神社と神宮・大社の違いは何?名称にランクはあるの?違いをわかりやすく解説!

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神社を巡っていると、「〇〇神宮」「〇〇大社」など、呼び方が色々とありますよね。

「呼び方は何の違いかな?」
「ランクとかあるのかな?」

などと思ったことはありませんか。

何故いろいろな呼び名の神社があるのか、それぞれの違いはどこにあるのか、この記事では、そんな「神社の名称」について疑問を解決していきます。

今まで特に意識していなかった方も、違いがわかると、神社巡りがもっと楽しくなること間違いなしですよ。

 

社号の基本知識

「神宮」「大社」「宮」「「神社」などの呼び名のことを社号といい、一部例外もありますが、定められた基準によって名付けられています。

社号は神社の格式を表し、平安時代に書かれた「延喜式(律令の施行細則をまとめた法典)」の神名帳じんみょうちょうには、由緒正しいと認められた神社の細かいランク付けが記載されるなど、古くから使われてきました。

明治維新以降は、社格制度が制定され国が神社の管理を行うようになったため、
「神宮」・「大社」などは天皇の許可がないと名乗れなくなったとか。

しかし、第二次世界大戦の敗戦に伴い、GHQによって政教分離が進められ神社が国の管理下から離れた事をきっかけに、神社本庁という組織が設立されたという歴史があります。

現在は、社格制度は廃止となり格付けはされていませんが、それぞれの社号の特徴はほぼそのまま残っています。

では、この社号にはどのような基準があるのでしょうか。

それぞれ詳しくみていきましょう。

 

皇室の祖先神・歴代の天皇・神器をまつる「神宮」

「神宮」は、皇室の祖先神や、歴代の天皇、皇室とゆかりの深い神器や神をおまつりする神社のこと。

具体的には、皇室の祖先神「天照大神あまてらすおおみかみ」をご祭神とする「伊勢神宮」、歴代の天皇「明治天皇」をご祭神とする「明治神宮」、そして、皇室とゆかりの深い神器「草薙神剣くさなぎのみつるぎ」をご神体とする「熱田神宮」などが挙げられます。

そして、単に「神宮」と呼ぶときは、「伊勢神宮」を示す正式名称として用いられます。

「伊勢神宮」はさらに別格の存在ということですね。

以上のような基準から、「神宮」の社号を持つ神社は全国に24社あります。

その中にははいりませんが、「東京大神宮」は、江戸から伊勢神宮へお参りするには道のりが遠かったため、伊勢神宮の遙拝殿ようはいでん(遠く離れた所から神仏などを拝む建物)として作られたそうです。

ちなみに、「神宮」という社号が生まれた平安時代には、、神宮と名乗ることのできる神社は「伊勢神宮・鹿島神宮・香取神宮」の3社しかなかったそうですよ。

 

 

<神宮を社号とする神社>

社名 ご祭神
伊勢神宮 (三重県) 天照大神・豊受大神とようけおおみかみ
伊弉諾いざなぎ神宮 (兵庫県) 伊弉諾尊いざなぎのみこと伊弉冉尊いざなみのみこと
霧島神宮(鹿児島県) 天饒石国饒石天津日高彦火瓊瓊杵尊あめにぎしくににぎしあまつひたかひこほのににぎのみこと
鹿児島神宮 (鹿児島) 天津日高彦穂々出見命あまつひこひこほほでみのみこと
鵜戸うど神宮 (宮崎県) 日子波瀲武鸕鶿葺不合尊ひこなぎさたけうがやふきあえずのみこと
英彦山神宮(福岡県) 正哉吾哉勝速日天忍穂耳尊まさかあかつかちはやひあめのおしほみみのみこと
橿原かしはら神宮(奈良県) 神武天皇(日本の初代天皇)
宮崎神宮(宮崎県) 神武天皇(日本の初代天皇)
氣比神宮(福井県) 伊奢沙別命いざさわけのみこと・仲哀天皇
宇佐神宮(大分県) 応神天皇・神功皇后じんぐうこうごう
近江神宮(滋賀県) 天智天皇
白峯神宮(京都府) 崇徳天皇・淳仁天皇
平安神宮(京都府) 桓武天皇・孝明天皇
赤間神宮(山口県) 安徳天皇
水無瀬神宮(大阪府) 後鳥羽天皇・土御門つちみかど天皇・順徳天皇
吉野神宮(奈良県) 後醍醐ごだいご天皇
北海道神宮(北海道) 明治天皇
明治神宮(東京都) 明治天皇
熱田神宮(愛知県) 草薙神剣くさなぎのみつるぎ
石上神宮(奈良県) 布都御魂ふつのみたま
國懸くにかかす神宮(和歌山県) 日矛鏡ひぼこのかがみ
日前ひのくま神宮(和歌山県) 日像鏡ひがたのかがみ
鹿島神宮(茨城県) 武甕槌神たけみかづちのかみ
香取神宮(千葉県) 経津主神ふつぬしのかみ

 

伊勢神宮©仰木一弘 wih LeicaQ

 

同名神社の総本社「大社」

お寺に宗派があるように、神社にもおまつりする神様によって系列があり、「大社」は神社名を共有している系列の総本社にあたる社号です。

「稲荷神社」系列の総本社「伏見稲荷大社」などがそれにあたります。

現在、「大社」という社号を名乗っている神社は全国に24社ありますが、戦前までは大国主神おおくにぬしのかみ」をまつる「出雲大社いずもおおやしろ」にだけ使われていたとか。

