事任八幡宮、鳥居 ©仰木一弘 wih LeicaQ

 

事任八幡宮ことのままはちまんぐうは、全国で唯一、主祭神に言霊ことだまの神様「己等乃麻知比売命ことのまちひめのみこと」をまつる神社です。

また、古くから多くの書物がこの社のことを記しており、平安時代には清少納言の「枕草子」などに「願い事が叶う神社」として登場しています。

江戸時代には、「ことのまま」の名が「願い事が意のままに叶う」の意味を持つことから、多くの人が旅の安全や願い事の成就を祈るため立ち寄り、幕府からも崇敬を集めました。

鳥居をくぐると、境内を覆うような大迫力のくすのきがありますが、こちらの幹にある耳のようなコブの穴から、神様が参拝者の声を聞いているといわれているそうです。

 

 

【ご利益】「言葉のままに願いが叶う」とされる

ご祭神の己等乃麻知比売命ことのまちひめのみことの「こと」は「言」の葉、事柄の「事」でもあるとされ、「まち」は「真知=まことを知る」との意味をあわせもつことから、言の葉で事を取り結ぶ神とされ、言葉のままに願いを叶えてくださると信仰されています

 

歴史を感じさせる楠の巨木・ご神木の大杉

拝殿へと向かう途中にある標高31m、樹齢推定600年の「くすのきの巨木は、境内をすっぽり覆うような見事な枝ぶりです。

こちらの存在感ある楠の幹には、耳のような大きなコブがあり、この耳から神様が参拝者の願いを聞いているといわれています。

また、ご本殿の横には樹齢推定1000年といわれる標高40m近いご神木「大杉」が、まるで私達の願いを天の神様に届けてくださるかのように、真っ直ぐ空へと伸びています。

どちらも市の天然記念物に指定され「坂上田村麻呂」が植えたと伝えられます。

 

本宮では「ふくのかみ」で石を磨いて祈願しましょう!

境内の横を走る道を挟んで、向かい側の「本宮山ほんぐうさん」に、本宮が鎮座

入口から本宮までの階段271段を上り、参拝することができます。
ただし、途中から狭くなり石段になりますので、歩きやすい靴がおすすめです。

 

参拝のポイントは、お社のまわりに敷き詰められている白い小石から3つ選び、心を込めてきれいに磨き祈願するというものです。

3つの石には意味があり、1つ目の石は「神様のために」、2つ目の石は「みんなのために」、3つ目の石は「自分のために」磨いて福をさずかるというものです。

感謝の気持ちを込めて「拭く」ことで「福」につながり、願いが叶うと言われ、社務所でいただける白い紙「ふくのかみ」「紙」と「神」をかけているそうです。

 

良縁を結んでくださる「むすびの神」

境内には、摂社(ご祭神と縁の深い神をまつるやしろ)として「天照大神あまてらすおおみかみ」など五柱の神様がまつられている「五社神社」、稲荷神社の総本社「伏見稲荷大社ふしみいなりたいしゃ」と同じ穀物の神「宇迦乃御魂神うかのみたまのかみ」をご祭神とする「稲荷神社」、縁結びの神「大物主神おおものぬしのかみ」をご祭神とする金刀比羅神社ことひらじんじゃが鎮座します。

 

そして、これら摂社の裏手に続く坂の道を辿ると、カヤとアラカシの巨木が茂り、その根元の空洞に小さな鳥居とほこら(小さい社)がまつられています。

こちらの巨木が、まつられた石を抱くように生えていることから「むすびの神」といわれていますが、お名前の通り、良縁を結んでくださるそうです。

 

【所在地・アクセス】旧東海道沿いに鎮座

<所在地・電話番号>

〒436-0004 静岡県掛川市八坂642
TEL:0537-27-1690

 

<アクセス>

■電車をご利用の方:

・JR東海道新幹線「掛川駅」下車、バスまたはタクシーを利用

・掛川駅北口7番乗り場にて路線バス「東山線」に乗車
「八幡宮前」バス停下車、徒歩すぐ(乗車時間約20分、1~2時間に1本程度)

 

■車をご利用の方:

・新東名高速道路「島田金谷IC」より約15分

・国道1号線(掛川バイパス)「八坂IC」より約2分

*無料駐車場:約60台収容

 

【ご祭神・ご由緒】全国で唯一言葉で事をとり結ぶ働きをもたれる神様をまつる

【ご祭神】

<主祭神:己等乃麻知比売命ことのまちひめのみこと

言霊の神様「興台産命こことむすびのみこと」のきさき

全国で唯一、言葉で事をとり結ぶ働きをもたれる神様として、また言葉を通して世の人々に加護をたまう神として敬われています。

天の声を人々に伝える役目があるとされる神様です。

 

<配神>

誉田別命ほんだわけのみこと」「息長帯姫命おきながたらしひめのみこと」「玉依比売命たまよりひめのみこと」の三柱合わせて八幡大神と総称されます。

 

