秩父神社、神門 ©仰木一弘 wih LeicaQ

 

2014年に鎮座2100年を迎えた「秩父神社」は、歴史のある秩父地方の総鎮守

学業成就のご利益があるとして知られていますが、毎年12月に開催される「秩父夜祭」は特に有名で、秩父市の人口をかなり上回るほどの観光客が訪れます。

1年に一度のお祭りで、武甲山ぶこうざんの男神と「秩父神社」の女神が会えると伝わることから、縁結び、恋愛成就のご利益もあるとされます。

さらに、「徳川家康」が寄進したとされる社殿は、「日光東照宮」の三猿を手がけた「左甚五郎ひだりじんごろう」の豪華な彫刻が見どころとなっています。

由緒正しい歴史がある「秩父神社」ですが、秩父を舞台にしたアニメ「あの日見た花の名前を僕たちはまだ知らない」の聖地巡礼で、さらに有名になりました。

 

 

【ご利益】学業成就や合格祈願にご利益があることで有名

ご祭神に学問の神様「八意思兼命やごころおもいかねのみことをまつるため、学業成就や合格祈願にご利益があることで有名です。

「秩父神社」の神の使いがふくろうとされ、「智恵梟守」という智恵をさずかるお守りが人気。

他にも、「北辰乃梟ほくしんのふくろう学業絵馬」「つなぎの龍絵馬」などの絵馬で祈願することができます。

 

また、縁結びや恋愛成就のご利益があるといわれています。

秩父夜祭が、武甲山の男神と秩父神社の女神との年に一度の逢瀬の物語として語られることも、中世以来の信仰史の育てた風土のロマンにまつわるものと考えられます。

引用元:公式HP

 

このように、語り伝えられる神話に出てくる女神は、神仏分離(神社と寺社をはっきり区別させること)以前に「秩父神社」にまつられた妙見みょうけん菩薩」のことをさしているようです。

 

水占いみくじで縁結び祈願

「秩父神社」には、まゆみくじや勾玉まがたま付きのおみくじなどがありますが、「水占いみくじ」で運試しをしてみてはいかがでしょうか。

巻物のように巻かれているおみくじには、文字が書かれていない部分がありますが、武甲山が源流の「柞の森禊川ならのみそぎがわ」にひたすと文字が浮き上がってきます。

濡れたおみくじを持ち帰るためのビニール袋が用意されているのが、ありがたいですね。

 

それぞれにご利益がある社殿の豪華な彫刻

現在の社殿は、「徳川家康」が水源地である秩父を守る目的で寄進したと伝わります。

江戸時代初期の権現造ごんげんづくりという建築様式をそのままにとどめ、埼玉県の有形文化財に指定されています。

そして、「日光東照宮」の三猿や眠り猫で有名な名工「左甚五郎ひだりじんごろう」の作品も施された豪華な彫刻が特徴です。

さらに、それぞれの彫刻には寄進された当時の信仰なども伝わるため、動物の表情を楽しみながら歴史に触れることができます。

 

■「子宝 ・子育ての虎」拝殿正面

4面に虎の彫刻が施されているのは、「徳川家康」が、寅の年・寅の日・寅の刻生まれだったことが関係しているようです。

家康公の威厳、ご祭神を守護する神の使いとして「左甚五郎ひだりじんごろう」が彫刻したといわれています。

子宝、安産のご利益があるそうです。

 

■「つなぎの龍」本殿東側

鎖でつながれた青い龍の彫刻は、不思議な伝説を表しているとされます。

その昔、池に住みついた龍が暴れた日には、必ず彫刻の下に水たまりができていたため、この彫刻の龍を鎖でつなぎとめてみると、それからは龍が現れなくなったというのです。

こちらも「左甚五郎ひだりじんごろう」が東北(鬼門)を守るとする青龍を施したと伝わります。

出世や仕事運上昇のご利益があるとされ、また、「つなぎの龍」の絵馬を、家庭の神棚や東北の角にまつると良いそうです。

 

■「北辰のふくろう」本殿北側

左甚五郎ひだりじんごろう」作のこちらの彫刻は、梟の体は本殿(南側)へ向き、顔だけ真北を向いています。

昔から、天空の星が北極星(北辰)を中心に回っていることから北極星が神格化されていたそうですが、北辰菩薩とも呼ばれたご祭神の「妙見みょうけん菩薩」を守るためといわれています。

また、梟は知恵のシンボルであり、「八意思兼命やごころおもいかねのみこと」も学問の神として敬われていることから、思慮深い神の使として施されたとされます。

「不苦労=苦労しない」ということから、厄払いのご利益もあるそうです。

 

■「お元気三猿」社殿西側

こちらは、「日光東照宮」にある彫刻とは反対の意味があるそうです。

「よく見」「良く聞き」「よく話す」の表情の違う「お元気三猿」が見事に表現されていて、人間関係が円滑になるとされています。

また、ご祭神「妙見みょうけん菩薩」は敵をしりぞけ、寿命を増す大菩薩として信仰されてきたため、不老長寿にご利益があるそうです。

 

全国の一之宮の神々がまつられる「天神地祇社」

「北辰のふくろう」の正面に、全国一之宮を中心に計75座の神々がまつられる天神地祇社てんじんちぎしゃがあります。

ただし、なぜこのような形でおまつりされたのか、明確ではないそうです。

一説には、「天照大御神あまてらすおおみかみ」が天岩戸あまのいわとにお隠れになった際に、多くの神々の意見をまとめ、その方法を決断されたのが、「秩父神社」のご祭神八意思兼命やごころおもいかねのみことであることによるといわれています。

また、一之宮の神々が一箇所にこれほど多くまつられているのは珍しいため、強力なパワースポットとされているようです。

 

