伊弉諾神宮、拝殿©仰木一弘 wih LeicaQ
「国生み神話」にゆかりの深い淡路島に鎮座する「伊奘諾神宮」。
「伊弉諾尊」「伊弉冉尊」の2柱をまつる日本最古の神社です。
2柱の神様によって最初に生まれたのが淡路島であり、最後に「伊弉諾尊」が余生を過ごす土地に選んだのもこの地でした。
「伊弉諾神宮」は伊弉諾尊の神陵(お墓)の上に建つ聖地なのです。
境内には夫婦円満・安産子授・縁結びのご利益があるとされる「夫婦大楠」、伊奘諾神宮を中心とし、神話の神々との繋がりが記されている神秘的な「陽の道しるべ」という石碑などがあります。
島全体がパワースポットといわれる淡路島にあり、国生み・神生みの神様がまつられていることから、多くの観光客や参拝客が訪れています。
【ご利益】縁結び・子授け・安産・夫婦円満・心願成就・厄除開運・病気平癒など多岐にわたる
ご祭神の「伊弉諾尊」と「伊弉冉尊」の夫婦神が、国生み・神生みを成し遂げたことから、縁結び・子授け・安産・夫婦円満・心願成就・厄除開運・病気平癒など多岐にわたるご利益があるとされます。
また、日本の国土や多くの神様をお生みになったパワーを授けてくださる場所としても知られているそうです。
さらに、「伊弉諾尊」が黄泉の国(日本神話における死者の世界)で「伊奘冉尊」と別れた後、この世に戻り禊を行って神々を生み出したという神話から、人生に一区切りをつけて新しいことを始めるときに参拝すると良いされています。
「伊奘諾神宮」には桃の形をした珍しい絵馬や、桃の実をモチーフにしたお守りがあります。
これは、「伊弉諾尊」が黄泉の国から逃げ帰る時、追っ手に桃の実を投げて難を逃れたという言い伝えに由来するものです。
そのため桃は古くから魔除け、厄除けのご利益があるとされています。
お守りは身につけていることで、ご加護が授かれるそうです。
鯉や亀を放つ信仰が続いている「放生の神池」
参道を進むと、正門の手前には「放生の神池」と呼ばれている大きな池があります。
「伊奘諾神宮」の建つ場所はかつてご神陵であり、その周囲に巡らされていた堀の名残とされています。
古くは放生神事(鳥や魚を放して生命の永続を祈る行事)が行われていたそうです。
池の中にはたくさんの鯉や亀がいますが、今でも病気平癒のための命乞に「鯉」を放ち、病気が完全に治ったことへの感謝に「亀」を放つ信仰習慣が続いているためです。
また、手水舎の吐水口が一般的な龍ではなく、亀の口から水が出ているのが縁起が良いとされています。
「太陽の運行図」が記された陽の道しるべの石碑
放生の神池の反対側には「陽の道しるべ」という石碑と日時計のようなモニュメントがあります。
この石碑には、「伊弉諾神宮」を中心とする日本地図に、太陽の運行が記されています。
石碑によると、「日之少宮」と記される「伊弉諾神宮」を中心に、夏至は、日の出の方角に「諏訪大社(長野県)」、日没の方角に「出雲大社(島根県)」が鎮座しています。
また、冬至は、日の出の方角に「熊野那智大社(和歌山県)」、日没の方角には「高千穂神社(宮崎県)」、春分秋分は、日の出の方角には「伊勢神宮(三重県)」、日没の方角は「海神神社(長崎県)」と名だたる神社が鎮座しているのです。
太古の昔に、どのような計算で配置されたのか、まさかの偶然なのか、とても神秘的ですね。
ちなみに、「伊弉諾神宮」の別称でもある「日之少宮」とは、御子神である「天照大御神」の朝日の神格と対比して夕日を表現する尊称とされています。
夫婦の大楠には伊弉諾尊・伊弉冉尊の御神霊が宿る
樹齢900年を超える「夫婦大楠」は、パワースポットとされるご神木。
元々は2本の楠が、成長に合わせて一株にくっついたという珍しいもので、兵庫県指定の天然記念物です。
夫婦神の「伊弉諾尊・伊弉冉尊」の御神霊が宿るとされ、夫婦円満、安産子授、子孫繁栄、縁結びのご利益があるとされています。
江戸時代の地誌にも夫婦神が宿る「連理( 1本の木の枝が他の木の枝と連なって木目が通じ合っていること)の楠」として、その霊験が記されたとか。
「夫婦大楠」の傍にある「岩楠神社」には、国生み神話で最初に生まれた神とされる蛭子大神がまつられています。
眼病治癒にご利益がある「左右神社」
本殿のすぐ右側に、「伊勢神宮」の方位に鎮座する末社「左右神社」があります。
左右とは、両目のこと。
「伊奘諾尊」の右目から生まれた「月読尊」と、左目から生まれた「天照大御神」がまつられています。
目から生まれた神をおまつりすることから、眼病治癒にご利益があるとされているそうです。
【所在地・アクセス】国生み神話ゆかりの地である淡路島に鎮座
