波上宮、拝殿 © 仰木一弘
那覇空港の近くにある、崖の上から海を見下ろすように建つ神社をご存知ですか?
「波上宮」は古くから、海の彼方の神々に海の安全や、大漁、穀物がよく実ることを祈る「ニライカナイ信仰」の聖地とされていました。
珊瑚礁の崖の上にたつ建物は、朱色の赤瓦が鮮やかな南国らしい雰囲気。
狛犬の代わりに、沖縄のシンボルのシーサーがお出迎えです。
「波上宮」は、良縁結びのご利益があることで有名で、県外からも多くの方が訪れます。
【ご利益】良縁結びのご利益で有名
ご祭神に日本で最初に夫婦になった神様とされる「伊弉冉尊」をまつることから、良縁結びのご利益があるといわれています。
「波上宮」は、神前結婚式をすることもできるので、良縁結びのパワースポットと知られる場所で式を挙げたいという方が多くいらしゃるとか。
さらに、ご本殿正面の上を見上げた所に「波上宮」と記された板がありますが、その字を取り囲むように小さなハートマークが描かれています。
そのようなことからも、恋愛成就のご利益があるといわれているそうです。
そして、気になる「縁結び御守」は、青と赤の合わせ貝を使用した珍しいお守り。
ただ一対だけが重なり合う「結び合わせ」を表し、絵柄も可愛いと人気があるそうです。
また、良縁結び以外にも、安産祈願・家内安全などのご利益をさずかりに、沖縄県外からも多くの方が訪れます。
近年は外国人観光客にも人気をよんでいて、観光バスで訪れる団体ツアーが増えているそうです。
そんな「波上宮」の「おみくじ」は、英語だけではなく、なんと中国語、台湾語にも対応しているようですからインターナショナルですね。
沖縄ならではの「シーサー」
沖縄の青い空に映える朱色の社殿。
美しい境内には白砂に代わってサンゴ砂がしかれ、拝殿を守るようにシーサーが出迎えます。
シーサーは向かって左、口を閉じているのがメス、向かって右の口を大きく開けているのがオスです。
沖縄の「魔除け」「守り神」として定着し、家の入り口に一対を置いておくと福をよび込むと信じられてきました。
では何故、シーサーは口を開けているのと閉じているのがいると思いますか?
実は、メスのシーサーは、福を逃さず災難から守るために口をしっかりと閉じ、オスのシーサーは福を招き入れるために大きく口を開けているそうです。
「開運ビーチ」で運気アップ
階段を降りると波の上ビーチがすぐ目の前に広がります。
別名「開運ビーチ」とよばれているのですが、海で泳いだり、足をひたすだけでも運気がアップするかもしれませんね。
開運ビーチから公園を抜けて行くと「波之上臨海道路」に出ます。
こちらの道路を進んでいくと、砂浜にある大きな断崖と、その上に立つ「波上宮」全体の素晴らしい眺めを見渡すことができます。
鮮やかな朱色の「波上宮」と、キレイな空の景色を完璧に写せるので、ここから撮った写真を多くの方がSNSに投稿しているようです。
【所在地・アクセス】波の上ビーチにそびえたつ岩山の上に鎮座
那覇空港からも、街の中心地からも近くアクセスしやすい場所です。
<所在地・電話番号>
〒900-0031 沖縄県那覇市若狭1-25-11
TEL:098-868-3697
<アクセス>
〈那覇空港より〉
■路線バスをご利用の方:
・25、26、99系統のバスに乗り「県庁北口」下車→徒歩で1分移動
・「パレット茂地前」バス停より2、5、15、45系統のバスに乗り、「西武門」下車、徒歩約3分
■ゆいレール(モノレール)をご利用の方:
・「旭橋駅」で下車後、徒歩で約15分
・または「県庁前駅」で下車
1・3・5・17・45系統の路線バスに乗り「西武門」下車、徒歩約3分
■自動車(レンタカー・タクシー)をご利用の方:
・国道58号線(那覇西道路)を使用して約15分
*無料駐車場:約20台収容
【ご祭神・ご由緒】「ニライカナイ信仰」の祈りの聖地に熊野三神をまつる
【ご祭神】
〈主祭神〉熊野三神
■「伊弉冉尊」
日本神話に登場し、国生みと神生みをおこなった女神。
漢字で他にも「伊邪那美命」「伊耶那美」などいくつか表記されますが、カタカナで「イザナミ」と表記されることもあります。
天と地が分かれた「天地開闢」の時に生れた7人の神の最後に、一緒に誕生した「伊弉諾尊」の妹で、妻でもあるとされます。
大地の母神ともいわれ、万物を生み出すパワーと、死をもたらすパワーを持ち、縁結びや恋愛成就、安産、厄除開運、家内安全、商売繁盛などのご利益があるとされています。
■「速玉男尊 」
「日本書紀」にみえる神。
「伊奘諾尊」が黄泉国の「伊奘冉尊」を訪れた時に離縁することになり、その約束をかためるためツバを吐きました。
