新潟県の離島である佐渡島。
日本最大の金銀山で栄え、今も大規模な金山跡が残っているのはご存知でしょうか?
また、天然記念物「朱鷺」の飼育でも有名です。
そんな佐渡島の歴史を見守ってきたのが「度津神社」。
社名のワタは古代日本で海をあらわすとされ、「海の神の社」という意味があるそうです。
植林の神、海上・陸上の交通安全の守り神として、「五十猛命」をまつり広く信仰を集めてきました。
田園風景の中の巨大な朱い鳥居が出迎えてくれる「度津神社」は、自然豊かな佐渡の原風景がそのまま残っています。
【ご利益】海上・陸上の交通安全
主祭神は、「日本書紀」では、全国に植林を広めたとされる「五十猛命」。
木材による家屋・舟・車の築造技術を盛んにしたとされます。
また、造船・航海術にも秀でていたとされ、その御功績から海上・陸上の交通安全の神様として佐渡の人々の崇敬を集めてきました。
「五十猛命」をおまつりする神社ということから「海の神の社」という意味を持つ「度津神社」となったそうです。
境内に移された「釣り岩」と「亀石」
「度津神社」の前に流れる羽茂川。
ご祭神「五十猛命」は、その川でよく釣りをして楽しんだと伝えられています。
そして、腰をかけて釣り糸を垂れたとされる「釣り岩」、水中には亀の形をした「亀石」と呼ばれる岩があります。
こちらは、数年前からの県道の拡幅工事の時に、「五十猛命」の伝説を後世に語りつぐために神社の境内に移されたそうです。
武運の神をまつる末社「八幡宮」
ご本殿の隣りの末社「八幡宮」には、「誉田別尊命(応神天皇)」がまつれています。
第15代天皇であり、大和朝廷の華やかな時代である4世紀後半に実在したといわれています。
武運の神、国家鎮護の神とされ、武家から朝廷、庶民にまで広く信仰されている神様です。
佐渡植物園が隣接
「渡津神社」に隣接している「佐渡植物園」。
面積65,000㎡の園内は、自然林を含む13ゾーンに分かれています。
佐渡は寒暖の差が少なく、自生種(ある地域に古くから自生している植物の種類)がとても多いのが特徴。
そのなかでも代表的な植物を中心に、自然に近い形で植栽展示し、日本列島の縮図的な植物分布となっているそうです。
自然散策道や遊歩道もあり、四季折々の豊かな自然のなかで散策を楽しむ事ができます。
また、明治神宮から分けていただいた花菖蒲は、6月下旬〜7月上旬が見頃です。
【所在地・アクセス】新潟県の西部に浮かぶ佐渡島に鎮座
<所在地・電話番号>
〒952-0503 新潟県佐渡市羽茂飯岡550-4
TEL:0259-88-2030
<アクセス>
佐渡島に渡るには、新潟県の本州側から佐渡汽船での3つの航路があります。
島内でレンタカーを利用する場合は一番業者が多いのは両津港、「度津神社」に一番近い港は小木港です。
■新潟港より両津港
・国道350号を車で約1時間20分
■直江津港より小木港
・県道を車で約15分
■寺泊港より赤泊港
・県道を車で約20分
*無料駐車場(約20台収容)
■島内で公共バスご利用の場合:
・新潟交通佐渡バスで「一の宮前」バス停下車 (徒歩約2分)
*どの港からも乗り継ぎすることになるため、事前によく確認することをお勧めします。
【ご祭神・ご由緒】 社名の「ワタ」は海の古語であり「海の神の社」という意味をもつ
【ご祭神】
<五十猛命>
「素盞嗚尊」の御子神で、植林の神。
「渡津神社」では陸上・海上の交通安全の守護神として、佐渡の人々の崇敬を集めています。
本来のご祭神は「五十猛命」ではなく、航海の神(海童神)だったという説もあるそうです。
この他、「五十猛命」の妹神である「大屋津姫命」と「抓津姫命」が配祀されています。
兄妹三柱はいずれも木の文化を司り、日本中に樹木の種を蒔いて回った神とされています。
【ご由緒】
平安時代にまとめられた「延喜式神名帳(官社に指定されていた全国の神社一覧)」に、佐渡国から9社の名前が記載されている中で、佐渡一之宮とされているのが「度津神社」です。
古くから格式高い神社であったそうですが、文明2年(1470年)の羽茂川の洪水によって、当時の社殿や古文書等が流されたため、創立年代などの由緒の詳細は分からなくなってしまいました。
かつての社殿は、背後の神体山・妹背山を背にした場所にあったとされ、当時の八幡宮境内にあたる現在の場所にうつったと伝わります。
現在のご本殿は江戸時代1709年(宝永6年)に造営されました。
その後、神門、幣殿、拝殿は1937年(昭和12年)に造営されたもので、その時代を象徴するかのように、全て台湾産の檜が用いられているそうです。
【社務所受付時間】
午前8:30~午後5:00
*新型コロナウイルスの影響で流動的のため、事前に電話で確認することをおすすめします。
【御朱印】
・社務所にて:午前8:30~午後5:00
・ご朱印代:¥300
【主な祭礼】
例祭
4月23日
毎年4月23日の例祭には、伝統の子供たちによる やぶさめ神事や、稚児の舞が奉納されます。
また、神様の遣いとされる大獅子が厄払いに集落の家々を練り歩く姿も見ることができます。
獅子に頭をかんでもらうことで1年健康で過ごせるとされていることから、進んで頭をかんでもらうそうです。
まとめ
新潟県佐渡島の歴史を見守ってきた「度津神社」。
格式ある古社で、御祭神には「五十猛命」をまつり、海上・陸上の交通安全の守り神として島民から崇敬されてきました。
「五十猛命」が釣りをしたと伝わる羽茂川がかたわらを流れ、松や杉などの古木・大木に囲まれるように鎮座しています。
神社の隣には、遊歩道が整備された佐渡植物園があり、四季を通じて豊かな自然を楽しむことができます。
新潟県の他の一之宮(居多神社・彌彦神社)とあわせて参拝される方も多いそうです。
一之宮巡りをされない方も、佐渡観光の途中に立ち寄って「度津神社」に、旅路の交通安全をご祈願されてはいかがでしょうか。