住吉神社、拝殿©2019 仰木一弘 wih LeicaQ住吉神社、拝殿©仰木一弘 wih LeicaQ

山口県下関市に鎮座し、神功皇后じんぐうこうごう」の伝説にまつわる「住吉神社」

ご祭神には「神功皇后じんぐうこうごう」の三韓討伐の際に、船を守護し、戦を勝利に導いたとされる航海の守り神・住吉三神の荒魂がまつられています。

「住吉三神」をまつる住吉神社は全国になんと約600社もあるそうですが、大阪の「住吉大社」、博多の「住吉神社」とともに「日本三大住吉」のひとつに数えられているのです。

見どころは、全国でも珍しい九間社流造きゅうけんしゃながれづくりの国宝のご本殿

室町時代に建設されたご本殿は、五つの社殿が相の間でつなげられ、千鳥破風ちどりはふ(屋根の上の三角形の部分)がとても美しく目を引きます。

そのご本殿にはそれぞれにご祭神がまつられ、厄払い・交通安全・産業開運、家内安全、安産、長寿などの様々なご利益が授かれるとして、多くの方がご祈願に訪れそうです。

 

 

【ご利益】厄払い・交通安全・産業開運・家内安全・安産・長寿など様々なご利益があるとされる

禊祓みそぎはらえの神・海の神・航海の神とされる「住吉三神」をまつることから、厄払い、交通安全、産業開運のご利益があるとされます。

また、「神功皇后じんぐうこうごう」の三韓討伐(朝鮮半島の広い地域を服属下においたとされる戦争)の際に船を守護し、戦を勝利に導いた勝利の神としても信仰されてきました。

さらに、身ごもったまま出陣された「神功皇后じんぐうこうごう」が、「住吉三神」のご神徳により無事帰還し出産されたことから家内安全・安産のご利益が授かれるそうです。

5世代の天皇に仕えるほど長命を保った「武内宿禰たけしうちのすくねをまつることから、長寿のご利益があることでも知られています。

 

美しい国宝のご本殿と重要文化財の拝殿

参拝されると、他の神社ではあまり見られないご本殿の形に少し驚かれるのではないでしょうか。

横長の屋根に、千鳥破風ちどりはふ(屋根の上の三角形の部分)が五つ並んでいます。

こちらは、五柱のご祭神の社殿を並べ、その間を相の間で連絡する九間社流造きゅうけんしゃながれづくりという室町初期の建築を代表するもの。

その美しい建築物は国宝に指定されています。

創建当時の面影をよく残しているとされるご本殿は、守護大名「大内弘世おおうちひろよ」により1370年に寄進されました。

 

また、ご本殿の第三殿につながっている朱塗りの拝殿は、国の重要文化財に指定されています。

こちらは、戦国大名「毛利元就もうりもとなり」が寄進したものと伝わりますが、当時の権力者から篤い崇敬を受けてきたことがうかがえます。

 

武内宿禰がお手植えされたと伝わるご神木「大楠」

境内の奥に、なんと樹齢が1800年以上とされるご神木「大楠」があります。

こちらは、本殿の第三殿にまつられる武内宿禰たけうちのすくね」が、お手植えされたものと伝わります。

今では、その大楠の古株から新しく育った新根が生え、根周りは60mにも及ぶ大木となり、根本には小さなほこらがまつられています。

​どっしりと大地に根を張った生命力あふれる大楠からパワーを授かりましょう。

 

【所在地・アクセス】新幹線駅から徒歩圏内

<所在地・電話番号>

〒751-0805  山口県下関市一の宮住吉1丁目11-1
TEL:083-256-2656

 

<アクセス>

電車をご利用の方:

・山陽新幹線・JR山陽本線「新下関駅」下車、徒歩約20分

または「新下関駅」からサンデンバスで約5分
「一の宮」バス停で下車、徒歩約5分

 

車をご利用の方:

・中国自動車道「下関IC」から約10分

*無料駐車場:200台収容

 

【ご祭神・ご由緒】神功皇后が「住吉三神」の荒魂をまつったのが始まりとされる

【ご祭神】

ご祭神は一柱ではなく、第一から第五殿が連なり、下記のようにそれぞれおまつりされています。

 

