宇佐神宮、二之御殿 © 仰木一弘 wih LeicaQ

 

日本には8万社以上の神社がありますが、一番多い神社をご存知ですか?

実は八幡信仰が最も多く「宇佐神宮」(別名:宇佐八幡・宇佐八幡宮)は、全国に約4万あると言われる八幡社の総本宮で、「日本三大八幡宮」の一つです。

境内には、朱塗りが美しい国宝の本殿などの重要文化財が多く、いずれも豪華な造りの建造物は一見の価値があります。

また、ご神木の大楠くすのき、縁結び・夫婦円満のご利益があるとされる「夫婦石」、一生に一度願いを叶えてくれるという「願掛け地蔵」など、パワースポットが多く、年間で150万人を超える参拝者が訪れる人気の神社です。

 

 

【ご利益】「一之御殿」は勝負事についてのご利益「二之御殿」「三之御殿」は縁結び・安産・子育てのご利益があるとされる

〈参拝の作法〉

当宮には上宮じょうぐう」と「下宮げくうがあり、同じご祭神をまつっています

古くは「上宮」は皇族などの身分の高い人物だけが参拝する場所で、一般庶民が参拝できる社殿が「下宮」だったとされています。

「下宮参らにゃ片参り」といわれますので、ご利益をさずかるため両方を参拝することをおすすめします。

 

向かって左から一之御殿、中央の二之御殿、右の三之御殿と順にお参りし、一般的な「二拝二拍手一拝」ではなく「二拝四拍手一拝」になります。

一之御殿はご祭神に武運の神「八幡大神はちまんおおかみ(応神天皇)」をまつることから、勝負事についてのご利益があるとされます。

また、それに関連した仕事運や金運のご利益もさずかれるそうです。

さらに、二之御殿と三之御殿それぞれにまつられている比売大神ひめおおかみ神功皇后じんぐうこうごうは、縁結び・安産・子育てのご利益があるといわれています。

 

また、「宇佐神宮」では、ひょうたんのなかに願い事を書いた紙を入れて奉納する「願掛けひょうたん絵馬」が人気。

ウリ科の植物であるひょうたんは、古来より災難を祓う縁起物としても知られているそうです。

さらに、こちらの「願掛けひょうたん絵馬」は、ご祭神の「神功皇后」が母乳を入れて我が子の「応神天皇」に与えたことが由来と伝わります。

 

パワースポット「ご神木の大楠」

「上宮」ご本殿前にそびえる高さ約30メートル、幹まわり約5メートルのご神木、大楠おおくからは、強力なパワーをさずけていただけるそうです。

こちらの推定樹齢800年のご神木に、1周回って触れることで願いが叶うとされています。

 

縁結びや夫婦円満に「夫婦石」

「若宮神社」の手前の参道に、似たような三角形の石が二つ並ぶ「夫婦石」があります。

二つの石が寄り添うように並んでいることから縁起が良いとされ、縁結び・夫婦円満にご利益があるといわれています。

お二人で訪れた時には、手をつないで左右の石を一緒に踏むことで幸せになり、一人で訪れた方は、両足で踏むと良縁に恵まれるそうです。

 

隠れパワースポット「願掛け地蔵」

呉橋くれはしの近くに、大小2体のお地蔵様がまつられています。

こちらのお地蔵様が一生に一度願いを叶えてくれるという「願掛け地蔵」

もともと境内の中でもひときわ人通りが少ない所にありますが、誰にも見られないで参拝すると願いが叶うとされているので、人が少ない時に参拝したほうが良さそうですね。

 

恋愛運アップのハートマーク

「宇佐神宮」の境内では、ハート形の石や模様をあちこちで見かけます。

建物の器具の飾りをはじめ、社務所や札所などにもあります。

実はこのハート型の模様は、日本の伝統的な模様のひとつで猪目いのめとよばれるもの。

字のごとくイノシシの目を意味し、古くから魔除けに使われているそうです。

ご利益がありそうなハートマークを探しながら散策してみてはいかがでしょうか。

 

