新田神社、拝殿©仰木一弘 wih LeicaQ
「新田神社」は、亀の形をした神亀山(高さ70m)の山頂にある神社。
桜並木でお花見の名所として有名な参道ですが、その長さは驚くことに一の鳥居から二の鳥居まで1km程続きます。
さらにその先には本殿までの長い石段が。その数なんと322段です。
階段をのぼった先では、頭をなでてご祈願すると子宝や安産のご利益があるとされる子抱き狛犬が迎えてくれます。
ご祭神には天孫降臨の神話に登場する「瓊瓊杵尊」とそのご家族をまつりますが、
見どころはなんといっても同じ敷地内にある「瓊瓊杵尊」のお墓と言われる「可愛山陵」。
陵墓と神社が一体になっているのは全国でも珍しく、土地のパワーが強いと言われているそうです。
【ご利益】子宝や安産守護のご利益で有名
五穀豊穣、開運招福、家内安全、安産守護、厄除けなどにご利益があるとされますが、特に子宝、安産祈願のご利益が授かれることで有名です。
大国主命の像が彫られている「大樟」
社殿に向かう長い石段の途中には、ご神木にもなっている代表的な巨木「大樟」がそびえ立ちます。
樹高約20m、根元周り約13mの大樟は樹齢800年以上と伝わり、市の天然記念物に指定されています。
地上2メートルくらいのところに「大穴牟遅神(大国主命) 」の像が彫られていますが、こちらは1600年関ヶ原の戦いで、薩摩国の大名「島津義弘」の影武者となり討ち死にした「阿多長寿院盛淳」が彫って奉納したものと伝えられているそうです。
また、歌人の与謝野鉄幹、晶子夫妻が「新田神社」に拝したときに、鉄幹がこの大クスのことを詠んだ歌が残されています。
子抱き狛犬へ安産祈願!
長い石段をのぼりきると、両側には懐に子供を抱いている狛犬が。
昔から安産に大変霊験があるとされる子抱き狛犬です。
安産を願って狛犬の頭をなでると子宝、安産のご利益にあやかれると伝わります。
かわいい子抱き狛犬が描かれた「安産守」もおすすめです。
瓊瓊杵尊が眠る「可愛山陵」
境内の裏手には、ご祭神「瓊瓊杵尊」の御陵(天皇、皇后、皇太后、太皇太后の墓)と言われる「可愛山稜」があります。
「古事記」「日本書紀」の天孫降臨神話に登場する「瓊瓊杵尊」。
高天原(天上の世界)から多くの神々を率いて、日向の高千穂の峰に降り立ち、その後この地へたどり着いて治めたという皇室の祖先神です。
こちらの御陵は、神代三山陵(初代「神武天皇」につながる霧島市の「高屋山上陵」、鹿屋市の「吾平山上陵」とあわせた三代の御陵のこと)のひとつとされ、現在は宮内庁が管理しています。
大正9年(1920年)昭和天皇(当時の皇太子)をはじめとして、皇族の参拝はこれまで9回に及びます。
また、神社と山陵が隣接しているのは珍しく、土地のパワーが強いとされているそうです。
【所在地・アクセス】神亀山の山頂に鎮座
<所在地・電話番号>
〒895-0065 鹿児島県薩摩川内市宮内町1935-2
TEL.:0996-22-4722
FAX: 0996-22-4799
<アクセス>
■電車をご利用の方:
・肥薩おれんじ鉄道「上川内駅」から徒歩にて約25分
・JR「川内駅」タクシーにて10分
または、くるくるバス(市内循環バス)で東回り18分・西回り35分
■車をご利用の方:
・南九州西回り自動車道「薩摩川内都IC」から約15分
*無料駐車場:約200台
妊婦さんや足腰に自信がない方、ご高齢の方は、本殿近くまで車でのぼることもできます。
【ご祭神・ご由緒】瓊瓊杵尊が眠る聖地「可愛山稜」と隣接
【ご祭神】
<天津日高彦火瓊瓊杵尊>
天孫降臨で有名な「天照皇大御神」の孫
<天照皇大御神>
正哉吾勝々速日天忍穂耳尊の母
<正哉吾勝々速日天忍穂耳尊>
天津日高彦火邇邇杵尊の父
江戸時代までは応神天皇、神功皇后、武内宿禰の八幡三神をまつっていたことから、新田八幡宮、一宮八幡、八幡新田宮、川内八幡宮、新田明神と呼ばれることもあるそうです。
【ご由緒】
創建時期は不詳。
一説には、聖武天皇時代の神亀2年(725年)、天孫降臨の後に最終的にこの地で崩御された「瓊瓊杵尊」のお墓として建てられた可愛山陵が、「新田神社」の始まりといわれています。
当時は社殿がなく可愛山稜が神亀山にあったことから、山そのものが神であったとも伝わるそうです。
「新田神社」の「新田」は、「瓊瓊杵尊」が川内川から水を引いて新しく田をおつくりになったことに由来するとか。
名前が古文書で初めて出てくるのは平安時代で、当時は「新田宮」と称し、薩摩国の守り神として朝廷や幕府からも厚く崇敬を受けていました。
承安3年(1173年)に火災があり、それまで山の中腹にあった社殿が焼けてしまい、再興されたのが現在の山頂の場所。
その後、歴代藩主の崇敬が特に厚く、「島津義久」公により現在の社殿の元となるものが建てられました。
【社務所受付時間】
午前9:00~午後4:00
*新型コロナウイルスの影響で流動的なため、事前に電話で確認することをおすすめします。
【御朱印】
・授与所にて:午前9:00~午後4:00
・御朱印代:¥300
【主な祭礼】
御田植祭
入梅の日の前の日曜日
御田植祭は「新田神社」の行事の中でも最も古く、神社が管理する神田で毎年行われています。
必ず奉納されるのが、この地方独特の竹でできた奴を振り回して踊る「奴振り」。
平安時代の中期に、この地方で凶作が続いたため、奇妙な奴を振り回して田楽に合わせ踊り豊作を祈ったところ五穀豊穣となったと伝わります。
翌年から御田植祭に踊りを奉納したのが始まりとされ、鹿児島県の無形民俗文化財に指定されています。
まとめ
標高70メートルの神亀山の頂上にある「新田神社」。
322段もの石段をのぼった所に社殿があり、その途中には樹齢800年以上と伝わるご神木の大樟などの巨木が茂っています。
子宝・安産にご利益があることで有名な神社で、霊験あらたかとされる子抱き狛犬に多くの参拝者が頭をなでて祈願されるそうです。
また、ご祭神の「瓊瓊杵尊」をまつったのが始まりとされる神社で、「新田神社」の裏手には「瓊瓊杵尊」のお墓といわれる「可愛山稜」があります。
全国でも陵墓と同じ敷地内にある珍しい「新田神社」。土地のパワーを感じながら、ご利益を授かりに訪れてみてはいかがでしょうか。