中山神社、鳥居 ©仰木一弘 with LeicaQ
「中山神社」は、神話に登場する三種の神器の一つ、八咫鏡を作った女神とされる鏡作神をご祭神とする由緒正しい古社。
特に、鉱業や農耕全般に多大なるご利益があるとされています。
また、本殿の裏斜面には、「猿神社」と呼ばれる小さなお社があり、今もなお、ぬいぐるみの小猿を奉納する風習から、赤い布で作られた猿のぬいぐるみがたくさん納められています。
本殿や鳥居は、「中山造」と呼ばれ全国でも珍しい建築様式であり、他にも巨大な狛犬や、猿顔の狛犬などがあり、ご利益だけではなく、神社そのものに歴史や趣を感じられる神社です。
【ご利益】鉱業や農耕全般に多大なるご利益がある神社
中山神社では、三種の神器の一つの「八咫鏡」を作ったとされる神様がまつられています。
そのため、鍛金・冶金・採鉱の守護神として、鉱業や天然資源の神として崇敬されており、古代から製鉄で栄えた土地柄や信仰とも深く結びついていると伝わります。
また、農耕にもご利益があるとされ、4月には、五穀豊穣を祈る田植え祭りが開催されます。
さらに、「猿神社」は、牛馬の守護神として崇められており、牛馬の安産をお祈りされる方も多く訪れるそうです。
全国的にも珍しい中山造
中山神社の本殿や、大鳥居には、中山造と呼ばれる全国でも珍しい建築様式が特徴で、本殿は国の重要文化財に指定されております。
また、正面にある鳥居も独特な形をしており、中山鳥居と呼ばれる貫ぬき(鳥居の上から2つ目の横向きの柱のこと)が縦の柱を飛び出していないのが特徴です。
中山神社の社叢(神社の森)を代表する「祝木のケヤキ」
中山鳥居の県道ぞいにある「祝木のケヤキ」。
樹齢は推定800年、幹周8. 5m、樹高10mの岡山県下1番の巨樹です。
神社の本殿などは室町時代に一度焼失しているので、それよりも古くからここに立っていたことになります。
地上5mくらいのところから七枝に分かれていて、内部は空洞。
その広い洞内には小さな祠がありますが、案内板には「大国主命」がまつられていると記されています。
また、鳥居の左側には日本名木百選に選ばれた推定樹齢500年のムクノ木、本殿右側にもイチョウの巨木が。
「祝木のけやき」などと共に中山神社の社叢(神社の森)を代表する大木となっています。
この他にもさまざまな木々が生息し、人々の癒しの場となっています。
今昔物語集にも出てくる「猿神社」
本殿の裏手の岩肌にあるのが「猿神社」。
今昔物語の二六巻に書かれている「中山の猿」の霊をまつるとされており、現在は、猿田彦神としてまつられています。
牛馬の安産守護の神として信仰を受け、今もなお、ぬいぐるみの小猿を奉納する風習が残っているそうです。
神社では、赤い布で作られた猿のぬいぐるみを、たくさん見かけることでしょう。
また、参道に立つのは狛犬ではなく、狛猿?
猿顔になっているので、是非チェックしてみてくださいね。
【所在地・アクセス】歴史と文化の城下町「津山市」に鎮座
最寄駅のJR津山駅からは遠いので、徒歩ではなくバスやタクシーが主な移動手段となります。
JR津山駅より、約15~20分ほど車を走らせると神社に到着します。
本殿から猿神社へ行く道は、足元が悪い道が続くため、歩きやすい服装で参拝されることをおすすめします。
<所在地・電話番号>
〒708-0815 岡山県津山市一宮695
TEL:0868-27-0051
<アクセス>
■電車をご利用の方:
・JR津山線「津山駅」下車、西田辺方面行きバスにて約20分
「中山神社前下車」徒歩約2分
■車をご利用の方:
中国自動車道「院庄IC」から約15分
※無料駐車場:150台収容
鳥居の横に数台、鳥居横の坂を上がると広い駐車場があります。
【ご祭神・ご由緒】全国で7カ所のみ、国家安穏を祈ったとされる神社
【ご祭神】
■主祭神:鏡作神
石凝姥神の神業を称えたとされます。
■相殿神:石凝姥神、 天糠戸神
「石凝姥神」は、三種の神器の一つ八咫鏡を作られた女神、その父神が「天糠戸神」とされます。
【ご由緒】
社伝の「中山神社縁由」によると、慶雲4年(707年)の創建とされています。
ただ、美作国(現在の岡山県北東部)が備前国(現在の岡山県東部)から分立した時に、「吉備津神社」を勧請(分霊を他の場所に移しまつること)したという説があるそうです。
「延喜式神名帳(官社に指定されていた全国の神社一覧)」に記載されている格式高い神社であり、関西における大社として「安芸の厳島神社」、「備中の吉備津神社」と共に肩を並べます。
昔、国家の非常時には、天皇の命令で全国七ヶ国(武蔵・上野・伊豆・駿河・若狭・美作・肥後)の一之宮を選び、国家安穏を祈願する儀式が行われたそうです。
【社務所受付時間】
午前8時30分〜午後4時30分
【御朱印】
・社務所にて:午前8時30分〜午後4時30分
・御朱印代:¥300
*新型コロナウイルスの影響で流動的なため、事前に電話で確認することをおすすめします。
【主な祭礼】
春季大祭(御田植祭)
4月29日
参道の石畳を田んぼに見立て、白装束に黒烏帽子をつけた氏子12名が笛太鼓に合わせて「鍬振り神事」が行われます。
木鍬(木で作った鍬)を頭上で振り回してから地中に打ち込む様子を演じ、五穀豊穣を祈るものです。
まとめ
古代から、国の中でも重要な神社であることが書物に記載されている「中山神社」。
また、今昔物語などの書物にも登場する「猿神社」など、製鉄の国とされる美作国を長い間見守ってきたその歴史を感じさせられる神社でした。
国指定重要文化財の本殿をはじめ、特徴的な中山鳥居など、全国でも珍しい中山造が見どころとされる「中山神社」へ、一度足を運んでみてはいかがでしょうか。