3つの井戸の「御霊水」

「上宮」の裏、菱形池ひしがたいけの近くに3つの霊泉があります。

こちらは御霊水、または御鍛冶場おかじばともよばれています。

そして、今も水が湧き出る御霊水の地は、菱形池と同様、八幡大神があらわれたとされる場所として大切に守られているそうです。

こちらの井戸の御霊水は自由に持ち帰りできますが、飲水ではないので神棚などへのお供え用にするのがおすすめです。

 

「応神天皇」の御子をまつる摂社「若宮神社」

ご祭神に「応神天皇」の御子「若宮5神」をまつっているため「若宮神社」とされています。(異説あり)

大鷦鷯命おおささぎのみこと(後の仁徳天皇)
大葉枝皇子おおばえのみこ
小葉枝皇子こばえのみこ
隼別皇子はやぶさわけのみこ
雌鳥皇女めとりのみこ

こちらで明治時代にいたるまで、亀の甲を焼き吉凶を占っていたとされ、災難・厄難除の神様として有名です。

なお、社殿は国指定の重要文化財です。

 

【所在地・アクセス】大分県の国東半島の根元部分に鎮座

〈所在地・電話番号〉

〒872-0102 大分県宇佐市南宇佐2859
TEL:0978-37-0001

 

〈アクセス〉

■車をご利用の方:

・東九州自動車道 「宇佐IC」から国道10号線(別府方面)へ約15分
・大分空港から約1時間

〈有料駐車場〉

・宇佐神宮表参道駐車場:200台収容(¥400/12時間まで)
・外苑駐車場:150台収容(¥300/12時間まで)

*お問い合せ:宇佐神宮  TEL:0978-37-0001

 

・八幡駐車場:400台収容(¥400)

*お問い合せ:(株)宇佐八幡駐車場  TEL:0978-37-0247

 

・呉橋駐車場:120台収容(¥400)

*お問い合せ:宇佐市観光協会   TEL:0978-37-0202

 

■電車をご利用の方:

・JR日豊にっぽう本線「宇佐駅」下車
・宇佐駅からは、バス・タクシーをご利用にて約10分
・バスをご利用の場合は「四日市方面バス」に乗車し、「宇佐八幡バス停」下車

*境内では、体の不自由な方・高齢の方・ベビーカーのご家族専用のモノレールが運行されています。

 

【ご祭神・ご由緒】「上宮」「下宮」とも同じご祭神をまつる八幡神社の総本宮

【ご祭神】

「上宮」「下宮」とも同じく一之御殿に八幡大神はちまんおおかみ、二之御殿に比売大神ひめおおかみ、三之御殿に神功皇后じんぐうこうごうの順にまつられています。

「宇佐神宮」は、八幡宮の総本山ですので、一般的には中央に一番格上の「八幡大神はちまんおおかみ」まつられるはずなのですが、「比売大神ひめおおかみ」がまつられているのは謎とされています。

 

実は、「比売大神ひめおおかみ」は女神という意味であって、特定の誰かを指す固有名詞ではないそうです。

「宇佐神宮」の由来では、「八幡大神はちまんおおかみ」が現れる以前の宇佐の地主神とされ「田心姫神たごりひめのかみ」・「湍津姫神たぎつひめのかみ」・「市杵島姫神いちきしまひめのかみ」の宗像三女神むなかたさんじょしんのこととされています。

ただし、「比売大神ひめおおかみ」に関する史実が公に残っていないため、様々な憶測をよんで「卑弥呼」ではないかという説まであるようです。

 

〈八幡大神〉

第15代の応神おうじん天皇」のことで、「誉田別尊ほんだわけのみこと」と別名で呼ばれることもあります。

大和朝廷の華やかな時代である4世紀後半に実在したといわれています。

武家の神、国家鎮護ちんごの神とされ武家から朝廷、庶民にまで広く信仰されている神様です。

また、仏教の世界でも八幡大菩薩はちまんだいぼさつとしてあがめられています。

 

