伊射波神社、本殿 © 仰木一弘 wih LeicaQ
三重県鳥羽市には、「女性の願いを叶えてくれる」と言われている「鳥羽三女神」がいらっしゃいます。
その中の1社が、鳥羽市安楽島町という港町の加布良古崎山頂に鎮座する「伊射波神社」。
別称として「志摩大明神」・「加布良古大明神」・「かぶらこさん」等とも呼ばれ、良縁のご利益にあずかりたいと全国から女性の参拝者が訪れるそうです。
山に囲まれ、海に面した岬の人里離れた神域にある「伊射波神社」は、志摩国の海上守護神としても古代から崇敬されてきました。
加布良古岬の先端からは、「奇跡の窓」と呼ばれている絶景をみることができます。
【ご利益】良縁求めて参拝者が訪れる「鳥羽三女神」の一社
鳥羽市は、海女文化が受け継がれている土地。
令和元年5月20日に文化庁が認定する「日本遺産」に「海女(Ama)に出逢えるまち 鳥羽・志摩~素潜り漁に生きる女性たち」が認定されました。
引用元:鳥羽市役所
このような文化に関係しているのか、鳥羽には「女性の願いを叶えてくれる」と言われている「鳥羽三女神」がいらっしゃいます。
・縁結びにご利益があるとされる「伊射波神社/かぶらこさん」
・女性の願いを叶えてくれるとされる「神明神社/石神さん」
・女性特有の病にご神徳があり、安産の神として知られる「彦龍大明神/彦瀧さん」
女性のパワースポットとしても注目され、「開運、縁結び、安産」のご利益にあやかりたいと全国から鳥羽の三女神巡りに訪れるそうです。
ちなみに、こちらの3社は同じ鳥羽市ですが、公共交通機関でまわるのは厳しいため、まわる場合は、レンタカーか、タクシーをおすすめします。
なお、現地に行くことができない方のために、鳥羽駅すぐ近くの鳥羽一番街には、「鳥羽三女神お願いごと代理受付所」があります。
【所在地・アクセス】原生林に覆われた神域にたたずむ
<所在地・電話番号>
〒517-0021 三重県鳥羽市安楽島町1020
TEL: 0599-25-4354
<アクセス>
■電車をご利用の方:
・JR線または近鉄鳥羽線「鳥羽駅」で下車
・連結するバスターミナルから安楽島行きの三重交通バス「かもめバス」で約20分、「安楽島」で下車
・安楽島公民館前から山道があり、参道に続いています。
徒歩で参道口より約40分。要所に「右一ノ宮」の標石が配置されています。
■車をご利用の方:
「伊勢IC」から伊勢二見鳥羽ライン経由で約20分
*駐車場から、約30分ほど山道を歩いた所に海に向かって立つ鳥居があり、その先は更に急な石畳の参道が続きます。
足場の悪い急勾配の所もあるため、スニーカーなど、歩きやすい靴で参拝されることをおすすします。
【ご祭神・ご由緒】志摩国の海上守護神として古代から崇敬されてきた
【ご祭神】
四神がまつられています。「伊佐波登美命」のみ男神。
〈稚日女尊〉
「天照大御神」に仕えたとされる神。
「加布良古大明神」とも称され、朝廷に捧げる御贄(神に差し上げる食物)の一部を大明神にも奉納するいう別格の扱いを受けていました。
「天照大御神」の妹神や御子神、あるいは幼名であるという説もあるそうです。
機織の神とされ、縁結び、五穀豊穣、健康長寿などのご利益があるとされています。
〈伊佐波登美命〉
平安時代末期から鎌倉時代中期の成立とされる「倭姫命世記」によれば、倭姫命(「垂仁天皇」の皇女)が「皇大神宮(伊勢神宮の内宮)」の朝夕の御贄を献上する地を探して志摩国を訪れたときに出迎えた神とされます。
また、志摩国の新田開発にも大きな功績を残したと伝えられています。
〈玉柱屋姫命〉
「倭姫命世紀」によれば、「瓊瓊杵尊(天照大御神の孫)」の重臣。
伊勢国を平定した「天日別命」の娘とされます。
〈狭依姫命〉
宗像三女神の1柱、「市杵島姫命」の別名、「天照大御神」の子とされます。
航海を守護する神様。
安楽島が粟嶋と称されていた頃に、近くの島にまつられていましたが、島が地震によって水没し、合祀されたとされています。
【ご由緒】
古代の人々は、加布良古崎に宿る女神を拝んできたとされ、1500年以上の歴史があると伝わります。
「天照大御神」に仕えていた「稚日女尊」を加布良古崎に祭祀したことに始まり、志摩地方の海上守護神として信仰されてきました。
平安時代にまとめられた延喜式神名帳(「官社」に指定されていた全国の神社一覧)に記された式内大社で、志摩國一之宮であり、「加布良古大明神」、「志摩大明神」とも称されています。
また、地元の安楽島や周辺では「かぶらこさん」の愛称で親しまれてきました。
志摩国の一之宮は、「伊射波神社」と「伊雑宮」の2つがあり、その理由として諸説あります。
「伊雑宮」が「伊勢神宮」の別宮兼官社だったことから、同じご祭神であった「伊射波神社」を一之宮にすべきという事情からというもの。
もしくは、神領再興を願い訴えていた「伊雑宮」の神職たちを制するために、「伊射波神社」をもうひとつの一之宮として創建したのではないかという説です。
以前、「伊射波神社」の本宮は、安楽島の二地にありましたが、本宮の衰退と共に平安時代の終わり頃に加布良古崎にうつされました。
自然がそのまま残された原生林に覆われた神域には、平成時代に造営されたご本殿・拝殿と新築された龍堂があります。
社殿の脇にある籠堂は、かつてこの堂にこもり、大漁の祈願をしたり修行をする場所だったそうです。
【社務所受付時間】
神社は無人のため、宮司さんのご自宅にて夕方5時くらいまでの受付になるそうです。
【御朱印】
・御朱印代:¥300
御朱印をいただく場合は宮司さんのご自宅へ伺うことになります。
ご不在の時もあるそうですから、事前に連絡することをおすすめします。
拝殿内に案内図が用意されています。
【主な祭礼】
「大漁祈願祭」及び「勤労感謝祭」
11月23日
毎年、例大祭は「大漁祈願祭り」として関係者が大勢集まり盛大に行われます。
御魚取りといわれる神事は、素襖(男性の伝統的衣服)に烏帽子姿の五人年寄りが、神前で神社本殿と拝殿の間に刺し網(魚を網目にからませて捕獲する網)を張り、「大漁じゃ! 大漁じゃ!」の勇ましい掛け声とともに、新鮮な魚を投げ入れ一年の漁獲に感謝し、大漁を祈願するもの。
最後はその魚を焼いて、お神酒を振る舞うという鳥羽らしい例大祭です。
まとめ
「伊射波神社」は、三重県鳥羽市安楽島町の加布良古崎のほぼ中央に鎮座します。
少なくとも1500年以上の歴史をもつとされ、志摩国の海上守護神として古代から崇敬された場所。
参道入り口の鳥居は、海に向かって立っており、かつて船でお参りした名残りを伝えます。
「鳥羽三女神」の一社で縁結びの神様として知られ、女性のパワースポットとして、また一之宮巡拝で多くの方が訪れます。
全国の一之宮の中でも、辿り着くまで大変だといわれている「伊射波神社」。
ぜひ参拝に挑戦してみてはいかがでしょうか。