<第一殿>住吉三神

表筒男命うわつつのおのみこと」開運の神
中筒男命なかつつのおのみこと」交通の神
底筒男命そこつつのおのみこと」お祓いの神

<第二殿> 応神天皇(八幡大神)
産業の神

<第三殿> 武内宿禰たけしうちのすくね高良明神こうらみょうじん
長寿の神

<第四殿>神功皇后じんぐうこうごう息長帯比売神おきながたらしひめのみこと
安産の神

<第五殿> 建御名方命たけみなかたのみこと(諏訪明神)
武道の神

 

「住吉三神」は、黄泉国よみのくに(死の世界)から戻った「伊弉諾いざなぎのみこと」が、海でけがれを洗い清めるためのみそぎを行ったときに出現された神々と伝わります。

この誕生から、禊祓みそぎはらえの神・海の神・航海の神とされています。

大阪の「住吉大社」では、「住吉三神」の和魂にぎみたまをまつりますが、歴代の武士たちが崇拝したとされる長門国ながとのくに(現在の山口県西部)一之宮の「住吉神社」では、荒魂あらみたま(荒々しい側面、荒ぶる魂)をおまつりしています。

 

【ご由緒】

創始は、神功皇后じんぐうこうごうが三韓征討に勝利した際、「住吉三神」から航路を守護していただいたご神恩に感謝し、「住吉三神」の荒魂あらみたまをまつったのが始まりといわれています。

日本書紀によると、「住吉三神」から「神功皇后じんぐうこうごう」へ、この地にほこらを建てて荒魂をまつるようお告げがあったと伝わります。

そのような由緒から、軍事、航海の神として篤い崇敬を受けました。

平安時代にまとめられた「延喜式神名帳えんぎしきじんみょうちょう(官社に指定されていた全国の神社一覧)」にも「住吉坐荒御魂神社すみよしにいますあらみたまじんじゃ三座」として記されています。

 

鎌倉時代には、「源頼朝」を始め歴代将軍から社領などの寄進を受けたそうです。

その後一時衰微しましたが、南北朝時代の大名「大内氏」、戦国大名「毛利氏」からの崇敬を受けて復興。

「住吉神社」は全国に約600社もあるそうですが、長門国ながとのくに(現在の山口県西部)一之宮「住吉神社」は、大阪府の「住吉大社」、福岡県の「住吉神社」と並び「日本三大住吉」に数えられています。

 

【社務所受付時間】

午前8時〜午後5時30分

*12月8日~15日は御斎祭おいみさいのため参拝不可

 

【御朱印】

・社務所にて:午前8時〜午後5時30分
・御朱印代:¥300

*新型コロナウイルスの影響で流動的なため、事前に電話で確認することをおすすめします。

 

住吉神社 御朱印 by.仰木一弘

 

【主な祭礼】

お田植祭

毎年5月第3日曜日

お田植祭は千数百年も続くとされる伝統行事。

神宮皇后じんぐうこうごう」が神前に供える稲を植えたという故事に由来するとされ、農業の発展や五穀豊穣を祈って行われます。

本殿祭を行った後、神社近くの神田では、早乙女(苗を植える人)が田植えをし、
八乙女(神楽や舞で奉仕する人)が雅楽にあわせ、自然の恵みに感謝する優雅な舞を披露します。

 

まとめ

「日本三大住吉」に数えられている長門国一之宮「住吉神社」。

「住吉三神」からのお告げにより、「神功皇后じんぐうこうごう」がこの地に「住吉三神」をおまつりしたのが始まりとされる神社です。

5つの社殿が連なるご本殿には、「住吉三神」の荒魂をはじめ多くの神様がまつられることから、厄払い・交通安全・産業開運、家内安全、安産、長寿など様々なご利益があるとされます。

また、勝利の神としても信仰され、大内氏、毛利氏ら権力者の崇敬を受け、美しいしいご本殿(国宝)と重要文化財の拝殿が寄進されました。

境内にそびえる樹齢1,800年の「大楠」もパワーを感じられるスポットとして必見です。

多くのご利益に加え、新たな船出のときには、航海の神のご加護を授かりに訪れてみてはいかがでしょうか。

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