比売大神ひめおおかみ

比売大神ひめおおかみは、八幡様のあらわれる以前の神様、地主神であるとされています。

福岡の「宗像大社むなかたたいしゃ」や「宮地嶽みやじだけ神社」、広島の「厳島いつくしま神社」などにもまつられていて、芸能の神、財福の神、海の神。

また、さまざまな伝承から縁結び・恋愛成就・子授かりなどのご利益があるとされています。

 

神功皇后じんぐうこうごう

別称:「息長帯姫命おきながたらしひめのみこと」。古事記・日本書紀にみえる伝承上の人物。

第14代「仲哀ちゅうあい天皇」の皇后で、「 応神天皇」の母。

「仲哀天皇」の没後、お腹に子をやどしたまま朝鮮半島に遠征し、帰国後に「応神天皇」を無事に出産したと伝えられ、安産・子育ての女神として信仰されています。

 

【ご由緒】

神話の時代に、比売大神ひめおおかみが「宇佐神宮」の後ろにそびえる現在の御許山おもとさんに降臨したと日本書紀に記されています。

八幡大神はちまんおおかみは「欽明きんめい天皇」の時代(571年)に初めて宇佐の地にあらわれたと伝わり、「聖武しょうむ天皇」の祈願によって「八幡大神」をまつる本殿の「一之御殿」がつくられたのが始まりとされているそうです。

その後、神のお告げにより「二之御殿」、「三之御殿」が建てられ「比売大神ひめおおかみ」、「神功皇后じんぐうこうごう」がまつられました。

 

八幡大神はちまんおおかみ」のご神徳によって、奈良東大寺大仏建立こんりゅうの協力や、天皇即位にかかわる神のお告げをたまわった故事などは特に有名です。

そして、「宇佐神宮」が東大寺の大仏建立に協力した事で「八幡大神」の御分霊を東大寺にうつしまつられ、それから八幡信仰が全国へと広まったとされます。

皇室からも伊勢の神宮につぐ第二の宗廟そうびょう皇室の祖先をまつるところとしてご崇敬を受け、勅祭社ちょくさいしゃ(祭祀に際して天皇により使者が遣わされる神社)とされました。

また、平安時代にまとめられた「延喜式神名帳えんぎしきじんみょうちょう(全国の神社一覧)」には名神大社みょうじんたいしゃとして記されています。

 

 

それからは八幡信仰も長い年月を経て、神仏習合の文化が全国へと広がるようになり、今日まで受け継がれています。

大分県の国東くにさき半島に点在する天台宗寺院群の総称六郷満山ろくごうまんざんとよびますが、平成30年には六郷満山の1300年の節目を迎えました。

境内には、「宇佐宮弥勒寺みろくじ」といわれる神宮寺(神仏習合思想に基づいて、神社に附属して建てられた仏教寺院)の跡が残っています。

 

国宝「本殿」を始めとする有形文化財の建造物

美しい「上宮」の本殿は、「八幡造」という古い神社形式を今に伝える貴重な建築物として国宝に指定されています。

この「八幡造」は、前殿と後殿の社殿が前後に並び、建物を横から見るとアルファベットのMの様な屋根の形をしているのが特徴。

また、その上の両方の屋根が接する場所には、金が施された雨どいが渡されています。

 

<宇佐鳥居(県指定有形文化財)>

西大門前の木造鳥居は「宇佐鳥居」と呼ばれ、宇佐古来の形式・規格をもつことで有名です。

大鳥居をはじめ他の鳥居はすべてこれと同じ形式のものです。

朱塗りで上の笠木かさぎに屋根がかかり、柱の上に黒い輪(台輪)、根本に腰ばかまがあります。

額束がくづか(神社名などを記した額)が無いのが特徴といわれています。

 