誉田別命ほんだわけのみこと

第15代「応神おうじん天皇」のことで、「神功皇后じんぐうこうごう」の御子。

4世紀末から5世紀初頭に実在した可能性が高いとされ、武神・出世開運の神とされています。

 

息長帯比売命おきながたらしひめのみこと

神功皇后じんぐうこうごう」のことで、第14代「仲哀ちゅうあい天皇」の皇后様、「誉田別命ほんだわけのみこと(応神天皇)」の母神。

「仲哀天皇」の没後、お腹に子をやどしたまま朝鮮半島に遠征し、帰国後に「応神天皇」を無事に出産したと伝えられ、安産・子育ての女神として信仰されています。

 

玉依比売命たまよりひめのみこと

初代天皇「神武じんむ天皇」の母神。

神の魂(玉)が宿る(依りつく)姫という意味を持ち、一人の神様を表す言葉ではないとされます。

 

【ご由緒】

創建年代は不詳ですが、社伝によれば第13代「成務せいむ天皇」の頃(190年頃)本宮山に鎮座し、古くは「真知乃神まちのかみ」、「任事ままのこと神社」などと呼ばれていたようです。

大同2年(807年)、「坂上田村麻呂」がそれまでは本宮山におまつりされていた己等乃麻知比売命ことのまちひめのみこと」を、今の地に遷したと伝えられます。

平安時代にまとめられた「延喜式神名帳えんぎしきじんみょうちょう(当時「官社」に指定されていた全国の神社一覧)」には、「己等乃麻知ことのまち神社」として記載されています。

 

また、八幡信仰が広まると、「源頼義みなもと の よりよし」が京都の「石清水いわしみず八幡宮」から八幡神を勧請かんじょう(分霊を他の地に移してまつること)したと伝わります。

その後、武家社会となり政情が不安定な世の中で、八幡神が武家の守り神としても広まりました。

そんな中、多くの神社が異なる神社名のまま社をお守りするのが厳しい状況にあったため、名前を変更した時代でした。

事任八幡宮ことのままはちまんぐう」も、安土桃山時代から江戸時代には八幡宮の名のみが残り、「日坂にっさか八幡」あるいは「誉田こんだ八幡」と呼ばれるようになり、江戸時代の通称は「誉田八幡宮」でした。

これらの時代は「ことのまま」が忘れられかけた空白の時代といえます。

 

混乱期を経て江戸時代初期には、「徳川家康」によりご本殿が造営され、また江戸幕府にも幕府の守り神であると祟められました。

さらに、東海道沿いにあり、さらに「ことのまま」の名が「願い事が意のままに叶う」の意味を持つことからも、多くの人が旅の安全や願い事成就を祈るため立ち寄ったといいます。

明治5年、「八幡神社」と称するようになり、それから「事任」に戻そうとしますが許されず、昭和22年にようやく「事任八幡宮」と改称する事ができました。

 

【社務所受付時間】

午前9:00~午後5:00

*新型コロナウイルスの影響で流動的なため、事前に電話で確認することをおすすめします。

 

【御朱印】

・社務所にて:午前9:00~午後5:00
・御朱印料:¥300
・オリジナル御朱印帳:¥1,500

己等乃麻知媛命ことのまちひめのみこと」が描かれたオリジナルの御朱印帳があります。

 

事任八幡宮 御朱印 by.仰木一弘

 

【主な祭礼】

例大祭

敬老の日前の金・土・日曜日

毎年9月に3日間かけて開催される「事任八幡宮例大祭」は、地元では秋を告げる大イベントとなっています。

1日目には「安全祈願祭」や「宵祭式典」が行われ、2日目には本祭が行われると共に、屋台が社殿前に集結し「大笛祭」が催されます。

数メートルもある大きな笛をまつり、各地区の若者がお囃子や踊りを奉納して、各町内が順に笛や太鼓、踊りなどお囃子はやしを披露します。

屋台の引き回しは熱気にあふれ、夜になると屋台の丸ブラ提灯ちょうちんにろうそくの灯がともされ、練り歩く姿がとても色鮮やか。

そして、最終日の神社を出発した神輿みこしが町内を練り歩く姿も見どころのひとつです。

 

まとめ

事任八幡宮ことのままはちまんぐう」は、全国でも唯一、言霊の神様の「己等乃麻知比売命ことのまちひめのみこと」をまつる神社です。

旧東海道沿いにあり、「ことのまま」の名が「願い事が意のままに叶う」の意味を持つことから、多くの人が旅の安全や願い事成就を祈るため立ち寄り、崇敬を集めてきました。

また、武家の八幡信仰から社を守るため、名を変えていた歴史をもつ、いにしえの昔から守り継がれた神社です。

境内を覆うような見事な枝ぶりの楠や、まっすぐ伸びるご神木の大杉などのパワーをさずかりながら、お願い事を伝えてみてはいかがでしょうか。

また、本宮へも参拝され、ふくのかみで石を磨いて祈願されるのもおすすめです。

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