<所在地・電話番号>
住所:〒656-1521 兵庫県淡路市多賀740
TEL:0799-80-5001
FAX:0799-80-5021
<アクセス>
淡路島には空港がなく、電車と新幹線もないため、途中でバスに乗り換えるか、車で行くことになります。
■公共交通機関をご利用の方:
新幹線「新神戸駅」にて下車。または、「新大阪駅」まで新幹線に乗車し、在来線に乗り換えてJR「三宮駅」にて下車し、高速バス乗り場から淡路島行きの高速バスに乗車します。
飛行機を利用する場合も、神戸空港からポートライナーに乗車し「三宮駅」にて下車し、同じく高速バスに乗車します。
淡路島「津名港ターミナル」に到着後、路線バス(淡路交通「西浦一宮線」)に乗り換え「神宮前」下車(乗車時間約20分)
*神戸三宮バスターミナルから伊弉諾神宮前のバス停に直通の高速バスが、1日に5本くらい出ていますので、こちらも確認されることをおすすめします。
■車をご利用の方:
神戸淡路鳴門自動車道「津名一宮インター」より約5分
*無料駐車場:利用時間は7:00~18:00まで
一の鳥居の右奥の駐車場約25台収容
一の鳥居の左奥の駐車場約50台収容
【ご祭神・ご由緒】伊奘諾尊のご神陵の地に創建された日本最古の神社
【ご祭神】
「伊弉諾尊」(男神)
「伊弉冉尊」(女神)
二柱は日本神話の国生み・神生みに登場される夫婦の神様で、天上界(高天原)から天降り、日本の国土や多くの神様をお生みになったと伝わります。
中でも、「伊弉諾尊」が黄泉の国から帰ってきて穢れを落とした際に、「天照大御神」、「月夜見尊」、「素戔嗚尊」の三貴神をお生みになったことは有名です。
【ご由緒】
古事記に記述されている「国生み神話」によると、「伊弉諾尊」、「伊弉冉尊」によって最初に造られたのが淡路島です。
そして、国が出来上がった後に、国の統治を御子神の「天照大御神」に託し、「伊弉諾尊」は、淡路島の多賀の地に「幽宮(神霊が人前に示現することなく永久に鎮まる宮)」を構えて余生を過ごされました。
その住居跡にご神陵(お墓)を築いてまつり、聖地として最古の神社が創始されたのが、「伊奘諾神宮」の起源となっています。
平安時代の延喜式神名帳(当時「官社」に指定されていた全国の神社一覧)には、名神大社に列せられ、古くから淡路國の一之宮と崇められてきました。
地元では、「いっくさん」や、淡路島の津名地域の多賀地区に鎮座することから、淡路島神・多賀明神・津名明神などとも呼ばれています。
ご神陵の前方にあった本殿は、明治12年に、ご神陵の墳丘を整地してその真上に移築されました。本殿の下には、「伊弉諾尊」が眠ることになりますね。
また、長らく「伊弉諾尊」だけがまつられていましたが、昭和7年に「伊弉冉尊」も正式にご祭神となったそうです。
昭和29年には、昭和天皇の命令を伝える公文書の公布によって、「伊弉諾神宮」と改称し全国に24ある「神宮」号を持つ神社のひとつ、兵庫県下で唯一の神宮となりました。
【社務所受付時間】
8時30分~17時
*新型コロナウイルスの影響で流動的なため、事前に電話で確認することをおすすめします。
【御朱印】
・授与所にて:9時〜17時
・御朱印代(御神印):500円以上をお気持ちで
・オリジナルの御朱印帳(御神印帳):2,000円(御朱印込み)
*幽宮という印が押されている独特の御朱印です。
【主な祭礼】
御例祭
4月20日~22日
「伊弉諾神宮」の例祭(春祭)は、淡路島に春の訪れを告げるお祭り。3日間にわたり盛大に行われます。
そこにお目見えするのが、境内の奥にある神輿庫という倉に保管されている神輿。
江戸時代後期に作られたと伝わる貴重な神輿だそうです。
最終日、氏子らにより10基の船だんじり(関西で山車を指す)や、布団だんじり、曳だんじりが境内へ。
絢爛豪華な神輿が、それらのだんじりを従えて街中へ繰り出していく姿は迫力満点で見応えがあります。
まとめ
「伊弉諾神宮」は、淡路島に鎮座する日本最古の神社。
そして、国生み神話に登場する「伊弉諾尊」、「伊弉冉尊」の二神をご祭神とする聖地です。
その御子神である「天照大御神」に国の統治を託し、「伊弉諾尊」が余生を過ごされた場所だと伝えられています。
国生み・神生みを成し遂げた神をまつることから、縁結び・子授け・安産・夫婦円満・心願成就・厄除開運・病気平癒など多岐にわたるご利益があるとされます。
また、夫婦大楠、神池、本殿、陽の道しるべの石碑など、沢山の見どころがある「伊奘諾神宮」。
ぜひ神代の時代から続く、神秘のエネルギーに触れてみましょう!