<呉橋(県指定有形文化財)>

西側を流れる寄藻よりも川には、屋根の付いた朱塗りの橋がかかっています。

昔、中国のくれの人が掛けたともされているのが名前の由来。

昭和の初めまでは呉橋から続く西参道が表参道でしたが、現在は10年に一度だけ勅使祭ちょくしさいの時に扉が開かれるそうです。

普段は渡ることはできませんが、すぐ隣に一般用の橋が架けられているので、朱塗りの優美な姿を充分に楽しめます。

 

八幡文化の殿堂「宝物館」

昭和60年に「初沢池」のほとりに設立されました。

宇佐の歴史と文化に触れることの出来る八幡文化の殿堂として、「宇佐神宮」関係の国や県の指定文化財など数百点を収蔵、展示公開しています。

なかでも国宝の「孔雀文磬くじゃくもんけいは、鎌倉時代前期のもので、両脇にクジャクを配置した仏具の一つになります。

また、京都の「広沢池」や奈良の「猿沢池」と並び「日本三沢の池」とよばれる「初沢池」には、約1万株の古代はすが7月から8月にかけて美しく咲き誇るそうです。

 

【社務所受付時間】

午前9:00~午後4:30

*新型コロナウイルスの影響で流動的なため、事前に電話で確認することをおすすめします。

 

【御朱印】

・「上宮」授与所にて:午前7時半より午後6時くらいまでになるそうです。
・御朱印代:¥300
・オリジナル御朱印帳:¥1,500(御朱印代は含まない)

オリジナルのご朱印帳は、朱色と紺色、ご神紋をイメージした白色の3種類。

 

宇佐神宮 御朱印 by.仰木一弘

 

【主な祭礼】

鎮疫祭

2月12~15日

鎮疫祭ちんえきさいは、疫病災禍さいかをおはらいするもので、神仏習合(神道と仏教が融合したこと)の代表的な祭典

2月12日から古いおふだを焼納し、15日までたき続けられますが、この火によって焼かれた餅を食べると、一年間無病息災になるといわれています。

13日は「上宮」と「八坂神社」で神事が行われ、「八坂神社」では4メートルばかりの五色の大きな御幣ごへい(2本の紙を竹または木の串に挟んだもの)を、鳥居越しにご本殿に向かって投げかけます。

こちらの日本最大級の御幣がお守りとなるため、参拝者が先を争って奪い合い鳥居のところに殺到するそうです。

 

神幸祭

7月27日以降の最初の金・土・日

神幸祭じんこうさい」は、古くは「お祓い絵」、現在は「夏越大祭なごしたいさい」、「夏越祭なごしまつ、といわれ宇佐の夏を彩ります。

この祭典では、氏子の無病息災や豊作を祈り、「神輿みこしパレード」が盛大に行われますが、三基の神輿が一番乗りになろうとして互いに競うことから、別名「けんか祭」ともよばれます。

実は、「宇佐神宮」が「神輿」の発祥であり、東大寺の大仏参拝のために、「八幡大神」が神輿に乗って上京したという言い伝えがあり、神の移動手段として全国に広まっていったそうです。

 

まとめ

日本全国にある八幡宮の総本社「宇佐神宮」は、「伊勢神宮」に次ぐ宗廟そうびょうとして、皇室からも崇敬される豊前国ぶぜんのくに一之宮です。

「上宮」、「下宮」ともに、社殿が一之御殿、二之御殿、三之御殿に分かれているのが特徴で、境内には国宝のご本殿をはじめ、摂社の「若宮神社」など国や県指定の重要文化財が多く見ることができます。

また、「ご神木の大楠」「夫婦石」「願掛け地蔵」など見どころが多く、パワースポットとしても有名です。

ゆっくりと境内を歩きながら全国に広がる八幡神の歴史をたどり、宇佐神宮のパワーを体感してみてはいかがでしょうか。

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