【所在地・アクセス】「柞の杜」と呼ばれ親しまれてきた鎮守の森に鎮座

<所在地・電話番号>

〒368-0041 埼玉県秩父市番場町1-3
TEL:0494-22-0262

 

<アクセス>

■電車をご利用の方:

・秩父鉄道「 秩父駅」から徒歩約2分
・西武鉄道 「西武秩父駅」から徒歩約15分

 

■車をご利用の方:

・関越自動車道「花園IC」で降り国道140号線を秩父・三峰方面へ、約45分

*無料駐車場:50台

 

【ご祭神・ご由緒】紀元前の創建とされ2100年もの歴史を誇る神社

【ご祭神】

ご祭神には、4柱をまつります。

 

八意思兼命やごころおもいかねのみこと

別称:思兼神 おもいかねのかみを含め複数の別の呼び方があります。

知恵をつかさどり、政治・学問・工業・開運の神様

また思兼とは、「数多くの人々の知恵と思慮を兼ね備える」の意味があるとされ、思考や知恵を神格化したとも考えられているそうです。

日本神話の中で、天戸岩に隠れてしまわれた「天照大御神あまてらすおおみかみ」を外に出す方法を考え成功したことが、知恵の神とされる所以といわれています。

 

知知夫彦命ちちぶひこ の みこと

八意思兼命やごころおもいかねのみこと」の孫とされ、知知夫国をおさめる初代の国造くにのみやつこに任命されたと伝わります。

そして秩父地方を開拓し、養蚕ようさんと機織りをもたらしたとされています。

 

天之御中主神あめのみなかぬしのかみ

天と地が開けた、世界の始まり天地開闢てんちかいびゃくの際、高天原たかまがはら(日本神話の中の天上界)に出現した5柱の神様のうちの1柱。

全ての中心におられる神と考えられた「天之御中主神あめのみなかぬしのかみ」。

そのため、宇宙の全てを支配する最高神として北極星・北斗七星を崇める妙見信仰と習合(異質な文化的要素の混在)したことで、「妙見菩薩」と同一視されています。

 

秩父宮雍仁親王ちちぶのみややすひとしんのう

皇族、昭和天皇の弟宮様。

 

【ご由緒】

創建は紀元前、「崇神すじん天皇」の時代と伝わり、初代国造に任命された「知知夫彦命ちちぶひこのみこと」が、「八意思兼命やごころおもいかねのみこと」をおまつりしたのが始まりとされます。

昔から秩父地域のシンボル「武甲山」を遙拝(離れた所からはるかに拝むこと)する聖地であり、明治以前は、妙見信仰と習合し「秩父大宮妙見宮」として栄えた歴史があります。

平安時代の「延喜式神名帳えんぎしきじんみょうちょう(全国の神社一覧)」にも記載されるなど、関東でも屈指の古社とされていました。

 

その後、明治時代には神仏分離によって妙見みょうけん菩薩と習合していた天之御中主神あめのみなかぬしのかみにご祭神を改称して、社名を「秩父神社」に戻すことになります。

戦後は、神社本庁が指定する別表神社となり、2014年には鎮座2100年を迎え、盛大に祭典が行われました。

また、歴史ある知知夫国の総鎮守として篤く信仰され、同じく秩父にある「三峯みつみね神社」、「宝登山ほどさん神社」とともに、秩父三社の一つに数えられています。

 

【社務所受付時間】

午前9:00〜午後5:00

*新型コロナウイルスの影響で流動的なため、事前に電話で確認することをおすすめします。

 

【御朱印】

・授与所にて:午前9:00~午後4:30
・御朱印代:¥500
・オリジナル御朱印帳:¥1,500(赤、紺、緑、水色の4色)

秩父夜祭りの山車と花火がデザインされたオリジナル御朱印帳があります。

 

 

秩父神社 御朱印 by.仰木一弘

 

【主な祭礼】

秩父夜祭

12月2日宵祭・12月3日大祭

「秩父神社」の例大祭、江戸時代から続く伝統的なお祭りは、飛騨の「高山祭」、京都の「祇園祭ぎおんまつり」とともに日本三大曳山祭ひきやままつりのひとつとして有名です。

また、国の重要無形民俗文化財に指定され、ユネスコの無形文化遺産にも登録されました。

屋台やたいが約200人のき子によって進む姿は、「動く陽明門(日光東照宮)」といわれるほど、きらびやかです。

曳き廻す華麗さが闇夜に一段とはえることから「秩父夜祭」と呼ばれ、街中に屋台囃子やたいばやしが鳴り響きます。

 

そして屋台が、急な団子坂を登り、武甲山の男神と「秩父神社」の女神が出会う場所とされている御旅所おたびしょに曳きあげられる頃、最高潮を迎えるのです。

冬空に上がる花火とともに、1年の総決算でもある秩父夜祭には、何十万人もの見物客が訪れます。

 

まとめ

埼玉県秩父地方の総鎮守「秩父神社」は、紀元前の始まりとされ、歴史を誇る古社。

学業成就や縁結びのご利益があることで有名です。

また、徳川家康が寄進したとされる社殿には、色鮮やかな彫刻が刻まれ、それぞれにご利益があるといわれています。

その昔は、「秩父大宮妙見宮」として栄えた歴史があり、北極星・北斗七星を崇める妙見信仰でした。

そのため本殿の彫刻「北辰のふくろう」は真北を向いて妙見菩薩を守っているとされ、神のお使いとして梟を大切にしています。

「秩父神社」を訪れた際には、ぜひ社殿を眺めながら歴史に触れ、鎮守の森のパワーを感じてみてはいかがでしょうか。

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