「出雲大社」も別格の存在ということですね。

 

なお、「大社」という社号を名乗るには、現在は廃止されているとはいえ、平安時代に定められた社格制度の中で、「官幣大社かんぺいたいしゃ(朝廷が運営する神社)」や「国幣大社こくへいたいしゃ(朝廷から派遣された国司こくじが運営する神社)」など、かなり高いランク付けがされていることも基準になっているそうです。

 

<大社を社号とする神社>

社名 ご祭神
出雲大社(島根県) 大国主大神
熊野大社(島根県) 熊野大神櫛御気野命くまののおおかみくしみけぬのみこと
三嶋大社(静岡県) 大山祇命おおやまつみのみこと積羽八重事代主神つみはやえことしろぬしのかみ
富士山本宮浅間大社(静岡県) 木花之佐久夜毘売命このはなのさくやびめのみこと
諏訪大社(長野県) 建御名方神たけみなかたのかみ八坂刀売神やさかとめのかみ
気多大社(石川県) 大己貴命おおなむちのみこと
南宮大社(岐阜県) 金山彦命
多度大社(三重県) 天津彦根命あまつひこねのみこと
多賀大社(滋賀県) 伊邪那岐命いざなぎのみこと伊邪那美命いざなみのみこと
建部大社(滋賀県) 日本武尊やまとたけるのみこと大己貴命おおなむちのみこと
日吉大社(滋賀県) 大己貴神おおなむちのかみ大山咋神おおやまくいのかみ
春日大社(奈良県) 春日神
龍田たつた大社(奈良県) 天御柱命あめのみはしらのみこと国御柱命くにのみはしらのみこと
廣瀬大社(奈良県) 若宇加能売命わかうかのめのみこと
伏見稲荷大社(京都府) 稲荷大神
松尾大社(京都府) 大山咋神おおやまくいのかみ・中津島姫命
梅宮大社(京都府) 酒解神・酒解子神・大若子神・小若子神
住吉大社(大阪府) 底筒男命・中筒男命・表筒男命・神功皇后
大鳥大社(大阪府) 日本武尊・大鳥連祖神おおとりのむらじのみおやのかみ
熊野本宮大社(和歌山) 家都美御子大神けつみみこのおおかみ
熊野速玉大社(和歌山) 熊野速玉大神・熊野夫須美大神
熊野那智大社(和歌山県) 熊野夫須美大神
宗像大社(福岡県) 田心姫神たごりひめのかみ湍津姫神たぎつひめのかみ市杵島姫神いちきしまひめのかみ
高良大社(福岡県) 高良玉垂命こうらたまたれのみこと・八幡大神・住吉大神

 

出雲大社©仰木一弘 wih LeicaQ

 

皇室に関係する神様をまつる「宮」

「宮」は、天皇や親王しんのうと呼ばれる天皇家の男子(皇子や皇孫)をご祭神とする神社の社号です。

「宮」の社号をもつ主な神社として、護良親王もりよししんのうをまつる「鎌倉宮」、安徳天皇をまつる「水天宮」、「八幡神(応神天皇)」をまつる「八幡宮」などがあります。

また、皇族でなくとも歴史上の重要な人物の神様をおまつりする神社にも伝統的に「宮」が使われています。

徳川家康をご祭神とする「東照宮」や、菅原道眞をご祭神とする「天満宮」が有名です。

 

神様をまつっている施設の総称「神社」

最も一般的な社号の「神社」には、名乗るための規模やご祭神などの特別な基準はありません。

そのため、全国の神社の大部分が「神社」と名乗っています。

また、「神社」とは、社号をあらわすだけでなく、日本古来の宗教である「神道の神」をまつり祭祀や参拝をするための施設の総称でもあります。

「神宮」「大社」「宮」は「神社」の一部と言うこともできますね。

ちなみに、神社本庁に登録のある神社は、全国に約8万社以上、登録されていない神社も含めると10万社を超える神社があるといわれています。

 

まとめ

ここまで「神宮」「大社」「宮」「神社」などの名称について解説してきました。

違いは、おわかりいただけましたでしょうか。

最後にもう一度、それぞれの社号を区別するポイントを振り返ってみましょう。

【神宮】

皇室の祖先神や歴代の天皇、皇室とゆかりの深い神器や神をおまつりする神社
単に「神宮」と呼ぶときは、「伊勢神宮」を示す正式名称として用いる
現在、存在する神宮は24社

【大社】

同じ神をまつり神社名を共有している系列グループの総本社にあたる
平安時代に定められた社格制度の中で、「官幣大社」や「国幣大社」など、かなり高いランク付けがされていることも基準になっている
現在、存在する大社は24社

【宮】

天皇や親王と呼ばれる天皇家の男子(皇子や皇孫)をご祭神とする神社
歴史上の重要な人物の神様をおまつりする神社

【神社】

最も一般的な社号で、且つ「神道の神」をまつり祭祀や参拝をするための施設の総称、特に基準はない

 

社号の違いがわかるようになると、神社にますます興味が湧いてくるのではないでしょうか。

神社へお出かけの際に、参考にしていただけますと幸いです。

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