そのツバから生まれた神様といわれ、このことから絶縁や約束のご利益などがあるそうです。
■「事解男尊 」
「日本書紀」にみえる神。
「伊奘諾尊」が吐いたツバから「速玉男尊」が生まれたあと、けがれを祓った時に生まれてきた神様です。
このことから、物事を明らかにし事態を収拾させる、魔をはらうご利益があるといわれています。
〈相殿神〉
■「竈神」
沖縄県や鹿児島県奄美群島で信仰され、かまどや台所など火を使用する場所にまつられている火の神様。
農業や家畜、そして家を守る守護神でもあります。
粗末に扱うと人にたたりを及ぼす激しい性格といわれます。
■「産土神」
その人が生まれた土地の守護神をさします。
生まれる前から死んだ後まで守ってくれる神様だといわれ、他の地に引っ越しても守られると信じられています。
■「少彦名神」
「大国主神」と国造りを行なったときに力をつくした神様。
その容姿が小さいことから、一寸法師の原型になったともいわれています。
穀物を実らせるパワーを持つ農耕の守護神であり、医業、温泉や酒造の神としてまつられていることが多い神様です。
<「ニライカナイ信仰」とは>
沖縄と奄美諸島では、遠い海の彼方に理想郷の神の国があり、そこから神々が人間のもとに訪れ,祝福を与えるという信仰があります。
それを「ニライカナイ信仰」といいますが、人は亡くなると魂が「ニライカナイ」へ戻り、生者の魂は「ニライカナイ」から来ると考えられています。
また、沖縄では亡くなると魂が親族の守護神になると信じられているそうです。
そして、「ニライカナイ」から神様が年始にやってきて、五穀豊穣をもたらしたあと年末にまた戻ると考えられているのです。
【ご由緒】
始まりの年は不明ですが、古くから沖縄では「ニライカナイ信仰」が根づいていて、神々に日々の大漁と穀物の実りに恵まれた平穏な生活を祈ってきました。
「波上宮」が鎮座する場所が、その祈りの聖地のひとつで、始まりとされています。
そして、琉球王国にとってこの場所は、中国・南方・朝鮮・日本本土と交易する大切な玄関口でした。
その後、神のお告げにより王府がこの聖地に社殿を建てて熊野三神をまつったとされます。
多くの船は、「波上宮」の神々に航海の安全、大漁を祈り、また、琉球の人々は「なんみんさん」と親しみを込めてよび感謝をささげたそうです。
そして、琉球王国から特別に保護を受けた神社「琉球八社」の制が設けられると、「波上宮」は第一の神社となりました。
毎年お正月には、国王みずから参拝して国家の安全と繁栄を祈ったとされます。
明治時代に入り、近代社格制度(新たに神社を等級化した制度)では官幣小社とされましたが、太平洋戦争で被災してしまったそうです。
しかし、平成5年には戦後約50年にして全社殿が本格的に復興されました。
【社務所受付時間】
午前10:00〜午後4:00くらい
*新型コロナウイルスの影響で流動的なため、事前に電話で確認することをおすすめします。
【御朱印】
・授与所にて:午前9:00〜午後5:00
・御朱印代:¥300
・オリジナル御朱印帳:¥1,500(御朱印代込み)
オリジナル朱印帳は沖縄の伝統的な染色技法で作られた紅型の生地がかわいいと人気です。
色鮮やかで工芸品のような美しいデザイン。
水色、白、黄色と3色あります。
同じく紅型の健康祈願のお守がありますが、沖縄らしいデザインは、お土産として観光客に人気が高いそうです。
【主な祭礼】
なんみん祭
琉球王朝時代にまでさかのぼる歴史があり、毎年5月に17日の例大祭とその前後に、「神幸祭」が行われます。
また、沖縄角力(琉球に伝わる格闘技)大会、琉球舞踊、演舞大会、ビーチ綱引きなど、那覇市内各地で催し物が開かれ、家族連れ、ご年配の方から観光客まで多くの方たちで盛り上がります。
「神幸祭」では、沖縄には珍しい本土風の神輿行列が「ソイヤ」「サア」のかけ声で威勢よく市内を練り歩き、その後ろには沖縄の獅子舞やエイサーと色とりどりの集団が続きます。
沖縄のお盆に先祖供養として演じられてきたエイサーは、今では沖縄を代表する民俗芸能の一つになっているそうです。
まとめ
「波上宮」は古くから「ニライカナイ信仰」の祈りの聖地だった崖の上に建つ沖縄ならではの神社。
ご祭神には熊野三神をまつり、良縁結びのご利益がある事で有名です。
他にも厄除け・安産祈願・家内安全などのご利益があるとして信仰され、地元の人々から「なんみんさん」の愛称で親しまれています。
また、空港や中心地からもアクセスが良いので、沖縄県外からも多くの方が訪れ、年間を通して多くの人でにぎわいます。
朱色の美しいご本殿が波の上に建つ姿は絶景です。観光で訪れたときにはぜひ参拝されて、南国のパワーを受け取りましょう。