伊雑宮伊雑宮 ©仰木一弘 with LeicaQ

 

2000年以上の長い歴史を持つ「伊勢神宮」と結びつきが深い「伊雑宮いざわのみや

「皇大神宮(伊勢神宮内宮)」の別宮の一つですが、伊勢市ではなく、志摩市に鎮座しています。

古くから遙宮とおのみや(神宮から遠く離れた別宮)」とされ、海の幸、山の幸の豊饒ほうじょうが祈られてきました。

地元、志摩の人々にとっては、海の守り神として無くてはならない存在。

見どころは、不思議な形をした金運上昇の「巾着楠きんちゃくぐす」と、神社の横に広がる領田である「御神田おみた」です。

別宮の中では唯一、御神田を持つ「伊雑宮いざわのみや」ですが、伊雑宮御田植祭いざわのみやおたうえまつり」は、日本三大御田植祭りのひとつ

お祭りには、全国各地から多くの崇敬者が訪れ賑わいをみせるそうです。

 

 

【ご利益】航海安全・漁業大漁・国家安泰・開運招福・所願成就・子孫繁栄などさまざまなご利益があるとされる

地元、志摩の人々からは、磯部のお宮さん、磯部の大神宮さんとも呼ばれ、古くから海を守る神様と崇められていることから、航海安全、漁業大漁のご利益があるとされます。

ちなみに、漁業関係者の信仰があつく、特に漁師や海女さんは「磯守(海幸木守)」を身につけて海に入るのが風習となっているとか。

また、「伊雑宮いざわのみや」の周辺の地域は、水の恵みがあり、稲がよく育ったことからも「五穀豊穣」のご利益もあるそうです。

さらに、「天照大御神あまてらすおおみかみ」がまつられていることから、国家安泰・開運招福・所願成就・子孫繁栄などのさまざまなご利益が授かれるといわれています。

 

金運が上がるとされる「巾着楠」

境内は、原生林や樹林で覆われていますが、ひときわ目を引くのが宿衛屋しゅくえいや(社務所)前の巾着楠きんちゃくぐす

樹齢700年とされる御神木です。

楠の根本部分が大きく膨らんで、まるで巾着のような形をしているため「巾着楠」と呼ばれ、親しまれています。

元々は石があったところに、楠が成長と共に石を飲み込んで、このような不思議な形になったとか。

根本が膨らんでいるのは、大地のエネルギーを貯めているのだともいわれているそうです。

そして、手を当ててお願いすると金運が上がるとされています。

 

三種の神器の勾玉の形に似ている「勾玉池」

「巾着楠」の近くに、大昔よりその姿のままあると伝わる勾玉池まがたまいけがあります。

三種の神器の勾玉の形に似ていることから、この名前がついたという池。

大昔から蓄積された水のパワーが感じられ、かなり厳かな雰囲気が漂っています。

以前は立ち入り禁止で、間近に見ることのできなかったのですが、平成26年の式年遷宮より周囲に立ち入れるよう整備されています。

 

他の別宮にはない御神田と忌火屋殿

「伊勢神宮」の14ある別宮のうち、御神田おみた忌火屋殿いみびやでんを持つのは「伊雑宮いざわのみや」だけです。

御神田とは、寺社が所有する領田のことで、神さまに捧げるお米を作る田んぼ。
境内に入る前に、この御神田が目に入ってきます。

毎年6月24日に行われる御田植式は、「磯部の御神田」として国の重要無形民俗財に指定されています。

また、茨城県の「香取神宮」、大阪府の「住吉大社」のものと合わせ「日本三大御田植祭」のひとつです。

また、忌火屋殿いみびやでんは、神様に供える食事やお酒を準備する場所。

忌火とは清浄な火という意味で、昔ながらの方法で火を起こし神様のお供えを調理します。

そして、祓所はらえどと呼ばれる忌火屋殿いみびやでんの前庭では、祭典の前に神饌しんせん供物)と神職を祓い清めるそうです。

 

【所在地・アクセス】伊勢神宮から車で30分ほど離れた場所に鎮座

<所在地・電話番号>

〒517-0208志摩市磯部町上之郷374
TEL:0599-55-0038

 

<アクセス>

◾️電車をご利用の場合:

・近鉄「上之郷駅」より徒歩約3分

 

