皇〉
別称:「誉田別尊」
父は「仲哀天皇」、母は「神功皇后」。
第15代天皇であり、大和朝廷の華やかな時代である4世紀後半に実在したといわれています。
武運の神、国家鎮護の神とされ武家から朝廷、庶民にまで広く信仰されている神様です。
〈仲哀天皇〉
第14代天皇と伝えられています。
「応神天皇」の父であり、「神功皇后」の夫。
熊襲(九州中南部に住む長く大和朝廷に服属しなかった種族)征討に出陣し、敵の矢で打たれて崩御されたと伝えられています。
〈神功皇后〉
別称:「息長帯姫命」
古事記・日本書紀にみえる伝承上の人物。
第14代「仲哀天皇」の皇后で、「 応神天皇」の母。
「仲哀天皇」の没後、お腹に子をやどしたまま朝鮮半島に遠征し、帰国後に「応神天皇」を無事に出産したと伝えられ、安産・子育ての女神として信仰されています。
■配神:
・難波皇子
・宇治皇子
・住吉明神
・武内宿禰
【ご由緒】
奈良時代の724年、肥前国(現在の佐賀県と壱岐・対馬を除く長崎県)養父郡の郡司(地方官)であった「壬生春成」が建てたといわれています。
「千栗八幡宮」の「ちりく」という呼び名の由来は、神社を建てた時の言い伝えが元になっています。
昔、「壬生春成」が山に猟をしに行くと、「八幡大神」の使いであるとされる一羽の白い鳩が飛んできて弓の先に止まったそうです。
その晩、寝ている枕元に白髪の老人が現れて、「この地に八幡神をまつれ」という夢を見たといいます。
そして、翌日再び山へ猟に行くと、そこに、逆さになった千個の栗の木が一夜のうちに生い茂っていたというのです。
その場所に「八幡神社」を立てたことから、「くり」を逆さにして、「千栗:ちりく」というようになったと伝わります。
その後、平安時代にまとめられた延喜式神名帳(官社に指定されていた全国にある神社一覧)には記載されませんでしたが、同じ頃、「宇佐八幡宮」の別宮となりました。
それからは、九州五所別宮(大分八幡・千栗八幡・藤崎八幡・新田八幡・鹿児島神宮)の一つと称され、朝廷からも篤く尊崇を受けたとされます。
鎌倉時代以降は肥前国一之宮と呼ばれるようになりましたが、肥前国にはもう一つ「與止日女神社」も一之宮とされており、昔は2社の間で争いを繰り広げていたそうです。
現在では、そのような争いは行われておらず、どちらの神社とも一之宮として記録されています。
【社務所受付時間】
午前9:00~午後5:00
*新型コロナウイルスの影響で流動的なため、事前に電話で確認することをおすすめします。
【御朱印】
・社務所にて:午前9:00~午後5:00
・御朱印代:¥500
白い生地に神使の白鳩と栗がデザインされたオリジナル御朱印帳があります。
【主な祭礼】
脅威の的中率をもつ「お粥試し」
3月15日
「お粥試し」(通称おかいさん)は創始以来1200年の歴史をもつと伝えられている歴史ある粥占い神事であり、日本三大粥祭りの一つです。
2月26日に、お粥を炊き、銅製の神器に入れて神殿に奉納されます。
それを、3月15日に取り出しお粥のカビの生え具合から1年間の農作物の出来具合や、天候、地震・台風等の吉凶などを占うものです。
特に、地震の予知に関しては、記憶にも新しい、2016年の熊本地震を言い当てたとして話題となりました。
まとめ
千栗と書き、「ちりく」と珍しい読み方をする「千栗八幡宮」。
昔からの言い伝えが現世まで伝わり、今もこの呼び名が受け継がれているところに、歴史やロマンが感じられます。
カビの生え具合から1年間の農作物の出来具合や、天候、地震・台風等の吉凶などを占う「お粥試し」の粥占い神事が有名。
武勇の神をまつることから、出世開運、勝負運、武運長久などのご利益があるとされ信仰されています。
「千栗八幡宮」の近くの一之宮として、同じく肥前国の「與止日女神社」、筑後国には「高良大社」もあるので、是非一緒に参拝してみてはいかがでしょうか。