◾️車をご利用の場合:

・伊勢自動車道「伊勢西IC」から県道32号、国道167号経由にて約30分

*無料駐車場:約20台収容

 

<内宮から行く場合>

・伊勢神宮内宮前バス停より51系統で宇治山田駅前行き乗車
・五十鈴川駅前下車
・近鉄「五十鈴川駅」より鳥羽駅乗り換えで賢島行き乗車
・「上之郷駅」下車徒歩約3分

*バスと電車を利用して約1時間程度

 

【ご祭神・ご由緒】「倭姫命」が御贄地を探して訪れたのが創建の由来

【ご祭神】

<天照大御神御魂あまてらすおおみかみのみたま>

内宮でまつられる「天照大御神」の分霊とされます。

太陽神であり、皇室の祖先とされる神様です。

 

【ご由緒】

創建年代は諸説ありますが、第11代垂仁すいにん天皇の時代、約2000年前と言われています。

「伊勢神宮」の「神道五部書」の一つ「倭姫命世記」によると、垂仁すいにん天皇の皇女・倭姫命やまとひめのみこと」が、内宮を創建したあと、御贄地みにえどころ(神宮への納める神饌しんせんを採る所)を探して、海山の幸が豊富な志摩の国を訪れたとされます。

その時に、「伊佐波登美命いざわとみのみこと」がお迎えして、この地に「天照大御神あまてらすおおみかみ」をおまつりするお社を立てたのが、「伊雑宮いざわのみや」の創建の由来と伝えられています。

平安時代の804年(延暦23年)に書かれた史料には、「天照大御神あまてらすおおみかみ遥宮とおのみや」という記述が出てくることから、それ以前に「伊雑宮いざわのみや」が別宮として位置付けられていたと考えられているそうです。

 

 

【社務所受付時間】

午前6時から参拝終了時間まで(受付時間は季節によって異なります)

◆月ごとの参拝時間

<1月・2月・3月・4月・9月> 午前5時~午後6時
<5月・6月・7月・8月>     午前5時~午後7時
<10月・11月・12月>      午前5時~午後5時

 

【御朱印】

宿衛屋しゅくえいや(社務所)にて:午前6時から参拝終了時間まで
・御朱印代:¥300

*新型コロナウイルスの影響で流動的のため、事前に電話で確認することをおすすめします。

 

伊雑宮 御朱印 by.仰木一弘

 

【主な祭礼】

伊雑宮の御田植祭

毎年6月24日

盛大に行われる御田植祭おたうえまつりの始まりは、鎌倉時代もしくは平安時代の末期ともいわれ、その年の豊作を祈ったり、豊作か凶作を占ったことが由来とされています。

この「磯部の御神田おみた」と呼ばれる田植神事は、「日本三大御田植祭」の一つで、国の重要無形民俗文化財に指定されました。

見どころは、泥だらけの青年たちが大きな団扇うちわのついた忌竹いみだけを奪い合う「竹取神事」や、平安期の装束に身にまとった早乙女による田の神に捧げるお囃子はやしを唱える「御田植神事」

また、「めでためでた」の唄声につれ、「伊雑宮いざわのみや」の一の鳥居に向けて練り歩く「踊込み行事」が繰り広げられ、祭りは大いに盛り上がりをみせます。

 

まとめ

志摩市に鎮座する「伊雑宮いざわのみや」は、「皇大神宮(伊勢神宮内宮)」の別宮のひとつで、「天照坐皇大御神御魂あまてらしますすめおおみかみのみたま」がまつられています。

古くから「遙宮とおのみや(神宮から遠く離れた別宮)」として崇敬を集め、地元の人々によって海の幸、山の幸の豊饒ほうじょうが祈られてきました。

また、海の守り神として漁師や海女の信仰が厚く、海女は「伊雑宮いざわのみや」の「磯守」を必ず身につけて海に入るそうです。

他の別宮と違う点は、神さまに捧げるお米を作る田んぼ「御神田おみた」と神様に供える食事やお酒を準備する場所「忌火屋殿いみびやでん」があるということ。

倭姫命やまとひめのみこと」が、「皇大神宮」へ納める供物を採る場所を探して訪れたとされる「伊雑宮いざわのみや」へ、内宮を参拝したあとには、ぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。

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